『エルデンリング』DLC『ナイトレイン』:「葬儀屋」の孤独とパラレル世界で深まる「死生観」
ニュース要約: 世界的ARPG『エルデンリング』の最新DLC『ナイトレイン』が配信。パラレル世界を舞台に、新キャラ「葬儀屋」の孤独と「死生観」を深く掘り下げる。空中戦の新アクションに加え、カトリックの「煉獄」を思わせる設定がBLファンからも熱狂的な支持を集め、既存IPのテーマ深化とメディアミックスの重要性を示している。
『エルデンリング』異聞、深まる「死生観」――DLC『ナイトレイン』が描くパラレル世界の葛藤と「葬儀屋」の孤独
【東京・文化面】 2025年12月4日、世界的な人気を誇るアクションRPG『エルデンリング』の最新ダウンロードコンテンツ(DLC)『The Forsaken Hollows』が配信され、ゲームファンのみならず、コンテンツ批評家からも熱い視線が注がれている。特に、本作のスピンオフ作品『エルデンリング ナイトレイン』の中心人物として登場する新キャラクター「葬儀屋」の設定と、彼が背負う深遠なテーマ性が、従来のファン層を超えた議論を呼んでいる。
本DLCは、従来の『エルデンリング』本編の世界観をベースとしつつも、「パラレルワールド」として独自に設定された破砕戦争後の荒廃した世界を描く。この異聞における最大の脅威は「夜の王」であり、プレイヤーは「夜渡り」と呼ばれる戦士として戦いに身を投じる。この戦いに新たに加わったのが、空中を舞いながら戦う独特な戦闘スタイルを持つ「葬儀屋」だ。
考察を呼ぶ「パラレル」設定と深層心理
『エルデンリング』の強固な世界観を土台としながらも、あえて「パラレルワールド」として展開する『ナイトレイン 葬儀屋』の構成は、ファンにとって尽きることのない考察の余地を生み出している。破砕戦争や黄金樹の分裂といった共通の歴史的要素に加え、「夜の王」の正体や、物語の核心に迫る謎が断片的に提示されることで、コミュニティでの議論が活発化している。
制作側が意図的に仕掛けたこの謎解き要素は、既存のゲームプレイ体験を補完し、物語への没入感を高めることに成功している。また、フルカラー漫画としてのクロスメディア展開も奏功しており、ゲームとコミック双方で物語の深層を探求できる点が、熱狂的な支持を集める重要な要素となっている。
「葬儀屋」がもたらす新たな戦略とアクション
今回DLCで実装された「葬儀屋」は、その戦闘アクションにおいても革新的な要素をもたらしている。空を舞う移動能力と、武器を突き刺すダイナミックな技は、従来の地上戦を主軸とした『エルデンリング』の戦闘スタイルに新たな戦略性を加えた。例えば、もう一人の新キャラクターである「学者」が持つ、敵集団にダメージ共有効果を付与する能力と組み合わせることで、従来のボス戦や集団戦の戦術が大きく変化することが予想される。
ゲーム内での「葬儀屋」の登場は、プレイヤーに新鮮な操作感と戦術の幅を提供し、発売から時間が経過した本編に新たな息吹を吹き込んだ形だ。
なお、今回のDLC配信に際しては、Steam版が一時的に購入不可となるシステム上のトラブルが発生したが、12月4日午前8時には復旧し、多くのファンが早速新たな冒険に乗り出している。
死生観と「煉獄」のメタファー――BLジャンルでの反響
『ナイトレイン 葬儀屋』が特に異彩を放つのは、その扱うテーマの深さにある。「葬儀屋」というキャラクターは、単なる戦士ではなく、「死に生きる者」としての祝福と葛藤を背負っている。
彼の物語の核心にあるのは、死後の浄化や赦しを象徴する設定であり、特定のファン層、特にBL(ボーイズラブ)ジャンルの読者やプレイヤーから強い反響を得ている。作中、葬儀屋が「夜の王」を撃破し、円卓とともに死を選ぶことで他のキャラクターが解放されるという設定は、カトリックの「煉獄」のメタファーとして解釈されることが多い。
円卓が象徴する「罪を持つ死者の魂が浄化される場所」という設定は、生と死の狭間で揺れるキャラクターの孤独や哀愁を際立たせ、BL作品における深いテーマ性を構築している。この「孤独」や「見捨てられた者(Forsaken)」としての存在感が、読者やプレイヤーの感情的な共感を呼び、単なるアクションゲームのスピンオフに留まらない、文学的な深みを与えている。
コンテンツ産業における今後の動向
『エルデンリング ナイトレイン』は、その独自のパラレル設定による世界観の奥深さ、多彩なキャラクターアクション、そしてゲームと漫画の連携による没入感の高さが核となり、配信直後から大きな成功を収めている。
「ナイトレイン 葬儀屋」が体現する、重厚な死生観と複雑なキャラクターの内面描写は、日本のコンテンツ産業において、既存IP(知的財産)を拡張する際の、テーマ性の深化と多様なメディア展開の重要性を示している。現時点ではドラマCD化などの情報はないが、この熱狂的な支持を踏まえれば、今後のさらなるメディアミックスの動向に注目が集まるのは必至である。新たな戦術と深い物語を携えたこのDLCは、今後も長きにわたりファンの考察と議論の的となるだろう。
(共同通信文化部・2025年12月5日)