安治川イズムが結実!安青錦、異例14場所で大関昇進の裏側—元安美錦の「技術と人間性」哲学
ニュース要約: ウクライナ出身の安青錦が、初土俵からわずか14場所というスピードで大関昇進を確実にした。この快挙は、師匠である安治川親方(元安美錦)の独自の指導哲学の結実だ。親方は、体重至上主義に異を唱え、自身の技巧派イズムと体幹強化を徹底。また、「開かれた部屋」を目指し、伝統と革新を両立させながら、弟子に技術だけでなく人間性を育んでいる。安青錦の成功は、相撲界の多様化と未来の指導の可能性を示している。
安治川イズム、相撲界に新風を 元安美錦の指導哲学が結実、安青錦大関昇進へ
〜「技術と人間性」両輪で育む、伝統と革新を担う安治川親方の挑戦〜
2025年11月27日。大相撲界に新たな歴史を刻む力士が誕生した。ウクライナ出身の関脇・安青錦(あんせいきん、21)が、九州場所の活躍を経て、初土俵からわずか14場所という異例のスピードで大関昇進を確実にしたのだ。この快挙の背景には、師匠である安治川親方(元関脇・安美錦)の独自の指導哲学と、伝統を重んじながらも現代的な「開かれた部屋」を目指す運営手腕がある。稀代の技巧派として名を馳せた安治川親方が、現代の相撲界にどのような新風を吹き込んでいるのか、その指導の核心と未来への展望を探る。
独立と新部屋に込めた「伝統と共生」の理念
安治川親方は、2019年の引退を経て、2022年12月に伊勢ヶ濱部屋から独立し、東京都江東区石島に安治川部屋を創設した。2023年6月に部屋開きが行われた新施設は、木の温もりを活かしつつ、稽古場には土俵と鉄砲柱を配し、壁紙には相撲の歴史を描いた錦絵が施されるなど、伝統継承への強い意志が込められている。
親方は、単に強くなることを追求する場としてだけでなく、「地域とともに歩む」開かれた部屋を目指す。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科出身という異色の経歴を持つ親方は、「外の世界から相撲の世界に目を向けられた」経験を活かし、部屋運営に反映させている。「相撲を応援してくれる人をどんどん増やす工夫をしていきたい」と語る親方の姿勢は、閉鎖的になりがちな相撲部屋のイメージを刷新し、相撲界の「風通しの良さ」を促進しようという強い意志を示している。
体重至上主義へのアンチテーゼ:技巧派イズムの継承
現役時代に技能賞6回を誇った安治川親方の指導哲学は、近年の相撲界で顕著な「体重至上主義」への明確な異論となっている。親方は、自身の持ち味であった「低い立ち合いと多彩な技術」を、内弟子として独立に同行した安櫻や、ウクライナから来た安青錦に着実に伝授した。
特に安青錦は、柔道やレスリングで培った基礎体力と柔軟性を活かしつつ、相撲の基本技術を徹底的に鍛え上げられた。親方は、安青錦の体重が平均以上でなくとも、地道な鍛錬を通じて体幹を強化し、前まわしを引いたり、もろ差しになったりして相手の重さを無力化する攻めを磨かせた。
この指導が実を結んだのが、2025年11月場所(九州場所)だ。安青錦は12勝3敗と優勝争いを演じ、敢闘賞を受賞。初土俵からわずか14場所での昇進は、尊富士に次ぐ史上2位のスピードであり、親方が重視する「技術と体幹の強化」が、現代相撲においても十分に通用することを証明した。
親方業の厳しさと「人間性」の育成
安治川親方が重視するのは、技術だけではない。「相撲が強くなったからって偉くなるわけじゃない」と語るように、親方は弟子の生活指導や精神面の育成にも厳しさを貫く。親方業の難しさを「難しさしかない」と認めつつも、「嫌われ役でいいと思っている」と、厳しい言葉をかける理由を明かす。これは、力士としての成長以前に、社会人としての人間性を育むという、師匠としての重責を自覚しているからに他ならない。
また、安青錦の成功は、相撲界の多様性と国際化を象徴している。親方は、外国出身力士であっても「相撲を好きで、自分で学ぼうとする姿勢」を評価し、才能と人間性を重視した受け入れ方針を堅持する。大学院での学びを活かし、伝統と革新のバランスを意識する安治川親方は、相撲界の未来を見据えた教育的視点を持つ数少ない指導者と言えるだろう。
展望:横綱への道と部屋の底上げ
安青錦は、2026年1月場所(初場所)で大関としての土俵を踏む。親方は「大関の名に恥じぬよう、またさらに上を目指して精進」という弟子の言葉を支えに、指導を継続していく。今後は、大の里のような突き押し中心の圧力にどう対応するか、低く当たる持ち味を攻め切る力にどう昇華させるかが鍵となる。
安治川親方は、安青錦の成功を波及効果として捉え、若手力士の育成強化にも注力する方針だ。安治川部屋の挑戦は、安青錦の横綱昇進という目標だけでなく、相撲界全体の底上げと、伝統を大切にしつつも時代に合わせた柔軟な指導の可能性を示している。(1132文字)