『ジョンウィック』ユニバース拡大戦略：スピンオフ『バレリーナ』と続編『5』製作決定の衝撃

ニュース要約: 世界的アクションシリーズ『ジョンウィック』がフランチャイズを拡大。2025年公開のスピンオフ『バレリーナ』（主演アナ・デ・アルマス、キアヌ・リーブス出演）の詳細が具体化し、さらに待望の続編『ジョンウィック5』の製作も正式発表された。シリーズは新しいアクション表現と多角的なメディア展開の新時代に突入する。

【深度分析】「ジョンウィック」ユニバースの拡大戦略：スピンオフ『バレリーナ』と『5』製作決定が示す新時代

2025年11月28日文化部映画担当記者

世界的な熱狂を巻き起こしたアクション映画の金字塔「ジョンウィック」シリーズが、そのフランチャイズをかつてない規模で拡大している。本年、待望のスピンオフ映画『バレリーナ：The World of John Wick』の公開情報が具体化し、さらに続編となる『ジョンウィック5』の製作も正式に発表された。この動きは、単なる人気シリーズの継続に留まらず、ハリウッドにおけるアクション表現と世界観構築の新たなモデルを提示するものとして、映画業界から熱い視線が注がれている。

I. 闇の世界を彩る新ヒロイン：『バレリーナ』の詳細

シリーズの最新展開として注目されるスピンオフ『バレリーナ：The World of John Wick』は、来年2025年8月22日（日米同時公開予定）に劇場公開を控えている。

本作の主人公は、シリーズでお馴染みの暗殺組織「ルスカ・ロマ」で訓練を受けた女性暗殺者イヴ（アナ・デ・アルマス）。物語の時系列は『ジョン・ウィック：パラベラム』（第3作）と『ジョン・ウィック：コンセクエンス』（第4作）の間に位置し、シリーズの核となる「主席連合」が支配する裏社会と深くクロスオーバーする。

主演を務めるアナ・デ・アルマスは、『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』などで見せた身体能力を活かし、スタイリッシュかつ過剰なアクションを披露する。プロデューサーにはシリーズ生みの親であるチャド・スタエルスキが名を連ね、監督は『ダイ・ハード4.0』のレン・ワイズマンが担当。ジョンウィックの世界観を継承しつつも、新たなキャラクターの視点から復讐の道を歩む物語が描かれる。

特筆すべきは、キアヌ・リーブス演じる伝説の殺し屋ジョン・ウィックが5度目の出演を果たす点だ。極寒の雪原でのバトルや、主人公イヴとの運命的な対決が予告されており、シリーズファンにとっては期待が高まる要素となっている。

また、国内では日本語吹替版のキャスティングが話題を呼んでいる。イヴ役を水樹奈々、ジョン・ウィック役を森川智之が担当。アクションシーンへの意気込みや、シリーズ特有の重厚な世界観を意識した演技に注目が集まっており、年末年始にはPrime Videoでの最速レンタル配信（2025年12月9日）、見放題独占配信（2026年1月16日）が決定しており、視聴の機会も豊富に用意されている。

II. アクション哲学の継承と進化：キアヌ・リーブスの貢献

ジョンウィックシリーズが世界的な成功を収めた最大の要因は、その革新的なアクション表現「ガン・フー」にある。これは、ガン（銃）とカンフー（格闘術）を組み合わせた独創的なスタイルであり、日本の殺陣、香港映画のカンフー、そしてマカロニ・ウェスタンなど多様な文化から影響を受けて確立された。

シリーズ制作陣は「ジョン・ウィックを苦しめるための新しくて面白い方法を模索し続けている」と語るように、作品を重ねるごとにアクションの多様性と芸術性を飛躍的に高めてきた。第4作『コンセクエンス』では、凱旋門や長大な階段での超絶バトルなど、世界的なスケールでの戦闘表現が実現されている。

このアクションの質を支えているのが、主演キアヌ・リーブスと、監督チャド・スタエルスキ率いるスタントチームとの鉄壁の信頼関係である。リーブスは、スタントチームへの深い敬意と感謝を抱いており、撮影終了後には高価なロレックスを全員にプレゼントするなど、その絆は業界でも有名だ。このプロフェッショナルなチームワークと、制作舞台裏の強固な繋がりこそが、シリーズのアクションを支える揺るぎない基盤となっている。スピンオフ『バレリーナ』も、このシリーズの「DNA」を継承し、しなやかで力強い新たなアクションの形を提示することが期待されている。