バルセロナ４－０圧勝で首位猛追！「フリック戦術の柔軟性」と若手の躍動がビルバオを凌駕

伝統と革新の衝突：バルセロナ、ビルバオを圧倒し首位猛追　フリック戦術に見た「柔軟性」と若手の躍動

【バルセロナ発：2025年11月23日】

サッカーのスペイン１部リーグ、ラ・リーガは22日（日本時間23日未明）、第13節が行われ、２位のバルセロナがホームの「新カンプ・ノウ」でアスレティック・ビルバオと対戦し、４―０で圧勝した。この勝利により、バルサは連勝を３に伸ばし、首位レアル・マドリードとの勝ち点差「３」を維持。７シーズンぶりのリーグ連覇に向け、大きな弾みを得た。

試合は、バルセロナ 対 ビルバオという、スペインサッカーの歴史を彩る古豪同士の対決として注目を集めたが、蓋を開けてみれば、バルセロナの攻撃陣が終始主導権を握る展開となった。

４発快勝を呼んだフリック監督の「柔軟な采配」

この日のバルセロナの勝利は、単なる４ゴールという結果以上に、ハンジ・フリック監督がチームに注入しつつある「戦術的柔軟性」を鮮明に示した。

キックオフ直後の前半４分、エース、ロベルト・レヴァンドフスキが先制点を奪取。この得点を皮切りに、バルセロナは前半終了間際にフェラン・トーレスが追加点。さらに後半開始早々の48分には、攻守にわたり「別次元のパフォーマンス」と評されたフェルミン・ロペスが得点を挙げ、試合を決定づけた。

特筆すべきは、ビルバオが持ち味とする「バスクの戦士」らしい激しいハイプレスと、守備ブロックへのバルサ側の対応である。フリック監督は、伝統的なポゼッションサッカーを維持しつつも、相手のプレスを無力化するため、中盤と最終ラインの間隔を意図的に広げ、パスの距離を長く取る戦術を導入。これにより、ビルバオの鋭い寄せをかわすことに成功した。

また、フリック監督は、従来のポゼッション重視に加え、「守備の安定性」と「失った後の即時再奪取」を徹底。攻撃に過剰なリスクをかけず、堅実な試合運びを志向したことで、今季のバルセロナは失点数も抑えられている。後半には攻撃的な「ファイヤーフォーメーション」を採用するなど、試合の状況に応じた大胆な采配も勝利に貢献した。

若き才能の躍動も目覚ましい。20歳代前半のフェルミン・ロペスは、オフザボールでの動きやパス回しで攻撃の起点となり、バルセロナの戦術に不可欠な存在となりつつある。レヴァンドフスキが攻撃の核として安定した得点力を示す中で、若手の台頭がチームに新たな勢いをもたらしている。

首位追走と歴史的対立の背景

バルセロナは、この勝利で勝ち点を28とし、首位レアル・マドリードとの差を３ポイントで維持。今季９勝目を挙げ、リーグ戦連覇へ向けて視界は良好だ。一方、バルセロナ 対 ビルバオ戦は、ビルバオにとって上位進出のチャンスであったが、２試合ぶりの黒星を喫し、７位に留まる結果となった。

この両チームの対戦は、単なるリーグ戦の一試合以上の意味を持つ。バルセロナが本拠を置くカタルーニャ州と、ビルバオが本拠を置くバスク地方という、地域的・文化的な対立意識が背景にあるためだ。両クラブは1929年のラ・リーガ創設時からの参加クラブであり、レアル・マドリードとともにスペインサッカー界の歴史を築いてきた象徴的な存在である。

通算対戦成績ではバルセロナが圧倒的に勝ち越しているものの、ビルバオは「バスク人縛り」という独自の哲学を貫きながら、常に激しいフィジカルコンタクトとプレスでバルサの華麗なテクニックに挑み続けてきた。今回の４―０という大差での勝利は、バルセロナがその人材の多様性と戦術の柔軟性で、古き良きライバルを凌駕した形と言える。

欧州の舞台へ、進化するバルサの挑戦

バルセロナは次節、UEFAチャンピオンズリーグでチェルシーとの大一番を控えている。リーグ戦での勢いを欧州の舞台に持ち込めるかが、今季の成功を左右する鍵となる。

フリック体制下のバルサは、ポゼッションを基盤としつつ、守備の安定性と攻撃の柔軟性という「バランス」を最適化しつつある。レヴァンドフスキの得点力と、フェルミン・ロペスら若手の躍動が融合することで、バルセロナはより予測不能で強固なチームへと進化を遂げている。

首位との直接対決が控える今後のリーグ戦、そして欧州での戦いを通じて、フリック監督の戦術と、新生バルセロナの真価が問われることになるだろう。このバルセロナ 対 ビルバオ戦での快勝は、その挑戦に向けた力強い宣言となった。

（了）