【大相撲九州場所】義ノ富士、横綱豊昇龍を押し出し撃破!学生相撲エリートが掴んだ「初の金星」
ニュース要約: 九州場所10日目、東前頭五枚目の義ノ富士が横綱豊昇龍を押し出しで撃破し、自身初の金星を獲得した。日大出身の学生相撲エリートである義ノ富士の快挙は、豊昇龍の連勝を阻み、新時代への胎動を予感させる。一方、豊昇龍は怪我の影響もあり2敗目を喫し、横綱としての真価が試されている。
義ノ富士、横綱豊昇龍を撃破 「学生相撲エリート」が掴んだ初の金星の重み
2025年大相撲九州場所は、新たな時代の幕開けを予感させる衝撃的な一番が生まれた。東前頭五枚目の新鋭、義ノ富士(伊勢ヶ濱)が、横綱豊昇龍(立浪)を土俵下に沈め、自身初の金星を獲得したのである。この一戦は、連日の熱戦の中で豊昇龍の連勝を阻むとともに、相撲界の勢力図に確かな変化をもたらす快挙として、今、日本中に大きな注目を集めている。
執念のリベンジ、見事な「押し出し」
快挙が達成されたのは九州場所10日目。義ノ富士は前日の9日目にも豊昇龍に挑み敗れている。その屈辱を力に変えたかのように、この日の義ノ富士の立ち合いは凄まじい気迫に満ちていた。
両者が6勝2敗で並ぶ中、横綱戦2度目の挑戦となったこの取組で、義ノ富士は持ち前の怪力と冷静さを遺憾なく発揮した。得意の右四つ・寄りではなく、徹底した「押し出し」で横綱に圧力をかけ続け、体勢を崩した豊昇龍を一気に土俵外へ。横綱に今場所初黒星をつけ、会場の興奮は最高潮に達した。
この勝利は、義ノ富士にとって幕内での地位を確固たるものにするだけではなく、将来の大関・横綱候補としての評価を決定づけるものとなった。九州場所での7勝目を挙げた彼は、まさに勢いに乗る若手の筆頭と言えよう。
エリート街道を経て、頂点を伺う若獅子
義ノ富士直哉は、熊本県出身、日本大学相撲部で学生横綱を含む9つの個人タイトルを獲得した、まさに相撲界のエリート中のエリートである。2024年5月場所の初土俵以来、その昇進スピードは目覚ましい。新十両としては歴代最長クラスの12連勝を記録し、2025年3月場所では十両優勝を果たすなど、順風満帆な出世街道を歩んでいる。
身長183cm、体重151kgの恵まれた体躯に加え、彼の武器はその技術と経験に裏打ちされた勝負勘だ。宮城野部屋閉鎖に伴い伊勢ヶ濱部屋へ転籍した異色の経歴を持つが、横綱照ノ富士の付け人として一流の技を間近で学び、精神的な強さを培ってきた点も大きい。
今回の金星は、単なる番狂わせではなく、学生時代からの圧倒的な実績と、プロ入り後の着実な成長が結実した必然の結果だと言える。
苦悩の横綱・豊昇龍、試される真価
一方、敗れた横綱豊昇龍は、今場所2敗目を喫し、その苦悩が浮き彫りとなった。豊昇龍は横綱昇進後も怪我に悩まされ続けており、特に左足親指の負傷や体調不良により、十分な稽古量が確保できていないことが成績不振の大きな要因として指摘されている。
横綱としての地位を盤石にするためには、安定した勝ち星が必須だが、連敗が続き、精神面での課題も浮上している。八角理事長からも「気持ちを強く出すこと」を求められるなど、心身両面での立て直しが急務となっている。
義ノ富士の勢いのある相撲と対比すると、豊昇龍の抱える課題は深刻である。怪我の完治、稽古環境の改善、そして何より横綱としての精神的な強さを取り戻すことが、今後の土俵人生における最重要テーマとなるだろう。
新時代への胎動
義ノ富士による金星は、単に一つの取組の結果に留まらない。それは、長らく横綱・大関陣が支配してきた土俵に、若き才能が風穴を開けた瞬間を意味する。義ノ富士は今後、大物食いの実績を積み重ね、豊昇龍の背中を追う存在から、やがて肩を並べ、追い抜く存在へと成長する可能性を秘めている。
豊昇龍にとっては、この金星献上を一時的な試練と捉え、怪我を乗り越えて真の横綱としての強さを確立できるかが問われる。
2025年九州場所は、義ノ富士という新たなスターの誕生と、横綱豊昇龍の再起をかけた戦いの場として、相撲史に深く刻まれることになるだろう。相撲ファンは、この新旧のコントラストが織りなす今後の展開に、熱い視線を送り続けている。