2025年12月1日 日本ニュース総まとめ
2025年12月1日の日本では、文化・芸術から経済、スポーツ、社会問題まで多岐にわたる出来事が報じられました。この日一日を振り返ると、日本社会が直面する課題と希望が交錯する様子が浮き彫りになります。
文化・芸術界の動き
現代美術家・高橋伸輔氏が伝統的な日本画技法と革新的な表現を融合させ、国際的に高い評価を得ています[1]。紺綬褒章受章など実績を重ねる高橋氏の活動は、今後のアート界の方向性を示す羅針盤となるでしょう。
音楽界では、デビュー約40年を迎える岡村靖幸氏が斉藤和義氏とのユニット「岡村和義」を再始動させ[119]、細野晴臣氏(78歳)も年末ツアーが即日完売するなど[66]、ベテランアーティストの不朽の求心力が際立っています。
映画界では、細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』が興行成績首位を獲得しつつも、評価が二極化[115]。シェイクスピアをモチーフとした重いテーマへの挑戦が議論を呼んでいます。
エンタメ業界の話題
築地銀だこが人気アニメ『HUNTER×HUNTER』と初の全国コラボを12月10日から実施[2]。限定たこ焼と豪華特典で若年層の集客を狙います。さらに12月3日からは「年末大感謝祭」を開催し、たこ焼を通常620円から390円に値下げする3日間限定セールを展開[3]。
白石聖さんが2026年NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』への出演を掴み[4]、国民的女優への飛躍が期待されています。井上祐貴さんも同じく大河ドラマで松平定信役に挑戦し[14]、爽やか路線からの転換が注目されます。
アニメ『ONE PIECE』では、最重要人物「ジョイボーイ」の声優に初代ルフィ役の高乃麗氏が27年ぶりに復帰することが決定し[15][31]、ファンの間で大きな話題となっています。
経済・企業動向
2026年税制改正により、生前贈与の贈与財産持ち戻し期間が従来の3年から段階的に7年に延長される「7年ルール」が導入されます[5]。相続税対策には7年以上の長期計画が不可欠となり、納税者は早期の戦略見直しが急務です。
ウエルシアとツルハの経営統合により、売上高2兆円超、店舗数5600店超の国内最大ドラッグストアグループが誕生しました[22]。イオン主導の下、「ドラッグ&フード」戦略でコスト競争力を強化し、アジア市場への進出を加速させます。
旭化成アドバンスと帝人フロンティアは、繊維・高機能材分野の統合戦略を推進し、グローバル競争力を強化[11]。サプライチェーンのレジリエンス強化やESG戦略の加速を図っています。
金融・株式市場
日銀の植田総裁は12月の追加利上げ判断について、「企業の賃上げスタンスなど多様な指標を点検する」と述べ[39][72]、賃金動向が鍵となることを示唆しました。市場は円高で反応し、段階的な金融政策の正常化への期待が高まっています。
複数の証券会社は2026年末の日経平均株価が55,000円に達すると予測[70]。企業業績の改善や新NISAが追い風となる一方、世界的なAIバブルの行方や米金融政策の不透明性がリスク要因として注視されています。
三菱商事の株価は、バフェット氏の評価と資源高騰に支えられ3700円台で安定推移していますが[89]、第3四半期決算で収益性の鈍化が確認され、成長の持続性に懸念が浮上しています。
防災・インフラ
横須賀市で12月1日午後、主要な水道管が破裂し、広範囲の道路が冠水、交通が寸断されました[9]。老朽管の交換工事中の作業トラブルが原因とみられ、インフラ老朽化と施工管理の課題が浮き彫りとなりました。
岐阜県多治見市の愛岐道路で大規模土砂崩れが発生し、名古屋方面への動脈が長期通行止めとなっています[76][118]。花崗岩質土壌の脆弱性、気温変化による凍結融解、老朽インフラ対策の遅れという複合的な原因が指摘されています。
日本製鉄の室蘭製鉄所では12月1日未明、熱風炉で大規模な爆発火災が発生しました[60][73]。けが人は確認されていないものの、安全管理体制の根幹を問う事態となり、株価も下落しました。
自然災害・気象
2025年12月、異例の黄砂が全国に飛来する予測が出ており[41]、東京では43年ぶりとなる可能性があります。この時期がインフルエンザ流行期と重なるため、専門家はマスク着用や手洗い・うがいなど、黄砂とウイルス両方から身を守る「同時対策」の徹底を推奨しています。
2025年冬のインフルエンザは9月下旬から異例の早期流行を見せ、11月には全国で警報レベルを超過し急拡大[23]。流行の中心は重症化リスクの高いA/H3N2株で、医療体制に負荷がかかっています。
