モスバーガーの勝因:高品質「プチ贅沢」戦略と異業種コラボで新規顧客を獲得
ニュース要約: モスバーガーは原材料高騰の逆風下で、低価格競争を避け、高品質・高付加価値路線を強化。国産牛100%の「とびきり」シリーズで「プチ贅沢」ニーズを捉え、好調を維持している。冷凍ピザやサンリオとの異業種コラボで新たな顧客層を獲得し、成長を加速させている。
モスバーガー、逆風下の「プチ贅沢」戦略:高品質路線と異業種連携で顧客層を拡大
導入:物価高騰を乗り越える「モス」の独自路線
外食産業を取り巻く環境は、原材料価格の高騰、物流費、人件費の上昇といった逆風が続き、特にファストフード業界ではコスト増を価格に転嫁せざるを得ない状況が常態化している。その中で、モスバーガーを展開するモスフードサービス(以下、モス)は、単なる低価格競争から一線を画し、「高品質・高付加価値」を軸とした独自路線を強化している。2025年3月には主力商品の価格改定を実施したものの、消費者の「食のプチ贅沢」ニーズを的確に捉えることで、好調な販売実績を維持している。
現在のモスバーガーの経営戦略は、「品質へのこだわり」を基盤としつつ、多様な異業種コラボレーションを通じて顧客接点を拡大し、厳しい市場環境下での成長を目指す多角的なアプローチに集約される。(2025年11月24日現在)
「とびきり」シリーズが牽引する高品質戦略
モスの好調を象徴するのが、冬限定を含む**「とびきり」シリーズ**の成功だ。このシリーズは、**国産牛100%**のパティを使用し、従来のハンバーガーとは一線を画す「プレミアム感」を打ち出すことで支持を拡大。2024年3月の「新とびきりシリーズ」発売からわずか1年で累計1700万食を突破する驚異的な売れ行きを示している。
特に、年末年始の需要を狙う冬季限定商品群は、高価格帯ながら人気が強い。2025年11月からは**「新とびきりアボカド」や、希少部位を活用した「一頭買い 黒毛和牛バーガー~山わさび醤油仕立て~」などを投入し、贅沢な食体験を提供する。また、地域特産品との連携も積極的だ。例えば、2025年1月には熊本県産トマトを使用したメニューを展開するなど、地域密着と季節感を演出することで、他社との差別化を図り、リピーターの顧客維持**に繋げている。
異業種連携で狙う新規顧客の獲得
モスバーガーの成長戦略のもう一つの柱が、異業種との柔軟な連携だ。従来のファストフード店の枠を超えたコラボレーションを展開し、新たな収益源の確保とブランド認知度の向上を図っている。
注目すべきは、冷凍ピザメーカーPIZZAREVOとの協業である。人気商品「テリヤキチキンバーガー」の味わいを再現した冷凍ピザをオンライン限定で販売することで、店舗外のチャネルを開拓し、ファミリー層の家庭内需要を取り込んでいる。
さらに、集客力向上を目的としたエンタメ分野との連携も活発だ。サンリオの**「マイメロディ&クロミ」とのコラボキャンペーンでは、キャラクター人気によるファミリー層の来店を促進し、11月25日から予約開始される「2026モス福袋」では、コラボグッズと食事補助券を組み合わせることで、先行予約段階から大きな話題を呼んでいる。また、アイドルグループ≠MEとのコラボは、若年層やファン層の来店を促し、SNSでの拡散効果を狙っている。これらの施策は、従来の顧客層以外の新規顧客の獲得**に大きく貢献している。
原材料高騰への対応と価値の提供
経営の透明性を高める上で避けて通れないのが、原材料高騰に伴う価格戦略の調整である。モスバーガーは2025年3月19日に、主力商品を含む一部商品(約47%)の価格を改定した。例えば、「モスバーガー」は440円から470円へと30円の値上げとなった。
しかし、価格改定は全商品ではなく、小幅に留められた。特に「ハンバーガー」や「レギュラーセット」など一部商品は価格据え置きとし、価格敏感層への配慮を怠らなかった。これは、品質やサービスを維持しつつ、顧客離れを最小限に抑えるための戦略的な判断だ。
モスは、価格上昇分に見合う「付加価値」の提供に注力しており、「真心と笑顔のサービス」を強調することで、顧客満足度を維持している。安価な競合他社との価格競争に巻き込まれることなく、「高品質・高価格」という独自のポジショニングを確立することで、ブランド価値の向上と顧客維持を両立させている。
展望:品質と多様化が成長の鍵
モスバーガーは、「とびきり」シリーズに代表される品質への飽くなき追求と、柔軟な異業種コラボ戦略によって、厳しい市場環境を乗り切る基盤を固めた。今後も、原材料価格の変動や消費の二極化といった課題は残るものの、高品質な商品開発、地域密着型のメニュー展開、そしてオンラインを含む多様なチャネルでの販売強化が、持続的な成長の鍵となるだろう。モスバーガーの「価値に見合う価格」を提供する戦略は、日本の外食産業における一つの成功モデルとして、引き続き注目を集めそうだ。