ベイカレント、DX・生成AI需要で「過去最高益」確実:超積極採用で成長を加速
ニュース要約: 独立系コンサル大手のベイカレントは、DXと生成AI需要を背景に、第2四半期で過去最高益を達成し、26期連続増収増益を見込む。日本企業特化のワンストップサービスと「超積極採用」による人材増強が成長の柱。2029年2月期に売上2500億円達成を目指す。
ベイカレント、26期連続増収増益見込み DX需要を追い風に人材戦略で成長加速
第2四半期で過去最高益、売上高は前年比26%増
国内独立系コンサルティングファーム大手のベイカレント・コンサルティング(東証プライム・6532)が、デジタルトランスフォーメーション(DX)と生成AI需要を背景に、急成長を続けている。10月15日に発表された2026年2月期第2四半期(2025年3~8月)の連結決算は、売上収益が684億6200万円(前年同期比26.6%増)、営業利益が232億7000万円(同28.4%増)と大幅な伸びを記録した。
上期累計の純利益は172億2900万円に達し、前年同期比28.9%増と高い成長率を維持。通期の業績予想は売上収益1430億円(前期比23.2%増)、営業利益510億円(同19.7%増)と、11期連続の最高益更新が確実視されている。
日本企業特化のDX支援が差別化の鍵
ベイカレントの強みは、戦略立案から実装支援まで一貫して提供する「ワンストップサービス」にある。マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループなど外資系大手が戦略策定を中心とするのに対し、同社は日本企業の現場に精通したプロパー人材を活用し、IT実装まで踏み込んだ支援を展開する。
物流業界でのDX推進における従業員の意識改革支援や、富裕層向けデジタルプラットフォームの顧客体験改善など、業界特性に応じたきめ細かいアプローチが評価を集めている。さらに、消費者の嗜好性解析AIの開発や売上予測モデルの構築など、AI・データ活用分野でも実装支援まで一貫して担える体制が、競合他社との明確な差別化要因となっている。
「超積極採用」で人員4800名超、若手でも高収入
急成長を支えるのが、積極的な人材獲得戦略だ。2025年8月末時点のコンサルタント数は4842名に達し、前年から700名以上増加した。2025年期末には約4784名まで拡大し、前年対比24.7%という大幅な増員を実現している。
同社は「超積極採用中」の方針を掲げ、コンサルティング業界未経験者も含め幅広い人材を受け入れている。業界トップクラスの平均年収1349万円(平均年齢31.2歳)という報酬水準が、転職市場での高い吸引力を生んでいる。若手のうちから高収入を得られる環境が整っており、優秀な人材の獲得競争で優位に立っている。
スタッフクラスの人材が戦略から業務・ITまで一気通貫でスキルを習得できる「ワンプール制」も特徴的だ。多様なプロジェクトに関与することで、短期間で実践的な能力を身につけられる育成体制が、人材の定着と成長を促している。
市場拡大見据え2029年に売上2500億円目指す
コンサルティング市場は今後さらなる拡大が予想される。カーボンニュートラルやDX(次世代高度IT)などの新領域の市場規模は現在0.5兆円以上だが、2030年には3.0兆円以上に成長すると見込まれている。
ベイカレントはこの市場拡大を見据え、2029年2月期に売上高2500億円(年平均成長率約20%)という中期目標を設定した。生成AI関連のコンサルティング需要の拡大を捉えつつ、2025年9月に発足させたITサービス事業会社との相乗効果で、さらなる成長を目指す構えだ。
投資家の視線は慎重、主要指標の動向注視
好調な業績の一方、市場では慎重な見方も出始めている。決算発表直後にストップ高買い気配となったものの、その後7日間連続で株価が下落。米系大手証券はレーティングを「強気」継続としながらも、目標株価を引き下げた。
背景には、主要KPI(重要業績評価指標)に「濃淡」が生じていることへの懸念がある。高成長を維持するための持続可能な体制構築が、今後の株価動向を左右する重要なポイントとなりそうだ。
それでも、2025年4月末時点で社員数約6000名とビッグ4を上回る規模を誇り、日本のコンサルティング市場でリーディングプレイヤーとしての地位を確立したベイカレント。企業のデジタル変革が待ったなしの状況にある中、日本企業に特化した支援体制を武器に、さらなる飛躍が期待される。