インドネシア・スマトラ島アチェ州を襲った記録的豪雨災害により、死者442人、被災者約110万人が発生[53][92]。道路寸断により日本人8名も一時孤立し、国際的な人道支援と構造的な治水対策の抜本的な見直しが急務となっています。
社会・政治
2025年流行語大賞のノミネート語が発表され、女性初首相の高市氏の「働いて」発言や「AI〇〇」が注目を集めています[67]。専門家は、流行語が政治への高い関心とデジタル社会の深化を示す「社会のバロメーター」であると分析しています。
敬宮愛子さまは24歳の誕生日を迎えられ[77]、日本赤十字社の職員として勤務しながら成年皇族としての公務が本格化。初の海外公式訪問(ラオス)で高い国際性と語学力を示し、平和への強い思いを新たにされました。
南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率が「60~90%以上」に改定され[85]、切迫性が高まっています。政府は即時避難を促す防災計画を強化し、企業には広域BCPとサプライチェーン多重化が急務となっています。
スポーツ界
2025年の現役ドラフトは、DeNA細川選手やソフトバンク三森投手など、主力級選手の移籍が相次ぎ、球界の戦力図を大きく塗り替えました[6]。埋もれていた才能の「復活」の場としても注目され、2026年シーズンに向けて各球団の戦略が反映されました。
陸上界のニューヒロイン、ドルーリー朱瑛里選手(高2)は、独自の「教科書的フォーム」と種目を絞らない育成戦略で国際基準に迫る安定したパフォーマンスを維持[20]。2026年秋には米ワシントン大学へ進学し、2028年ロサンゼルス五輪でのメダル獲得を目指します。
女子プロゴルフでは、佐久間朱莉選手(23)が2025年初の年間女王に輝き、獲得賞金、平均ストロークと合わせて史上稀に見る「3冠」を達成[127]。シーズン4勝、トップ10入り19回の驚異的な安定感を誇ります。
デジタル・IT
マイナンバーカード制度は、運転免許証との一体化により行政DXを加速させ、利便性が飛躍的に向上しました[17]。一方で、マイナ保険証の利用率は37%台に低迷し、情報漏洩事例も発生するなど、国民の信頼回復が急務となっています。
警視庁は、特殊詐欺被害が過去最悪水準で推移する中、公式アプリ「デジポリス」に「国際電話ブロック機能」を新搭載[21]。都内の詐欺電話の約8割が国際電話番号を利用している現状を受け、不審な海外着信を自動で検知・遮断します。
アスクルは10月の高度なランサムウェア攻撃によるシステム障害から本格復旧フェーズに移行し[54]、BtoB向けWeb注文を12月第1週中に再開します。長期化した障害を教訓に、多層防御システムの構築やサプライチェーンの強靭化を最優先課題として取り組みます。
消費・小売
マクドナルドは「福袋2026」の抽選予約をアプリで開始[16]。今年はFrancfrancとの異色コラボが実現し、販売価格を上回る3,910円相当の無料券が付くため、実質無料で限定グッズが入手可能です。
サーティワンアイスクリームは「福袋2026」の詳細を発表[50]。購入価格と同額の電子チケットが付与されるため、アイスクリーム型キッチンタイマーなどの限定グッズが実質無料で手に入ります。予約は12月9日(火)午前10時よりモバイルオーダーで開始されます。
発売以来、品薄が続いていた「Nintendo Switch 2」の供給が年末商戦を前に劇的に改善[18]。ビックカメラでは週間16万台超の供給増で、厳しい購入条件を大幅に緩和し、店頭販売が復活しました。
国際情勢
浜崎あゆみ氏の上海公演が直前で「不可抗力」により中止されました[7]。背景には日中関係の緊張や当局による規制強化が指摘されており、巨額の投資を伴う日本人アーティストの中国市場での活動における政治的リスクの高さが痛感されました。
中国EV最大手BYDがテスラを抜き、世界EV市場の盟主の地位を確立[58]。欧州では前年比285%増という驚異的な伸びを見せ、「BYDショック」を引き起こしています。第2世代刀片電池と徹底した垂直統合による圧倒的なコスト優位性が成功の源泉です。
2026年は、史上初の48カ国W杯とAI技術の臨界点、そして地政学的リスクが絡み合う変革の節目となります[59]。世界経済は貿易摩擦により成長が鈍化する予測ですが、AIパーソナルアシスタントやBCIなどの先端技術が新たな成長機会を創出すると期待されています。
