【独自】東洋大学、新「基礎学力テスト型入試」を本日実施—学力差是正と多面評価の狙い

【独自】東洋大学、新機軸の「基礎学力テスト型入試」を本日実施—問われる真の基礎力、多面的評価で学力差是正へ

2025年11月30日（日）

東洋大学は、2026年度入試より導入した新形式の「総合型選抜 基礎学力テスト型入試」を、本日11月30日に実施した。この入試は、従来の知識偏重型選抜とは一線を画し、基礎学力の確実な習得度と学習意欲を多面的に評価する点が特徴であり、大学入試改革の新たな潮流を示すものとして注目を集めている。

東洋大学が目指すのは、多様な選抜方式を通じて入学した学生間の学力差を縮小し、入学後の教育効果を最大化することだ。入試担当者は、「本学が求める基礎学力とは、高等教育を受ける上での土台となる、英語と国語または数学の確実な理解にある」と説明する。

１．基礎学力重視の背景：学力差是正と多面的な評価

近年、大学入試の多様化が進む一方で、総合型選抜（旧AO入試）や学校推薦型選抜で入学した学生と、一般選抜で入学した学生との間で、入学後の基礎学力に差が生じることが全国的な課題となっている。東洋大学が導入したこの「基礎学力テスト型入試」は、この課題を正面から捉え、文部科学省の指導を受けながらも、年内に実施可能な「個別学力検査」として位置づけられる。

この新制度の最大のポイントは、合否判定が基礎学力テストの得点のみに依存せず、多面的な評価の合計点で行われる点にある。評価の内訳は、基礎学力テスト（英語＋国語または英語＋数学）が200点満点、これに事前課題として課される小論文（10点）および調査書等による書類審査（10点）が加わり、総合的に判断される。

特に配点の高い基礎学力テストは、全学部統一問題として実施され、共通テスト（旧センター試験）と比較して難易度はやや易しい設定とされる。しかし、受験者層は意欲が高く、一定水準以上の基礎力が求められる。また、英語能力については、外部検定試験のスコア活用も可能となっており、受験生は自身の強みを活かした出願が可能となっている。

２．試験実施状況と受験生の戦略

本日実施された試験は、既に出願期間（10月29日～11月4日）を終え、志願者たちが真剣な面持ちで臨んだ。この入試方式は、他大学の入試や東洋大学の一般選抜との併願も可能であるため、受験生にとっては早期に合格を確保し、一般選抜への準備を継続できる戦略的な選択肢となっている。

受験生は、この基礎学力テストの対策として、提供されている過去問解説動画やオンライン講座を積極的に利用し、出題傾向の把握に努めてきた。特に、基礎学力テストの得点が合否に直接影響するウェイトが高いため、英語と国語または数学の基礎を徹底的に固めることが求められた。

また、事前課題の小論文（400字以内）では、単なる知識の有無ではなく、東洋大学の建学の精神や教育理念に触れつつ、自らの学びへの意欲や思考力を表現することが求められる。これは、単に試験の点数だけでなく、入学後に大学での学びを深く追求する意欲があるかを測る狙いがある。

３．大学入試改革の新たな指標となるか

東洋大学 基礎学力テスト型入試の導入は、大学側が求める「基礎学力」の定義を明確化し、多様な学生を受け入れつつも、教育の質を維持・向上させるという、二律背反的な課題への回答の一つとなり得る。

特に、年内に基礎学力を測る試験を実施し、早期に基礎学力の水準を満たした受験生を確保できる点は、大学経営上のメリットも大きい。合格発表は12月15日に予定されており、その結果は、今後の大学入試における総合型選抜のあり方、特に学力担保の手段として、他大学からも注視されることになろう。

今回の新入試は、基礎学力の確実な習得を前提としつつ、書類審査や小論文を通じて受験生の多様な能力や意欲を総合的に評価する、まさに「多面的・総合的な評価」を具現化した形式と言える。東洋大学のこの新しい試みが、日本の高等教育における基礎学力の再定義と、より公平で適切な選抜方法の確立に寄与することが期待される。（了）