【漆山家】9年密着で見えた「任せる育児」の金字塔:13人大家族の自立と絆
ニュース要約: 15人大家族「漆山家」の9年間の密着ドキュメントが人気継続中。最新シーズン3がFODで独占配信開始された。母・佳月さんが実践する「怒らない・任せる」育児法が注目を集めており、子どもたちが自立と家族の絆を両立させながら成長する姿が、現代の家族像に示唆を与えている。
報道特集:大家族ドキュメントの金字塔「漆山家」が映す現代の家族像――9年間の密着が捉えた「任せる育児」と子どもの自立
【東京 2025年12月1日 共同通信】
15人の大家族の日常と成長を追い続けるドキュメントバラエティ番組「漆山家(うるしやま家)」が、放送開始から9年目を迎える現在も、その人気を拡大している。埼玉県越谷市に暮らす亨パパ、佳月ママ、そして13人の子どもたち(6男7女)から成るこの大家族は、単なる賑やかな日常の描写に留まらず、現代社会における子育てのあり方や、家族の絆の再構築の重要性を示唆する事例として、識者からも高い関心を集めている。
特に、2025年に入ってもその勢いは衰えず、2025年9月15日からは、動画配信サービスFODプレミアムにて最新シーズン3が独占配信を開始。これは2025年夏から冬にかけての家族の「ハッピーな1日」に焦点を当てた全4話構成となっており、長期間にわたる密着取材の歴史に新たなページを加えている。
9年間の軌跡:配信と地上波を席巻する漆山家
漆山家への密着取材は2016年から継続的に行われており、その時系列の記録は、子どもたちの幼少期から思春期、そして社会人としての旅立ちに至るまでの貴重な成長記録となっている。FODプレミアムでは、シーズン1から3までの全シリーズに加え、全6作品の「イッキ見スペシャル」も提供されており、ファンは家族の歴史を遡って視聴することが可能だ。
最新の動向としては、2024年10月から2025年8月まで配信されたシーズン2において、長男の旅立ちや佳月ママの2度にわたる出産など、大家族の重要な節目が克明に記録された。さらに、2025年夏には地上波でも6週連続特番として放送され、夏のバーベキューや花火大会、長女の卒業祝いといった、家族のイベントを通じて育まれる深い絆が紹介され、広範な視聴者層に感動を届けた。
番組の人気の背景には、視聴者が自身の家族像と重ね合わせられるリアリティと、大家族ならではの協力体制が生み出す感動の瞬間がある。「特別な1日」や「ハッピーな1日」をテーマに、四季折々の生活を丁寧に追う制作側の姿勢も、視聴者の共感を呼ぶ大きな要因となっている。
13人大家族を支える「漆山流」教育哲学
漆山家がメディアや教育関係者から特に注目されるのは、母・佳月さんの独自の育児法と、仕事と大家族の家事を見事に両立させる手腕にある。
佳月さんは、美容師として働きながら13人の子どもを育てており、その育児方針は「怒らない・任せる・見守る」という三原則に基づいている。子どもたちを強く叱るのではなく、親が働く姿を見せることで、彼らに自然と感謝の心や礼儀、そして自立心を身につけさせている。この教育方針の結果、子どもたちは思春期にあっても親に対して反抗的な態度を示すことが少なく、家族間の仲が非常に良好であることが番組内で確認されている。
大家族の運営を円滑にするため、家族全員が協力し合い、家事・育児の役割分担を徹底している点も特筆に値する。子どもたちは、長男を筆頭に積極的に家事を手伝い、自らの役割を果たすことで、自主性を育んでいる。専門家は、この「任せる」育児が、子どもたちが自ら考え、行動する能力を促進し、結果的に親の負担を軽減する好循環を生み出していると分析する。
成長と自立:子どもたちが選ぶ多様な進路
長期にわたる密着取材は、漆山家の子どもたちが、家族の温かい支えを背景に、それぞれが選んだ道で新たな挑戦を続けている姿を捉えている。
子どもたちは、専門学校進学、高校進学、就職、そして一人暮らしといった多様な進路を歩んでいる。例えば、次男の凛くんは専門学校に進学し、長男は20歳で就職して独立を果たすなど、家族の教育方針が促した自立心は、彼らが社会に出る上での大きな力となっている。三女の美心ちゃんも高校に進学し、部活動や学校生活に積極的に取り組む様子が紹介されている。
彼らは単に親から独立するだけでなく、家族の絆を大切にしながら、それぞれの新しいステージで自信を持って行動している。母親の佳月さんは、美容師としてのキャリアを維持しつつ、子どもたち一人ひとりの成長を静かに見守り、彼らの挑戦を支えている。
また、家族の日常や子どもたちの社会人デビュー、大学進学といったライフイベントは、YouTubeチャンネル「漆ちゃんfamily」でもリアルタイムに発信されており、番組ファンとの継続的な交流の場となっている。
漆山家の物語は、少子化が進む現代日本において、家族の多様なあり方と、親が子どもの自立を促すことの重要性を強く訴えかけている。最新シーズン3の配信は2025年末まで続く予定であり、今後も彼らの成長と挑戦の日々が、多くの視聴者に感動と示唆を与え続けるだろう。