J2激闘：今治、昇格狙う札幌とドロー！J1挑戦権は最終節へ持ち越し

J2激闘の行方：今治、昇格争う札幌とドロー　J1への挑戦権は最終節へ持ち越し

【速報】激戦の「今治 対 札幌」、昇格への望みを繋ぐ勝ち点1の重み

2025年11月23日、J2リーグは終盤戦のヤマ場を迎えた第37節、今治 対 札幌の一戦がアシックス里山スタジアムで行われた。既に昇格の可能性が消滅しているfc今治と、J1昇格圏内の順位を死守したい北海道コンサドーレ札幌との対戦は、両チームの意地がぶつかり合い、1-1の引き分けという結果に終わった。

この結果は、ホーム最終戦を勝利で飾りたいfc今治にとっては悔しいドローでありながら、昇格争いを展開する札幌にとっては、最終節に向けて望みを繋ぐ貴重な勝ち点1となった。特に、札幌はキャプテン高嶺選手を欠く状況で、後半36分にマリオ・セルジオ選手が劇的な同点弾を叩き込み、土壇場で勝ち点を確保したことは、今後のリーグ最終順位に大きな影響を与えるだろう。

倉石監督の戦術が光る今治と、札幌のハイプレス

この日の試合は、両監督の戦術的意図が明確に表れた攻防となった。

ホームのfc今治は、倉石圭二監督のもと、札幌の強力なプレッシングに対応するため、守備の安定を図る5-2-3システムを採用。中盤2枚でボールを保持しつつ、前線3枚を起点としたカウンター戦術を徹底した。特に、相手がプレッシングをかけてきた際の背後への抜け出しを意識し、持井選手からM・ヴィニシウス選手への決定的なパスなど、効率的な攻撃を展開した。

対する札幌は、アウェイながらも積極的にハイプレッシングを仕掛け、今治のビルドアップを阻害する狙いを見せた。前線から高い位置でボールを奪い、長谷川選手やA・バカヨコ選手が攻撃の起点となった。札幌の攻撃は、今治のプレッシングが比較的弱い右サイド（今治の左サイド）に集中し、横山選手など足元で引き出せる選手がいる今治守備陣に対して、工夫を凝らした崩しを試みた。

試合は前半、梅木選手、持井選手の連携で攻撃の糸口を掴んだ今治がやや優位に進めた。しかし、後半に入ると札幌がギアを上げ、カウンターとセットプレーを効果的に活用。試合の流れは札幌に傾き、後半の集中力を欠きがちな今治の弱点を突く形で、マリオ・セルジオ選手が同点ゴールを挙げた。

躍進を続けるFC今治：J2で示す高い攻撃力

今回の今治 対 札幌戦のドローは、昇格争いという点では札幌に焦点が当たりがちだが、J2昇格初年度のfc今治の健闘ぶりを改めて浮き彫りにした。

fc今治は現在リーグ10位に位置しており、J2の舞台で確かな存在感を示している。クラブは2024年のJ3・2位からのステップアップを果たし、J1昇格を目指すべく着実にチーム力を高めてきた。

特筆すべきは、その攻撃的なスタイルだ。データが示す通り、今治はリーグ平均を上回る攻撃回数とシュート数を記録している。具体的には、シュート数は平均14.8本（リーグ2位）、攻撃回数は117.3回（リーグ3位）と、常にゴールを意識した積極的なサッカーを展開している。ボール保持率は49.0%と低めだが、これは守備から攻撃への切り替えの速さ、効率的に得点を狙うチーム戦略の表れと言える。

この日の試合でも、M・ヴィニシウス選手を中心に攻撃を組み立て、昇格圏内の強豪である札幌を相手に互角の戦いを演じたことは、fc今治がJ1昇格圏内へ挑戦し続けるポテンシャルを持っている証左である。

札幌、勝ち点1で最終決戦へ

一方、昇格を強く意識する札幌にとって、この引き分けは「痛い勝ち点2の喪失」と見る向きもあるが、「昇格圏を死守した勝ち点1」として評価すべきだろう。前節大分に快勝し勢いに乗っていた札幌は、このドローでリーグ順位を維持したものの、最終節はさらに激しい争いに巻き込まれることが確実となった。

今治 対 札幌戦の終盤、マリオ・セルジオ選手がカウンターの流れから決めた同点ゴールは、札幌の「最後まで諦めない」姿勢を象徴している。彼らは今治の「ゲームのラスト15分での失点が多い」という弱点を突き、集中力を維持して勝ち点をもぎ取った。

J2リーグは最終節に向けて、昇格をかけた熾烈な戦いが続く。fc今治は既に昇格の夢は絶たれたものの、J2での地位を確固たるものとするため、最終戦で勝利を目指す。そして、札幌は今回の今治 対 札幌戦で得た教訓と勝ち点1を胸に、J1復帰をかけた最終決戦に臨むことになる。(共同通信社/スポーツ担当 記者 Y.K.)