【兵庫ジュニアグランプリ】牝馬トウカイマシェリが快挙達成！園田ダートで頂点へ導く衝撃の末脚

園田競馬に響いた歓声、牝馬トウカイマシェリが頂点へ　兵庫ジュニアグランプリ、ダート王者の系譜を継ぐ快挙

【神戸】 2025年11月28日

2歳ダート路線の将来を占う重要な一戦、第27回「兵庫ジュニアグランプリ（JpnII）」が27日、園田競馬場（ダート1400メートル）で開催され、JRA所属の3番人気、トウカイマシェリ（牝2、栗東・高柳大輔厩舎）が、直線での強烈な末脚を炸裂させ、見事優勝を果たした。勝ちタイムは1分29秒8（稍重）。激しい叩き合いとなったゴール前で、北海道所属のゴッドバロックをハナ差で抑え込み、2歳ダート王者の座を勝ち取った。

トウカイマシェリの勝利は、中央・地方の精鋭が激突する全国交流重賞において、牝馬が牡馬の強豪を退けた快挙として、競馬界の注目を集めている。

強烈な追い込み、鮫島騎手の戦略が光る

この日の園田競馬場は曇り、馬場状態は稍重。1着賞金3000万円を懸けた熱戦には、地元兵庫勢に加え、JRAや他地区の有力馬計12頭が出走した。

レースはスタート直後からハイペースで流れ、小回りコースの特性も相まって、先行争いが激化。有力視されていた1番人気のローズカリスが中団で伸びを欠く中、トウカイマシェリは道中、後方で脚を溜める展開を選択した。騎乗した鮫島克駿騎手は、レース後のコメントで「序盤はゆっくり自分のリズムで、末脚を生かす競馬を先生と話していた」と語っており、厳しい流れを冷静に見極めていたことが窺える。

勝負どころの3コーナー手前からトウカイマシェリは外へと持ち出され、一気に加速を開始。4コーナーでは既に先行集団を射程圏に入れ、直線で他馬を飲み込むように先頭に躍り出た。最後は内で粘り込みを図るゴッドバロックとの壮絶な追い比べとなったが、クビ一つ前に出てゴール。着差は僅かハナ差という大接戦であった。

JRA勢による兵庫ジュニアグランプリ制覇は2017年から数えて9年連続。中央勢の層の厚さが改めて示された形だが、トウカイマシェリはデビュー5戦目で初の重賞タイトル獲得。芝路線からダートに転向しての成功であり、今後、距離や条件が変わっても対応できる器用さを証明した。

2歳ダート路線の登竜門としての価値

兵庫ジュニアグランプリは、1999年に兵庫県競馬にサラブレッドが導入されたことを契機に創設され、若駒の登竜門として歴史を重ねてきた。2007年にはJpnIIに格上げされ、年末の全日本2歳優駿（JpnI）を見据える上で、そのクラシック的価値は年々高まっている。過去には、このレースの勝ち馬が全日本2歳優駿で好走し、2歳年度代表馬に選出される例もあり、当レースの重要性は非常に高い。

特に園田競馬場のダート1400mという舞台は、地方競馬特有のタイトなコーナーワークと、瞬発力だけでなく持続的なスピードが要求される独特のコースであり、適性が問われる。その中で、トウカイマシェリが後方からの差し切りを決めたことは、同馬が持つ高い能力と、小回りコースへの対応力を裏付けるものだ。

全日本2歳優駿へ、牝馬の挑戦に高まる期待

トウカイマシェリの今回の勝利により、今後の2歳ダート路線の勢力図は大きく塗り替えられることとなった。牝馬による兵庫ジュニアグランプリ制覇は、久々の快挙であり、その将来性に対する評価は急騰している。

高柳大輔調教師は「この勝利は大きな自信になる」と語り、トウカイマシェリは次走として、2歳ダート路線の頂点である12月の全日本2歳優駿（JpnI）への出走が濃厚と見られている。牝馬が同世代の牡馬を相手にJpnIを制覇すれば、その価値は計り知れない。

今回の激戦は、単勝500円、馬連複（2-12）1,870円という堅実ながらも波乱の要素を含んだ配当となり、多くの競馬ファンにとって予想の難しさと、レース展開の奥深さを改めて実感させるものとなった。

園田競馬場で繰り広げられた熱戦は、全国の競馬ファンに興奮をもたらし、トウカイマシェリが日本のダート界に新たな風を吹き込む存在となることを予感させた。今後のクラシック戦線、特にダートG1級レースにおける同馬の動向に、引き続き注目が集まる。