2025年12月1日は、日本社会が直面する多様な課題と、それに対する取り組みが鮮明になった一日でした。文化・芸術の革新、経済の構造変化、防災インフラの脆弱性、デジタル化の推進、そして国際情勢の不確実性など、複雑に絡み合う諸問題に対し、日本はどのように対応していくのか。2026年に向けた重要な転換点となる日々が続いています。
「脱炭素」政策の嘘:歴史家・加藤康子が指摘するEV推進の欺瞞と歴史的教訓
ニュース要約: 歴史家・加藤康子氏が新著で、世界的なEV化と脱炭素政策の「欺瞞」をデータに基づき痛烈に批判。製造過程のCO₂排出や資源依存のリスクを指摘し、「歴史的教訓」の再考を迫る。歴史観、メディア批判を含む多角的な提言が、保守層を中心に大きな波紋を広げている。
論争の核心を衝く歴史家・加藤康子の視点:EV推進、脱炭素政策の「欺瞞」を問う
— 2025年末新著が提起する現代社会の「歴史的教訓」
歴史家であり、産業遺産を巡る論争においても独自の視点を提示してきた加藤康子氏の言論活動が、2025年末にかけて新たな局面を迎えている。特に、池田信夫氏との共著『EV(電気自動車)推進の罠 「脱炭素」政策の嘘』の発表は、国内外で加速する環境政策、すなわち「脱炭素社会」への移行に対する、真っ向からの批判として大きな波紋を広げている。
加藤氏の主張は、単なる政策論に留まらず、現代日本社会が失いつつある「歴史的教訓」と「伝統的価値観」の再考を迫るものだ。国際的な歴史認識問題から、国内のメディア報道、そして最新の技術政策に至るまで、多岐にわたる論争の焦点となっている加藤氏の提言を追う。
I. 「脱炭素」政策への痛烈な批判:EVの神話崩壊
新著で加藤氏が最も強く警鐘を鳴らすのは、世界的な潮流となったEV(電気自動車)化と、それを推進する脱炭素政策の「欺瞞」である。
加藤氏は、EVが一般的に喧伝されるほど「環境に優しい」わけではないという現実をデータに基づいて提示する。製造過程、特にリチウムイオン電池の生産に伴うCO₂排出量や、資源調達(リチウム、コバルトなど)における中国依存、そして廃棄物処理の難しさなど、技術的・環境的リスクを具体的に指摘する。
「現代の政策は、目先の目標達成に囚われ、過去の産業政策の失敗から何も学んでいない」と加藤氏は主張する。特に、SDGsやESG投資といった美名の下に進められる環境対策が、実際には経済的利益や特定の国の地政学的優位性を優先する構造になっている可能性を指摘し、この政策のあり方が日本の産業競争力と未来像を危うくしていると訴える。
彼女の論は、技術革新を盲目的に信奉する現代の風潮に対する、歴史家としての冷静な視点からの異議申し立てと言える。
II. 歴史観とメディア報道への問い
加藤氏の活動が注目される背景には、歴史観を巡る国際的な論争における彼女の役割も深く関わっている。特に、世界遺産「軍艦島」(端島)を巡る歴史認識問題では、「元島民が証言する軍艦島の真実」を重視する立場を取り、韓国政府との歴史解釈をめぐる対立において、日本の立場を明確に主張してきた。
彼女は、歴史的遺産の価値は、国際法や政治的な駆け引きだけでなく、そこに生きた人々の証言と文化的文脈によって裏付けられるべきだと強調する。この歴史観を巡る論争は、現代の日本社会が国際社会でどのように自国の文化と過去を説明すべきかという、根源的な課題を浮き彫りにしている。
さらに、加藤氏は国内のメディア批判も辞さない。大手メディアが、トヨタ元会長の「頑張ろうという気になれない」といった発言を文脈から切り取り、日本社会全体の活力が失われているかのように報じる姿勢は、報道の責任と役割を逸脱していると厳しく指摘する。彼女は、メディアの煽りや一方的な情報発信が、国民の意識形成や政策決定に悪影響を与えていると警鐘を鳴らす。
III. 保守層における影響力と今後の課題
加藤氏の多角的な提言は、現代の「リベラル」あるいは「グローバルスタンダード」とされる価値観に疑問を呈する保守層において、強い共感を呼んでいる。彼女が保守系ニュース番組に出演し、独自の視点を発信している事実は、その影響力を裏付けている。
しかし、彼女の主張が具体的な政策にどの程度の影響を与えているのか、また、保守層内での政治的な繋がりや関与の詳細は、現時点の公開情報だけでは明確になっていない。
加藤氏の活動は、単に過去を研究するだけでなく、歴史的教訓を現代の政策、技術、そして社会の未来像に活かすことの重要性を私たちに問いかけている。2025年末の新著を契機に、EVや脱炭素政策を巡る議論は、技術論争から価値観の対立へと深化していく可能性が高い。彼女の今後の発言と論争の行方が、日本社会の進路を考える上で重要な指標となるだろう。
(共同通信社 経済・文化部 記者分析)