【伊東市長選】失職の田久保前市長が再出馬表明:学歴詐称の波紋と市政混乱の行方
ニュース要約: 学歴詐称疑惑で失職した伊東市の田久保眞紀前市長が、再び市長選への出馬を表明した。度重なる政治的混乱は市の高齢化やインフラ老朽化への対応を遅らせており、市民からは説明責任不足と市政の停滞を懸念する声が上がっている。次期市長選は混戦必至であり、伊東市の再生に向けたリーダー選びが注目される。
危機に立つ伊東市政:失職した田久保前市長、再出馬表明の波紋と「まちの再生」の行方
2025年11月23日 静岡県伊東市
古くから国際観光温泉文化都市として知られる静岡県伊東市が、異例の政治的混乱の渦中に沈んでいる。前市長である田久保眞紀氏(55)は、就任後に発覚した学歴詐称疑惑に端を発し、市議会から二度の不信任決議を受け失職した。この混乱は市政を著しく停滞させ、地域経済や観光イメージに深刻な影を落としている。
そうした中、田久保氏は11月19日、失職という重い経緯を背負いながらも、来る2026年(12月7日告示、14日投開票)の伊東市長選挙への再出馬を正式に表明した。「伊東のまち再生を果たしたい」と強い意欲を示す前市長に対し、市民や経済団体からは「説明責任を果たしていない」として、市政の混乱再発を懸念する声が根強く上がっている。
混乱の軌跡と行政の空白
田久保市長の市政運営は、当初から学歴詐称疑惑を巡る議会との激しい対立に終始した。田久保氏は疑惑について「多くの市民に心配と迷惑をかけた」と謝罪しつつも、具体的な説明責任を十分に果たさず、最終的に議会解散を選択した。この対応は「市民不在」の批判を招き、結果的に不信任決議による失職という事態に至った。
この政治的な空白期間は、伊東市が抱える構造的な課題への対応をさらに遅らせている。伊東市は、高齢化率が30%を超え、道路や公共施設の老朽化、そして観光依存からの脱却といった喫緊の課題を抱えている。
田久保氏は観光振興策として、老朽化したインフラの整備や新図書館建設事業の継続を掲げていた。しかし、度重なる政治的混乱により、市長の政策決定力や政治手腕への疑問が市民の間で広がり、具体的な政策はほとんど進展しなかったとされる。特に、市内商工関係者や経済団体からは、市政の停滞が伊東の観光イメージを損ない、地域経済に悪影響を与えているとして、田久保氏の辞職を求める厳しい声が上がっていた。
構造的課題と「観光+定住」への岐路
伊東市は、温泉地としての魅力を再構築する必要に迫られている。人口減少と若年層の流出は深刻であり、「観光が止まれば市も止まる」という構造的リスクを抱えている。
市議会においては、「DX推進・移住促進」を掲げ、観光以外の産業基盤構築を目指す「改革派」と、「温泉街再生・観光PR強化」を重視する「保守派」との間で対立が深まっている。市民が真に求めているのは、伝統的な観光産業を維持しつつ、若者や移住者を呼び込む「観光+定住」への構造転換である。
田久保氏が失職前に推進を試みたインフラ整備や温泉資源の保護・活用に向けた県の支援要望などは、まちの再生に不可欠な要素ではあった。しかし、政治的対立による行政の不安定さが、将来を見据えた計画的な改修・整備の実現を阻んでいるのが現状だ。
再出馬の是非と混戦の市長選
失職を経ての再出馬表明は、伊東市長選を異例の混戦へと導いている。田久保氏の再出馬の意図には、「市政混乱の責任を取るべき」という批判と、「改革を途中で終わらせるわけにはいかない」という支持者の声が交錯している。
田久保氏は、学歴詐称問題や複数の刑事告発に関し、依然として説明が不十分なままであり、市民からは「反省より自己顕示」「市政の私物化」といった厳しい評価も聞かれる。信頼回復は田久保氏にとって最大の課題となるだろう。
今回の市長選には、田久保氏の他、元市長の小野達也氏(62)、元市議の杉本憲也氏(43)ら、すでに複数の候補者が立候補を表明しており、混戦の様相を呈している。公職選挙法に基づき、当選には有効投票総数の4分の1以上が必要となるため、再選挙の可能性も指摘されている。
伊東市の未来は、次期伊東市長が、政治的安定を取り戻し、山積する行政課題(人口減少、老朽化インフラ)にどれだけ実効性のある対応力を示せるかにかかっている。市民の選択は、単なるリーダー選びに留まらず、温泉観光都市伊東の構造転換と信頼回復という重い使命を担うことになる。市政の立て直しは待ったなしの状況であり、今後の選挙戦の行方が注目される。