【深層分析】メタプラネット(3350) 株価暴騰の理由：ビットコイン戦略成功で業績13倍増、目標株価1,928円の根拠

【深度分析】(株)メタプラネット（3350）株価「暴騰」の深層：ビットコイン戦略成功で業績13倍増、市場の期待とリスク要因

2025年11月27日 日本経済新聞

暗号資産関連事業を主軸とする**(株)メタプラネット（3350）の株価**が、2025年11月下旬に入り再び市場の注目を集め、活発な取引とともに急騰（soaring）している。同社の株価は27日、一時400円台を回復。これは、ビットコイン（BTC）価格の上昇を追い風とした業績の劇的な改善が背景にある。売上高は前年同期比で1,700%を超える驚異的な伸びを示し、市場の評価は「強気買い」で一致している。しかし、暗号資産特有の価格変動リスクや規制リスクも内包しており、投資家は短期的な熱狂と長期的な持続性のバランスを見極める必要がある。

出来高急増、過熱する市場の動向

(株)メタプラネット 株価の直近の動きは、市場の関心度の高さを明確に示している。2025年11月下旬、同社の出来高は平常時の数倍に膨らみ、日によっては2,000万株近い取引を記録。売買代金も数十億円規模に達し、市場の関心が集中している状況だ。

株価は2025年6月19日に年初来高値1,930円を記録して以降、調整局面にあったが、11月に入り再び上昇基調を強めた。前日終値366円前後で推移していた株価は、27日午前中には一時390円台まで値を上げ、終値は400円で引けた。前日比で大幅なupを見せ、短期的な暴騰の様相を呈している。

この急騰の最大のトリガーは、同社の経営戦略の抜本的な転換と、それに伴う業績の急拡大だ。

ビットコイン事業が牽引する「13倍増益」

(株)メタプラネットがここまで市場の期待を集める背景には、ビットコイン関連事業への注力がある。特に「BTCインカム事業」は収益の柱として急成長しており、直近の決算ではその成果が鮮明になった。

2025年12月期第3四半期（1-9月）の連結経常利益は232億円の黒字（前年同期は赤字）と劇的な改善を達成。通期の業績予想も大幅に上方修正され、売上高は68.0億円（前期比6.4倍）、営業利益は47億円（前期比13倍）という驚異的な成長が見込まれている。

この急成長は、単に市場の流行に乗じたものではなく、高騰するビットコイン価格を収益源に変えるビジネスモデルが確立されたことを示唆している。売上高が前年同期比で1,702.1%増を達成した事実からも、同社の財務体質が強化され、純利益率や自己資本比率の改善にも繋がっている。

個人投資家のみならず、機関投資家からもビットコイン関連の優良stocksとして脚光を浴びており、信用取引の貸借倍率が極めて高い水準を示すなど、レバレッジを効かせた取引も活発化している。

アナリスト評価は「強気買い」：目標株価1,928円の根拠

市場のアナリストによるメタプラネット株価に対する評価は極めて強気だ。複数の証券アナリストによるコンセンサスは「強気買い」で、平均目標株価は1,928円から1,927円と設定されている。これは、現在株価（約360円台）から見て400%を超える大幅な上昇余地を示しており、同社の中期的な成長ポテンシャルへの期待が極めて高いことを意味する。

特に、同社のROE（実績）が49.13%に達している点は、経営効率の高さと資本構造の健全化を裏付けており、株価上昇の説得力のある根拠となっている。

しかし、この高い期待値の裏側には、構造的なリスクも存在する。

リスク要因：BTC価格依存と規制の影

**(株)メタプラネット（3350）**の業績がビットコイン価格の動向に大きく左右される点は、投資家にとって最大の懸念材料である。専門家は「今後の業績はBTC価格の動向次第で変動する」と指摘する。もしビットコイン価格が急落すれば、BTCインカム事業の収益も急減し、株価が再び調整局面に入る可能性が高い。

また、暗号資産関連事業は、各国の金融規制や税制の影響を受けやすい。将来的に規制が強化された場合、事業の拡大スピードや収益構造に予期せぬ影響を与えるリスクも無視できない。

現在の株価暴騰は、経営戦略の成功と市場の期待が重なった結果である。しかし、一時的な投機的な買いも含まれている可能性があり、投資判断においては、同社の財務体質の強化と並行して、暗号資産市場全体のボラティリティ（変動性）を考慮に入れる慎重さが求められる。

(株)メタプラネットの今後の動向は、日本における暗号資産関連企業の成長モデルとして、引き続き市場から注視されることになるだろう。投資家は、銘柄コード3350の動向とともに、グローバルなビットコイン市場の動きを引き続き詳細に追う必要がある。