長崎「ゆりの温泉」突然の営業終了:愛された美肌の湯を襲ったコロナと2.6億円の負債
ニュース要約: 長崎県長与町の天然温泉「ゆりの温泉」が11月25日に突如営業終了。地元で「美肌の湯」として愛された同施設は、コロナ禍と競争激化により業績が悪化し、約2億6400万円の負債を抱えて破産申請準備に入った。冬の温泉シーズンを前に、地域に衝撃が広がっている。
地域の「美肌の湯」に何が起きたか—愛された長崎・ゆりの温泉、突然の営業終了とコロナ禍の波紋
導入:冬の温泉シーズンと地域名湯の終焉
暦は11月下旬を迎え、列島は本格的な冬の温泉シーズンへと突入しつつある。澄み切った空気の中、源泉かけ流しの湯に浸かる至福のひとときを求め、多くの人々が旅の計画を立てる時期だ。その中で、検索キーワードとして注目を集める「ゆりの温泉」を巡る状況は、明るい話題ばかりではない。
長崎県西彼杵郡長与町に位置し、長年にわたり地元住民や観光客から愛されてきた天然温泉「ゆりの温泉」が、2025年11月25日をもって突如営業を終了した。運営会社である長崎エンタープライズは事業停止、そして破産申請準備に入ったことが明らかになり、地域に大きな衝撃を与えている。
第一章:コロナ禍と競合の波に飲まれた「美肌の湯」
地下1400メートルから湧き出る豊富な湯量を誇り、「美肌の湯」として知られていた長崎の「ゆりの温泉」。その閉鎖は、同業他社との競争激化と、長引く新型コロナウイルスの影響による業績悪化が主因とされる。
負債額は約2億6400万円に上り、地域に根差した施設であっても、厳しい経済環境下で経営を維持することの困難さを浮き彫りにした。かつては、JR道ノ尾駅から徒歩圏内というアクセスの良さや、竹林に囲まれた日本庭園風の露天風呂、和洋2種の貸切露天風呂など、充実した設備で週末の家族旅行や日帰り利用客を魅了してきた。
特に、ここの泉質は、浸かるうちに肌がしっとりするのを実感できると評判で、老廃物の排出促進や代謝アップといった健康効果も期待されていた。地元の高齢者を中心に、遠方からもこの「美肌の湯」を求めて多くの利用客が訪れていた矢先の出来事であり、リピーターからは惜しむ声が絶えない。施設側はリニューアルや限定サービスの提供を検討する余地もなく、閉鎖に至ったという。
第二章:全国に点在する「ゆりの湯」と温泉文化の多様性
長崎の「ゆりの温泉」が消えた今、温泉愛好家の関心は、全国に点在する同名の施設や、同様の美質を持つ温泉へと向かっている。
例えば、和歌山県にある「ゆりの山温泉」は、湯舟だけでなく洗い場の蛇口まで源泉かけ流しという贅沢な湯量を誇り、少しぬるめのお湯で長湯を楽しめるのが特徴だ。南紀熊野ジオパーク内の「ゆかし潟」にも近く、散策後のひと休みとして最適である。体が芯から温まり、湯上りもぽかぽか感が持続すると評判だ。
また、関東近郊で冬の温泉旅行を計画する人々からは、群馬県北原荘の「ゆりの湯」にも注目が集まっている。ここでは、雪景色を望む源泉かけ流しの露天風呂「ゆるの湯」「ゆりの湯」が提供されており、厳冬期にしか味わえない特別な体験を提供している。標高1800mに位置する万座温泉など、雪見温泉のシーズンを迎える高地の温泉地もまた、この時期の旅行先として人気を集めている。
長崎の施設が閉鎖されたことで、「ゆりの温泉」という名称が持つ地域に根付いた温泉文化の価値が再認識されている。温泉は単なる入浴施設ではなく、地域の健康と交流を支える重要なインフラである。
第三章:不感浴と源泉かけ流しが提供する至福の時
長崎の「ゆりの温泉」の閉鎖は残念なニュースだが、日本の温泉が持つ普遍的な魅力は揺るがない。特に、長崎の施設で提供されていたような、35℃程度のぬるめのお湯に長時間浸かる「不感浴」は、心身のリラックス効果を高める入浴法として再評価されている。
冬の澄んだ夜空の下、源泉かけ流しの湯に身を委ねる体験は、この季節ならではの贅沢だ。豊富なミネラル成分を含む温泉水は、皮膚の乾燥を軽減し、冬季の肌トラブルに対する自然療法としても効果が期待される。
長崎の「ゆりの温泉」が果たした役割は大きく、その喪失は地域にとって痛手である。しかし、この出来事を教訓とし、全国の温泉施設が地域に愛され、持続可能な経営モデルを構築していくことの重要性が改めて認識されている。利用者は、長崎市内の代替施設や、和歌山、群馬といった他の名湯を訪れることで、日本の豊かな温泉文化を支えていくことになるだろう。
(2025年11月27日 経済・生活文化部)