「スピードの塊」トウシンマカオが引退、種牡馬入り 短距離重賞5勝の功績
ニュース要約: 短距離重賞戦線で活躍したトウシンマカオ(牡6歳)が、マイルチャンピオンシップを最後に現役を引退し、種牡馬入りすることが正式に発表された。通算26戦8勝、短距離重賞5勝という輝かしい実績を残し、総賞金は4億6000万円超。G1タイトルには手が届かなかったが、その強靭な持続力とHペース耐性は、日本のサイアーライン継承において貴重な遺伝資源として期待されている。
短距離戦線の雄「トウシンマカオ」が引退、種牡馬入りへ 激動の現役生活に終止符
【京都発 2025年11月26日 共同通信】
短距離重賞戦線で長きにわたり活躍し、「スピードと持続力の塊」としてファンに愛されたトウシンマカオ(牡6歳、栗東・高柳瑞樹厩舎)が、去る11月23日(日)に京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップ(G1)を最後に現役を引退し、種牡馬入りすることが26日、正式に発表された。通算26戦8勝、短距離重賞5勝という輝かしい実績を残したトウシンマカオは、G1のタイトルには手が届かなかったものの、その競走スタイルは近年のスプリント路線の趨勢を象徴するものであった。
G1の壁と最後の挑戦:マイルCSで見せた意地
トウシンマカオは、2022年、2023年の京阪杯(GIII)連覇を筆頭に、2024年のセントウルステークス(GII)、オーシャンステークス(GIII)、そして2025年の京王杯スプリングカップ(GII)と、短距離路線で重賞を計5勝。総賞金は4億6000万円を超え、常に一線級のスプリンターとして君臨してきた。
しかし、陣営が悲願としたG1タイトルにはあと一歩届かなかった。直近では、9月のスプリンターズステークス(G1)で10着に敗退。そして現役最後の舞台として選ばれたのが、約3年半ぶりのマイル戦となるマイルチャンピオンシップ(G1)であった。
高柳調教師はレース前、「トウシンマカオの力を出し切るには、スムーズな競馬が一番のポイント」と語り、団野大成騎手(マイルCS時)も「良い状態で臨める」と期待を寄せていた。しかし、強豪が揃ったマイルの舞台で直線での伸びを欠き、結果は10着。短距離で培った持続力を活かしきれず、激動の現役生活にピリオドを打つ形となった。
競走スタイルの功罪:持続力と加速力の葛藤
トウシンマカオの競走能力を分析すると、「持続力とHペース耐性」が最大の武器であったことが明確に浮かび上がる。短距離重賞においては、前半からハイペースで流れる展開に強く、バテないスタミナで押し切る競馬を得意としていた。
一方で、G1戦線で苦戦した要因として挙げられるのが、「加速力の不足」と「枠順への対応」である。データ分析によれば、前半9秒台を刻むような爆発的なラップを要求される展開や、馬群に包まれやすい内枠からのスタートを苦手としていた。特に鞍上を務めた鮫島克駿騎手が「仕掛け始めのタイミングが遅れると致命傷になるため、絶対に馬群を避けたい」と強調していたように、いかにスムーズに外目から追い上げる展開に持ち込むかが、この馬の勝利への鍵となっていた。
近年のスプリント戦線においては、ウインカーネリアンやカンチェンジュンガといった強豪ライバル馬が台頭し、彼らはトウシンマカオが課題としていた「加速力」や「枠順への安定性」を兼ね備えていた。トウシンマカオは、この高レベルな短距離界で、自身の強みを最大限に活かす戦略を追求し続けた稀有な存在であったと言える。
日本のサイアーライン継承へ 種牡馬としての未来に期待
現役を引退したトウシンマカオは、今後、種牡馬として第二の馬生を歩むこととなる。詳細な繋養先は未公表だが、日本で育成されたサイアーラインの継続という点で、大きな期待が寄せられている。
通算成績8勝のうち、短距離重賞を5つも積み重ねた実績は、種牡馬としての評価を確固たるものにするだろう。彼の持つ強靭なフィジカルと、Hペースでこそ真価を発揮する持続力は、スピードが求められる現代競馬において、貴重な遺伝資源となる可能性を秘めている。
高柳調教師や関係者が常に「スムーズな競馬」を追求し続けたのは、トウシンマカオが持つポテンシャルへの信頼の裏返しであった。G1タイトルには惜しくも届かなかったが、ファンに多くの興奮と感動を与えたトウシンマカオ。その功績は長く語り継がれ、今後は父として、日本の競馬界に新たな風を吹き込むことが期待される。
(了)