【NFL 2025】感謝祭明けプレーオフ展望：チーフス浮上、パッカーズ首位、MVP争いは異例の混戦

【NFL戦線2025】感謝祭明けのプレーオフ展望：チーフス、パッカーズが浮上、MVP争いは「異例の混戦」に

― 熾烈なワイルドカード争い、テイラーが非QBでのMVP候補に名乗り ―

（2025年11月28日、東京発）

2025年NFLシーズンは、感謝祭（サンクスギビングデー）に開催された主要な試合群を終え、いよいよ終盤戦に突入した。この祝日開催の結果は、AFCおよびNFC両カンファレンスのプレーオフ戦線に決定的な影響を与え、特にワイルドカードの最終枠を巡る競争は、例年になく熾烈な様相を呈している。

今季は、ベテランと新鋭、そしてランニングバック（RB）という異色の存在が絡み合うMVP争いも注目を集めており、シーズン最終週まで戦いの行方から目が離せない。

AFC：チーフスが踏みとどまるも、ワイルドカードは混戦模様

AFCでは、ニューイングランド・ペイトリオッツ（10勝2敗）とデンバー・ブロンコス（9勝2敗）が依然として安泰な成績を収めているが、中位チームの勝敗が複雑に絡み合い、プレーオフ進出圏内の変動が激しい。

特に注目されたのは、カンザスシティ・チーフス（6勝5敗）の戦いだ。感謝祭のダラス・カウボーイズ戦を21対20の僅差で制したチーフスは、ヒューストン・テキサンズ（6勝5敗）と同率で、辛うじてワイルドカード圏内に踏みとどまった。QBパトリック・マホームズの経験と決定力がチームを支えているが、ビルズやレイブンズといった強豪が上位に控える中、チーフスの残り日程は厳しいものとなる。

また、AFC南地区ではインディアナポリス・コルツ（8勝3敗）が地区首位を独走しており、安定した守備とバランスの取れた攻撃力で、ディビジョン優勝候補の筆頭と目されている。ワイルドカード争いでは、ロサンゼルス・チャージャーズ（7勝4敗）、ジャクソンビル・ジャガーズ（7勝4敗）、バッファロー・ビルズ（7勝4敗）が僅差でひしめき合っており、今後の直接対決がプレーオフ進出の鍵を握る。

NFC：パッカーズが地区首位に浮上、ライオンズは正念場

NFCでは、ロサンゼルス・ラムズ（9勝2敗）とフィラデルフィア・イーグルス（8勝3敗）が安定した成績で地区首位を維持している。

感謝祭の目玉カードとなったNFC北地区の直接対決では、グリーンベイ・パッカーズ（7勝4敗）がデトロイト・ライオンズ（7勝4敗）を30対24で破り、地区首位の座を獲得した。QBジョーダン・ラブが4タッチダウンパスを投じる活躍を見せ、パッカーズは自力での地区優勝に大きく近づいた。一方、敗れたライオンズは、ミネソタ・バイキングス（7勝4敗）も絡む三つ巴の戦いの中で、残り試合での連勝がプレーオフ進出の絶対条件となった。

ワイルドカード争いでは、シアトル・シーホークス（8勝3敗）が優位に立ち、パッカーズ、サンフランシスコ・49ers（7勝4敗）などが激しく追従している。NFC全体で見ても、7勝ラインに複数のチームが密集しており、一戦の敗北が即座に順位を大きく下げる可能性を秘めている。

異例の混戦！MVP争いを牽引する非QBの存在

今季のMVP争いは、近年稀に見る多様な候補者が名を連ねる「異例の混戦」となっている。

最も注目すべきは、コルツのRBジョナサン・テイラーの活躍だ。NFLの歴史上、MVPはQBが受賞するケースが圧倒的だが、テイラー選手はリーグトップのラン獲得ヤード（1139ヤード）と15回のラッシングタッチダウンを記録し、チームの攻撃を牽引している。その歴史的なパフォーマンスは、かつてRBとしてMVPを獲得したアドリアン・ピーターソンを彷彿とさせ、非QBでの受賞の可能性を現実のものとしている。

しかし、QB陣も負けていない。若手新星のドレイク・メイエが現在リードしているとの評価もある中、ベテランのマシュー・スタッフォード（ラムズ）はキャリアの復興を遂げ、トップ候補の一人として君臨。そして、常に脅威であり続けるマホームズ（チーフス）も、チームの不安定さにもかかわらず、その卓越した能力で常に賞の射程圏内にいる。

展望：最終局面での「マストウィン」

NFLは残り5試合前後となり、プレーオフ進出を懸けた戦いは最高潮を迎える。特にチーフス、テキサンズ、ライオンズ、パッカーズといった当落線上のチームは、厳しい日程の中で「マストウィン（絶対に勝たなければならない）」の状況に直面する。

AFC、NFCともにワイルドカードの競争は最後までもつれることが予想され、一つの反則、一つのタッチダウンが、チームの運命、そしてプレーオフの全体像を劇的に変えることになるだろう。日本のNFLファンも、この熱狂的な最終局面の行方を固唾をのんで見守っている。