UCL因縁の激突：アトレティコがインテルに劇的勝利、シメオネ長期政権に光明

因縁の激突、アトレティコが劇的勝利　UCLでインテルを破り、シメオネ体制の課題に光

【マドリード発：2025年11月27日 共同通信】

欧州サッカーの頂点を争うUEFAチャンピオンズリーグ（UCL）リーグフェーズ第5節は26日、マドリードのメトロポリターノで行われ、地元アトレティコ・マドリードが宿敵インテル・ミラノを2対1で下す劇的な勝利を収めた。試合は後半アディショナルタイムにDFヒメネスが決勝点を叩き込み、アトレティコが公式戦6連勝を飾る形となった。

この「アトレティコ 対 インテル」の対戦は、2024年のUCLラウンド16でPK戦までもつれ込んだ因縁があり、今回も両者の守備的な哲学と、ディエゴ・シメオネ監督とシモーネ・インザーギ監督という元ラツィオの盟友同士の戦術的駆け引きが注目の的となっていた。

エースと守備の要が躍動、劇的な結末

試合は序盤からホームのアトレティコが持ち前の積極的なプレスでインテルの堅固な3バックに揺さぶりをかけた。前半9分、今季チームのエースとして君臨するフリアン・アルバレスが冷静にネットを揺らし、アトレティコが先制。アルバレスはCL覇者としての実績を引っ提げ、移籍後も変わらぬ決定力を見せつけた。

対するインテルは、主将ラタロ・マルティネスを中心にカウンターを狙う展開。昨季CL決勝でのPK失敗を乗り越え、今季もセリエAとCLで得点を重ねるマルティネスの動きは常に脅威となった。しかし、アトレティコは主力GKヤン・オブラクを欠くというハンデを負いながらも、最後まで集中力を保った。

試合終盤、インテルが同点に追いつき、引き分けムードが漂い始めた後半アディショナルタイム。セットプレーの流れからDFヒメネスが頭で押し込み、これが劇的な決勝点となった。この勝利により、アトレティコはCLグループ上位進出に向けて大きな弾みをつけた形だ。

シメオネ長期政権の光と影

今回の勝利は、アトレティコが抱える内部的な課題を一時的に払拭する明るい材料となった。

シメオネ監督は14年以上の長期政権を築き、クラブに安定とタイトルをもたらしてきたが、近年はラ・リーガでの不調や、クラブ首脳陣との関係悪化が報じられ、チームの停滞が指摘されていた。特に、シーズン中盤のリーグ戦で最下位チームに敗れるなど、不安定さが目立っていた。

シメオネ監督自身は「アトレティコは私がいたいクラブ」と語り、モチベーションの維持を強調しているものの、守備の堅さを特徴としながらも攻撃のパターン不足や過密日程への対応など、戦術的な課題も残されている。

このため、今回のインテル戦での劇的な勝利は、チームの士気を高める上で極めて重要だったと言える。しかし、チームの競争力を維持し、CLでさらに上を目指すためには、来年冬の移籍市場での大型補強が不可避であると見られている。特に、フリアン・アルバレスの得点力は頼みの綱だが、チーム全体の底上げが急務だ。

因縁は続く、欧州の舞台で

一方、敗れたインテルもCLでは開幕4連勝と好調を維持しており、欧州屈指の堅守を誇るチームであることに変わりはない。キャプテンのラタロ・マルティネスは、今回の敗戦をバネに、今後のCLやセリエAでの巻き返しを誓うだろう。

アトレティコ 対 インテルの対決は、単なる一試合の結果に留まらず、守備戦術の極致と、ラテンの情熱が交錯する欧州のトップレベルの物語として、今後もUCLの舞台で火花を散らし続けるに違いない。（了）