ブルージェイズ左腕ルーカス、NPB移籍が濃厚 阪神など争奪戦へ

ブルージェイズ左腕 イーストン・ルーカス、NPB移籍が濃厚に 2026年シーズン、即戦力先発として争奪戦の様相

【トロント発 2025年11月27日 共同】

米大リーグ（MLB）トロント・ブルージェイズに所属する左腕投手、イーストン・ルーカス（29）が、2026年シーズンに向けて日本プロ野球（NPB）へ移籍する可能性が極めて高くなっていることが、複数の関係者への取材で明らかになった。ブルージェイズは今月下旬にルーカス投手をウエーバー公示し、事実上の自由契約となる手続きを進めており、全米野球記者協会所属記者らもNPB移籍を報じている。特に先発左腕の補強を急ぐ阪神タイガースをはじめ、複数のNPB球団が獲得に強い関心を示しており、今後の争奪戦の行方が注目される。

MLBでは課題も、3Aでは安定した奪三振能力

イーストン・ルーカス投手は2025年シーズン、MLBで6試合（5先発）に登板し、3勝3敗、防御率6.66という成績を残した。シーズン序盤の4月にはメジャー初先発でワシントン・ナショナルズを相手に5回無失点に抑え初勝利を挙げるなど光明も見えたものの、定着には至らず、シーズン中盤以降は傘下3Aでの登板が主となった。

MLBでの成績は一見厳しいものの、そのポテンシャルは高い。最速156キロ、平均151.0キロの力強いストレートを武器とし、チェンジアップ（平均140.6キロ）、スライダー（平均139.0キロ）を交える投球スタイルを持つ。特筆すべきは、その高い奪三振能力だ。MLBでは24回1/3で23奪三振（奪三振率9.51）、3Aでは69回2/3で74奪三振（奪三振率9.61）と、いずれも高い水準を維持しており、三振を取る力はMLBでも通用するレベルにあると評価されている。

一方で、MLB定着を妨げた課題も明確だ。それが「制球力の不安定さ」と「一発病」である。MLBでの24回1/3の投球で、与四球は12、被本塁打は5を数える。制球が荒れることでストライクゾーンの甘いコースに入った球を痛打される傾向があり、防御率6.66という数字に繋がったと分析される。

阪神が左腕補強へ熱視線、NPBでの成功要因

NPB球団がイーストン・ルーカス投手に熱い視線を送るのは、彼の持つ「即戦力としての左腕先発」という希少価値にある。

情報によれば、特に阪神タイガースは、先発ローテーションの左腕投手の補強を最優先事項としており、ルーカスの獲得に前向きな姿勢を示しているという。また、左腕不足に悩むソフトバンクホークスやオリックス・バファローズなども関心を示しているとされ、今後の正式発表を前に水面下での獲得競争が繰り広げられている模様だ。

NPBでは、MLBで制球に苦しんだ投手であっても、日本のマウンドやボール、そして緻密な配球術によって制球力が改善し、成功を収めるケースは少なくない。ルーカスの持ち味である平均151キロの速球と、140キロ台のチェンジアップは、NPBの打者に対して十分な脅威となり得る。

野球解説者からは、「ルーカスはボールが全く通用しないタイプではなく、ストライクゾーンでの勝負がやや大雑把になることで痛打を浴びている。NPBのコーチングで制球を微調整できれば、3Aで見せた安定感と奪三振能力を活かし、すぐにローテーションの柱となれるだろう」との期待の声が上がっている。

展望：課題克服が鍵、MLB復帰の可能性も視野に

29歳という年齢は、海外移籍組としてはまだ伸びしろがある時期だ。ルーカス投手にとって、NPBはMLB復帰への足がかり、あるいはキャリアを安定させるための重要なステップとなる。

NPBでの起用法は、メジャーでも先発を務めていた実績から、先発ローテーションの一角として期待される見通しだ。課題である制球力と被本塁打のリスクをどこまで抑えられるかが、NPBでの成功の鍵を握る。

イーストン・ルーカスの去就については、年内にも正式な発表があると見られており、どの球団がこの剛腕左腕を獲得するのか、今後の動向から目が離せない。（了）