【西武】栗山巧、プロ25年目で引退表明 球団最多安打「ミスターレオ」最終シーズンへ

栗山巧、プロ25年目で現役引退へ 24度目の契約更改で決断、西武一筋「感謝の締めくくり」

【所沢】 埼玉西武ライオンズの精神的支柱、栗山巧外野手（42）が24日、球団事務所で来季の契約更改交渉に臨み、これと同時にプロ25年目を迎える2026年シーズン限りで現役を引退する意向を正式に表明した。長年にわたり西武ライオンズを牽引してきた「ミスターレオ」の決断は、低迷が続くチームとファンに大きな衝撃と感動を与えている。

契約更改交渉では、今季の年俸8000万円から2000万円減となる推定6000万円でサイン。2001年の入団以来、24度目となる契約更改を終えた栗山選手は、「最後に契約更改をできて、統一契約書にサインができた」と、プロ野球選手としての区切りに感慨を滲ませた。

■ 25年目の挑戦と引退の決意

会見の場で、栗山選手は静かに来季限りでの現役生活からの退き時を語った。パ・リーグ最年長として、同い年の中村剛也内野手とともにチームを支えてきたベテランは、2026年シーズンを「締めくくりのシーズン」と位置づける。

今季、栗山選手は一軍での出場がわずか11試合にとどまった（打率.087）。しかし、二軍では60試合に出場し、打率.238を記録するなど、衰えゆく体と向き合いながらも、常に野球への情熱を燃やし続けてきた。引退の決断について、「ファンの皆さんにしっかりプレーを見てもらいたい」という強い思いが根底にあるとし、「どこまで追求していく中で、どんな技術が得られるのか。それが来年で締めくくりとして、答えにしたい」と、プロフェッショナルとしての最後のシーズンへの強い決意を表明した。

球団側も、今季の成績以上に、長年にわたる貢献と、若手育成におけるリーダーシップ、そしてその人柄を高く評価している。球団は「骨と牙」としての栗山選手の存在を重視し、来季の契約を結ぶ方針を固めていた。

■ 輝かしき「ミスターレオ」の足跡

栗山巧選手が西武ライオンズに入団したのは2001年ドラフト4位。以来、一貫してライオンズ一筋でプレーを続けてきた。その功績は数々の記録として球団史に深く刻まれている。

通算2312試合に出場し、球団最多となる2150安打をマーク。2025年4月27日には、NPB史上64人目、西武生え抜きでは2人目となる通算3000塁打を達成。さらに、2024年シーズンには20年連続本塁打という偉業も達成しており、その安定した攻撃力と選球眼（通算1051四球は歴代NPB16位）は、長きにわたりチームの勝利に貢献し続けてきた証である。

特に評価されるのは、キャプテンとしてチームを引っ張ってきた精神的リーダーシップだ。低迷が続く西武ライオンズの中で、栗山選手は若手選手たちへの指導や精神的なサポートを惜しまず、チームの士気を高める役割を担ってきた。2025年シーズンも、チームが球団ワーストの敗戦数を記録するなど苦しい状況が続いたが、栗山選手は「常に100％の力を発揮できるようにがんばること」を目標に掲げ、ベテランの背中を見せ続けた。

■ 最終シーズンへ託される期待

2025年シーズンは、チーム全体の得点力不足や投手陣の不安定さが目立ち、ファンにとっては厳しい一年となった。このような状況下で、栗山巧選手が来季を「引退シーズン」と定めることで、チームには改めて奮起が求められる。

球団もファンも、プロ25年目の最後の挑戦に大きな期待を寄せている。ファンからは、契約更改のライブ配信開始時点で1万2000人以上が視聴するなど、その一挙手一投足に熱い視線が注がれている。

来季、西武ライオンズのユニフォームに袖を通す最後の栗山巧選手は、長年のプロ野球人生で培ってきた全てをグラウンドで出し切る覚悟だ。「ファンの皆さんに感謝の気持ちを込めたプレーを披露する」という言葉通り、最後の最後まで、チームの勝利のために、そして応援し続けてくれたファンのために、全力でバットを振り続けるだろう。栗山巧選手の最終章は、西武ライオンズの歴史において、最も記憶に残る一年となるに違いない。（了）