【4461】第一工業製薬株価が暴落！好業績を打ち消した「需給悪化」の衝撃と今後の見通し

第一工業製薬（4461）株価、週末に急落の衝撃：好業績と需給悪化の狭間で揺れる市場心理

【東京】 2025年11月22日

東証プライムに上場する化学品メーカー、第一工業製薬（4461）の株価が、週末にかけて急激な調整に見舞われ、市場に波紋を広げている。11月21日の終値は7,350円と、前日比で約7.31%（580円安）もの大幅な下げを記録した。直前の20日には年初来高値となる8,090円を付けていたが、わずか1日で急騰前の水準へと逆戻りした形だ。

好調な業績を背景としながらも、突如として発生したこの暴落は、短期的な利益確定売りの集中に加え、自己株式処分や株式売り出しに起因する需給の悪化が構造的な重荷となっている実態を浮き彫りにした。

好材料を打ち消す需給の重圧

第一工業製薬は、2025年10月30日に発表した2026年3月期通期業績予想を上方修正し、営業利益を従来の68億円から82億円（前期比53.2%増）へ引き上げた。さらに、年間配当予想も120円から140円への増額を発表するなど、ファンダメンタルズの面では極めて強力な好材料が出ていた。

この発表を受け、第一工業製薬(株) 株価は一時的に急伸したが、その後の値動きは不安定さを増した。市場関係者は、株価が好業績を織り込む以前に、既に割高圏に達していた可能性を指摘する。

特に投資家が警戒したのは、今年8月26日に発表された自己株式処分や第三者割当増資による株式の希薄化懸念だ。これにより需給バランスが崩れ、売り圧力が継続的に高まっている。直近の急落は、業績期待で買い進めてきた短期筋による大規模な「利食い」が一斉に入った結果と見られている。

アナリスト予想と大きく乖離する株価水準

現在の**第一工業製薬(株)**の株価水準は、専門家による評価と大きな乖離を見せている。複数の証券アナリストの平均目標株価が5,500円前後、理論株価が6,436円と算出されているのに対し、直近の高値は8,000円を超えていた。

市場の一部では、「短期で吊り上げて売り抜ける」といった投機的な動きが株価を押し上げているとの見方も根強く、今回の暴落は、その投機的な熱狂が冷めたサインと捉えることができる。

著名投資家の関与が指摘されるなど、市場心理は極めて不安定であり、PER（連結）も17.9倍と、業界平均と比較してやや高めの水準にあることから、割高感が調整のトリガーを引いたとの分析が主導的だ。

「週末の株価振り返り」と「来週の株価見通し」：NISA投資家が取るべき戦略

2025年11月21日（金）の週末の株価振り返りを見ると、同社のstocksは高値からの調整局面に入ったことが明白だ。出来高も17万株超と高水準で、売り圧力の強さを示している。

来週の株価見通しについて、専門家からは短期的な反発の可能性も指摘されるものの、需給悪化と割高感が解消されるまでは調整が継続するとの見方が優勢だ。短期的なサポートラインとして7,000円台前半が意識されるが、希薄化懸念が払拭されない場合、アナリスト目標株価である5,500円台への下落リスクも視野に入れる必要がある。

特に、NISA（少額投資非課税制度）を活用して同銘柄に投資する中長期保有の投資家にとっては、今回の乱高下はリスク管理の重要性を再認識させる事例となった。配当利回り（予想1.9%）は魅力的であるものの、個別銘柄のボラティリティが高い状況では、安易な短期投資は避けるべきだ。

専門家は、NISA枠を利用する投資家に対し、短期的な株価変動に一喜一憂せず、上方修正された業績の持続性や、医薬品・健康食品分野における同社の高い技術力と中長期的な成長性を評価し、ポートフォリオの分散と損切りルールの設定を徹底するよう推奨している。

4461は、強固なファンダメンタルズと不安定な需給環境という二律背反の状況にあり、今後、市場がどちらを重視するかによって株価の方向性が決定づけられるだろう。市場関係者は、年内にかけての需給バランスの改善状況と、新たな事業材料の有無を注視している。