山口県、2026年度総合計画の全貌:子育て・産業振興・国際化を柱に
ニュース要約: 山口県は2026年度からの新総合計画案を提示。大石知事の再選を見据え、「こども」と「産業」を最優先に据える。多子世帯の保育料無償化や子育てグリーン住宅支援など多層的な支援策を展開。併せて、錦帯橋の世界遺産登録を目指し、国際化と地域経済の活性化を図る。
山口県、未来への羅針盤示す—2026年度新総合計画、子育て・国際化を推進 晩秋の観光誘致と世界遺産登録への道
【山口】2025年11月27日、山口県は晩秋の彩りを見せる一方で、県政運営の大きな転換期を迎えている。現在開催中の県議会11月定例会では、2026年度からの5年間を見据えた新たな総合計画案が提示され、「こども」や「産業」を柱とした施策が本格的に動き出そうとしている。地域経済の持続的な成長と、次世代を見据えた生活環境の整備が、今後の山口県政の最重要課題として浮上している。
■ 2026年度知事選を見据えた政策綱領
大石賢吾知事が再選を目指す意向を固めている2026年の知事選を前に、県政の羅針盤となる総合計画案が注目を集めている。この計画は「こども」「くらし」「産業」「環境」「安全・安心」の五つの柱を掲げ、特に地域特性を活かした産業創出と、教育・生活環境の整備を両輪に据える方針だ。
産業振興においては、「地方創生」「離島振興」「国際県」をテーマに、地域ごとの強みを生かした施策を強化する。周防大島町をはじめとする離島地域では、来春開校予定の県立大学附属高校の寄宿舎整備が進んでおり、教育環境の整備を通じた若者の定着と地域活性化への期待が高まる。また、下関市や宇部市などでは、国際交流や外国人観光客誘致の施策が強化され、国際的な産業連携を深める動きが加速している。
議会では、県職員の手当引き上げや寄宿舎整備を含む52億8900万円の一般会計補正予算案が提出されており、新計画のスタートダッシュを図るための具体的な財政措置が講じられている。一般質問は12月2日から実施される予定で、各議員が地域経済や産業政策について具体的な質問を行う予定だ。来年の知事選では、すでに立候補を表明している元副知事や会社代表らとの間で、これらの地域経済政策や産業振興の具体策が主要な争点となる見込みだ。
■ 「こども」を最優先、多層的な子育て支援策
総合計画の柱の一つである「こども」関連施策は、県民生活の向上に直結する。山口県は子育てと仕事の両立支援を強化しており、2025年度も休日・夜間保育、病児・病後児保育といった多様な保育事業の設備整備や備品購入に対し、総額2,500万円の助成を予定している。待機児童解消に向けた受け皿拡大と質の向上に注力する姿勢が明確だ。
特に注目すべきは、多子世帯への経済的負担軽減策である。2025年10月には、第2子以降の3歳未満児の保育料無償化が実施され、子育て世帯への支援が手厚くなっている。さらに、NPOやボランティア団体による子育て支援活動を支援する「やまぐち子ども・子育て応援ファンド」や、子育て世帯を対象とした省エネ住宅の新築・リフォームを補助する「子育てグリーン住宅支援事業」(最大60万円)など、多層的な支援プログラムが展開されている。
これらの包括的なアプローチは、結婚・妊娠・出産から安心した子育て環境づくりまでを一貫して支援するものであり、将来的な人口減少対策としても極めて重要視されている。
■ 地域資源を活かした観光戦略:「錦帯橋」世界遺産登録へ
地域経済の活性化策として、観光客誘致も重要な役割を担う。山口県岩国市が誇る「錦帯橋」は、現在、世界文化遺産登録に向けた暫定一覧表への追加記載を国に要望しており、県と市が連携して推進体制を構築している。世界唯一のアーチ構造を持つ5連の木造橋である錦帯橋は、その構造美と景観美が高く評価されており、登録が実現すれば国内外からの観光客増加、ひいては地域経済への大きな波及効果が見込まれる。
また、晩秋から初冬への季節の移ろいも観光資源として活かされている。現在(11月下旬)、岩国市の紅葉谷公園や長門市の大寧寺では紅葉が見頃を迎えている。特に大寧寺では、1300年の歴史を持つ古刹の境内が赤・黄・緑のコントラストで色鮮やかに彩られ、参道を敷き詰める落ち葉の絨毯が訪問者を魅了している。下関市の功山寺のように12月上旬まで見頃が続くスポットもあり、観光誘致に繋げる戦略が進められている。
山口県は、政治、経済、生活環境のあらゆる面で、2026年度を境に大きな変化を遂げようとしている。地域特性を活かした産業創出と、未来の担い手である「こども」を支える施策が、今後の持続可能な発展の鍵を握る。(了)