Valve、リビングルームとVRを狙う!新生「Steam Machine」と「Steam Frame」発表
ニュース要約: ValveはSteam Deckの成功に続き、2026年初頭に新ハードウェアエコシステムを発表。据え置き型PC「新型Steam Machine」(現行Deck比6倍の性能)、スタンドアロンVR「Steam Frame」、新型コントローラーを軸に、リビングルームとVR市場への本格参入を目指す。Steam Deck 2は世代間の飛躍を待つ方針。
Valve、携帯機成功の次へ:リビングルームとVRを狙う新「Steam Machine」エコシステム
2025年11月13日— 携帯型ゲーミング市場に革命をもたらした「Steam Deck」の成功を受け、Valve社はゲーミング体験を拡張するための新たなハードウェアエコシステムを正式に発表しました。2026年初頭の発売を目指す新デバイス群は、「Steam Machine」、「Steam Frame」(VRヘッドセット)、そして「新型Steam Controller」の3本柱で構成され、Valveが再びリビングルーム市場への本格参入を果たす姿勢を示しています。
新生 Steam Machine:家庭用PCの定義を変える
かつて市場で苦戦を強いられた「Steam Machine」の名称が、今回は全く新しいコンセプトと性能を伴って復活します。新型Steam Machineは、コンパクトなキューブ型デザインを採用した据え置き型ゲーミングPCでありながら、その使い勝手はコンソール機に匹敵します。
Valveによると、この新型デバイスは現行のSteam Deckと比較して6倍以上の処理能力を備えており、カスタムAMD APUと最適化されたSteamOSを搭載することで、4K/60fpsでのゲーミング体験を目指しています。これは、リビングルームでPCゲームの広大なライブラリを、従来のコンソール機のような手軽さで楽しむことを可能にする、PCとコンソールの中間を埋める戦略的な製品です。
SteamOSの成熟も、今回の再挑戦を支える大きな要素です。強力な互換性レイヤーであるProtonの進化により、多くのWindowsゲームがシームレスに動作し、ユーザーはフルLinuxデスクトップモードへのアクセスも許可されています。新型Steam Machineは、前回の失敗から学び、オープン性と手軽さを両立させることで、PlayStation 5やXbox Series Xなどの既存の据え置き型コンソール市場に一石を投じる存在となるでしょう。
エコシステムの核となる二つのデバイス
この新しいハードウェア群は、相互運用性を前提に設計されています。
1. Steam Frame (VRヘッドセット)
VR分野におけるValveの新たな挑戦となるSteam Frameは、SteamOSで動作するスタンドアロン型VRヘッドセットです。高性能なスマートフォンやミニPCレベルのパフォーマンスをVRにもたらすとされ、既存のSteamライブラリとの統合が図られています。2026年初頭にARM系システム向けの新しいSteamOS実装と共に登場予定であり、VR市場におけるValveの存在感を再び高めることが期待されます。
2. 新型 Steam Controller
ハードウェアエコシステムの中核を担うのが、再設計された新型Steam Controllerです。PC、Mac、Steam Deck、Steam Machine、Steam FrameといったSteamが動作するあらゆるデバイスでシームレスに機能するように設計されています。
特に注目すべきは、次世代の精密磁気サムスティック(Hall EffectセンサーまたはTMRセンサー)の採用です。これにより、ドリフト(スティックの誤入力)を抑え、高い応答性と長寿命を実現しています。初代Steam Controllerのトラックパッド中心の設計から一転し、より標準的なジョイスティックとボタン配置を採用しつつ、トラックパッドやジャイロ機能も搭載することで、幅広いゲームに対応できる汎用性を高めています。
Steam Deck 2:焦らぬValveの長期戦略
新型Steam Machineと同時期に、多くのユーザーが期待する「Steam Deck 2」は発売されるのでしょうか。
Valveの開発者たちは、Steam Deck 2の発売について「性急な年次リリースは行わない」という明確な方針を打ち出しています。彼らは、真の世代間の飛躍が実現されるまで待つという戦略を採用しており、2025年の発売は除外され、現実的には2026年以降になると見られています。
Steam Deck 2では、AMD Zenアーキテクチャのアップグレード、OLEDディスプレイの改善、バッテリー寿命の大幅な向上など、現行モデルから飛躍的な性能向上(ジェネレーション・リープ)が計画されています。現在のSteam Deck OLEDモデルが携帯型PCゲーミングのトップランナーであり続ける中で、Valveはわずかな性能向上で新製品を出すのではなく、ユーザー体験を根本から変える革新を待っているのです。
まとめ:多角化でPCゲーミングの未来を掴む
Valveの新しいハードウェア展開は、Steam Deckで確立した「オープンなPCゲーミングをあらゆるフォームファクターで提供する」という哲学の延長線上にあります。
2026年春に登場するSteam Machine、Steam Frame、新型Controllerは、携帯機(Steam Deck)と据え置き機(Steam Machine)の連携を強化し、ユーザーが場所を選ばずSteamライブラリを楽しめる環境を構築します。この戦略的な多角化により、Valveは従来のコンソール市場の枠組みにとらわれず、PCゲーマーの多様なニーズに応える新たなエコシステムを確立しようとしています。日本のゲーマーにとっても、高性能かつ手軽にリビングルームでAAAタイトルを楽しめるSteam Machineの登場は、大きな注目を集めることとなるでしょう。