エプスタイン文書、ついに全面公開へ:米議会が法案可決、トランプ大統領が署名し成立
ニュース要約: 米議会は19日、故ジェフリー・エプスタイン被告に関連する文書の全面公開を司法省に義務付ける法案を可決し、トランプ大統領が署名して成立した。これにより司法省は30日以内に、エプスタイン被告に関する記録や自殺捜査情報などを開示する必要がある。事件の全容解明に向けた大きな一歩となるが、被害者保護のため個人情報は秘匿される。
米エプスタイン文書、全面公開へ 下院・上院が法案可決、トランプ氏署名
【ワシントン=共同】 米議会は19日、故ジェフリー・エプスタイン被告に関連する文書の公開を司法省に義務付ける法案を可決した。18日に下院が427対1の圧倒的多数で可決したのに続き、上院も19日に正式承認。トランプ大統領が既に署名し、法案は成立した。2019年に拘置所内で死亡したエプスタイン被告を巡る疑惑の全容解明に向け、大きな一歩となる。
30日以内の全面開示を義務化
成立した法案は、司法省に対し30日以内に関連文書の開示を求める内容。具体的には、エプスタイン被告に関する全ての資料や通信記録、2019年の拘置所内での自殺に関する捜査情報、共犯として有罪判決を受けたギレーヌ・マクスウェル被告に関する非機密文書が対象となる。ただし、継続中の捜査情報や被害者の個人情報は開示対象から除外される。
パム・ボンディ司法長官は19日の記者会見で「既に大量の関連文書を公開してきた」と強調し、「今後も法律に従い最大限の透明性を確保する」と述べた。下院監視委員会は既にエプスタイン被告の遺産関連文書2万ページ以上を公開しているが、今回の法案成立により、さらなる情報開示が進むとみられる。
トランプ氏、方針転換で法案支持
当初、エプスタイン被告と交流があったトランプ大統領は資料公開に消極的な姿勢を示していたが、与党共和党内で法成立を求める声が強まったため方針を転換した。16日には方針転換を表明し、下院の共和党議員に賛成票を投じるよう求めた。18日にはSNSで「いつ可決しようとも構わない」と投稿し、最終的に法案への署名を約束していた。
事件の背景と影響
ジェフリー・エプスタイン被告は金融業界で成功を収めた実業家だったが、2019年に性的目的の人身売買容疑で起訴された。14歳を含む未成年者への性的虐待に関与したとされ、拘置所で自殺している。
2024年1月、裁判所命令により約2千ページのエプスタイン文書が初めて公開され、90人近い「関係者」の名前が記載されていたことが判明。著名人、政治家、実業家など多数の名前が含まれており、社会的に大きな波紋を広げた。ただし、文書に名前が記載されることと実際の違法行為には区別があり、記載が即座に有罪を意味するわけではない。
被害者保護と透明性のバランス
今回の法案では、被害者のプライバシー保護に配慮し、個人を特定できる情報は秘匿される。米司法省は「未成年被害者の個人情報や児童ポルノを含む可能性がある資料については、追加公開を行わない」方針を示している。
エプスタイン被告の遺産は約6億ドル(約900億円)超の不動産を含む資産が存在するとされ、死後は被害者補償基金として運用されているが、詳細な管理・分配状況については公開情報が限定的だ。
今後30日以内に司法省がどのような文書を開示するかが注目される。事件の全容解明と被害者保護という二つの要請をどう両立させるか、米国社会の対応が問われている。
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