鳴門市長に泉氏が5選、投票率56%台回復:新議会は多様な構成に、人口減少対策が急務
ニュース要約: 2025年鳴門市長選は現職の泉理彦氏が激戦を制し5選を果たした。投票率は56%台に回復し、市民の関心が高まった。多様な構成となった新議会と共に、泉市長は公約である人口減少対策、特産品ブランド維持、観光振興を推進する。
鳴門市長に泉氏が5選、新議会は多様な構成に:投票率56%台回復、市民の関心高まる
激戦の市長選、現職が安定選択か ―― 人口減少・産業活性化が急務
【鳴門】2025年11月23日に投開票された鳴門市長選挙および鳴門市議会議員選挙は、現職の泉理彦氏(64、無所属)が新人候補との接戦を制し、5期目の当選を果たした。同時に行われた市議選では、定数20に対し29名が立候補する激戦の末、現職・新人が混在する多様な顔ぶれが揃った。特に注目されたのは、前回(2021年)の無投票から一転、市長選・市議選ともに投票率が56%台を回復した点だ。市民の政治への関心が高まる中、泉市長率いる新市政は、喫緊の課題である人口減少対策と地域経済の活性化にどう取り組むかが問われる。
泉市長、接戦を制し長期安定政権へ
鳴門市長選挙は、現職の泉氏と新人候補の一騎打ちとなり、終盤まで予断を許さない展開となった。泉氏は15,272票を獲得し、長年の実績と安定した市政運営を訴える姿勢が有権者に評価された形だ。
泉市長は公約で、鳴門市の基幹産業である農業・水産業の活性化と後継者不足対策を最重要視。特に鳴門金時や鳴門わかめに代表される特産品ブランドの維持に向けた支援策を掲げる。また、若者の婚活支援を含む総合的な人口減少対策と、鳴門の渦潮を核とした観光振興を両輪で推進する方針を掲げている。
5期目という長期政権となるが、市民からは、慣例にとらわれない改革の実行力と、若年層の意見を市政に反映させる柔軟性が求められる。泉氏には、安定を基盤としつつ、変化に対応できるリーダーシップの発揮が期待される。
市議会は若手・女性、公明党の存在感が増す構成に
一方の鳴門市議会議員選挙では、定数20議席を巡り、現職の黒島ひろみ氏や上田公司氏に加え、新人のかさはらしょうご氏、山下よしこ氏(公明党)ら、多様な背景を持つ候補者が当選を果たした。
議会構成を見ると、公明党が2議席(山下氏、前田なつこ氏)を確保し、医療・福祉分野における政策推進力が強化される見込みだ。特に看護師経験を持つ山下氏の当選は、高齢化対策や子育て支援策の具体化に影響を与えるとみられる。
また、新人・無所属議員の当選により、議会全体に新鮮な視点が加わった。若手議員の台頭は、地域課題(農業・水産業の後継者不足、高齢者の移動支援など)への対応や、SNSを通じた市民との対話など、従来の議会運営に変化をもたらす可能性を秘めている。新議会は、泉市長の安定志向に対し、時に厳しいチェック機能を果たしつつ、協働を通じて公約実現を目指す市民参加型体制の構築が求められる。
投票率56.7%台回復、若年層の関心も上昇
今回の選挙で特筆すべきは、投票率の動向だ。鳴門市議会議員選挙の投票率は56.75%と、前回(2021年)の52.29%から4.46ポイント上昇し、2013年以来5年ぶりに56%台を回復した。鳴門市長選挙も56.76%となり、前回無投票だったことを踏まえると、市民の政治参加意識が大きく高まったことが伺える。
背景には、市長選での現職と新人の激しい論戦に加え、市選挙管理委員会によるSNSを活用した若年層向け啓発活動の強化がある。若手候補者が積極的に地域課題を掘り起こし、子育て支援や教育環境の改善といったテーマを掲げたことも、若年層の投票行動を促したと分析されている。オンラインでの情報収集が容易になったことも、若年層の関心の高まりに寄与した。
新市政の焦点:人口減少と財政健全化
泉市長と新議会が直面する最大の課題は、深刻化する人口減少対策と、それに伴う財政の健全化だ。
鳴門市は特産品ブランドの維持と後継者育成を急ぐ必要があり、若手農業者・漁業者への支援策の具体化が待たれる。また、医療・福祉サービスを充実させる地域包括ケアシステムの整備や、若年層の移住・定住促進策を迅速に打ち出す必要がある。
さらに、市の財政状況は依然として厳しく、公共施設の統廃合やインフラ整備の見直しなど、財政健全化に向けた効率的な行政運営が不可欠となる。
市長5期目という長期政権下で、泉市長と多様な構成となった新議会が、いかに信頼関係を構築し、市民との対話を重視した協働型市政を推進できるかが、高まった市民の関心を維持し、持続可能な地域社会の実現を目指す鍵となる。(了)