高市政権「財政健全化」の壁:高支持率の陰で早期解散に慎重論、党首討論で消費減税巡り激化
ニュース要約: 高市政権は高い支持率を維持する一方、党首討論では物価高対策と財政運営を巡り与野党の対立が激化。与党が財政健全化を重視し減税を避けるのに対し、野党は消費税減税で攻勢に出た。高支持率にもかかわらず、早期解散には慎重論が根強く、政権は経済政策のねじれに直面している。
高市政権、高支持率の陰で「財政健全化」の壁 党首討論、野党は消費減税で攻勢 早期解散に慎重論も
【東京】 2025年11月、高市内閣は高い内閣支持率を背景に政権運営を進める一方、次期衆院選を見据えた与野党の政策論争が激化している。特に直近の党首討論では、国民生活に直結する物価高対策と、国の骨格を左右する財政運営のあり方を巡り、与野党の対立軸が鮮明になった。与党が財政健全化と減税回避の姿勢を堅持するのに対し、野党は消費税減税や最低賃金の大幅引き上げを主張し、高市政権の足元を揺さぶる構えだ。高水準の支持率を誇る政権だが、経済政策における国民の不満をいかに解消するかが、今後の政局を左右する鍵となる。
経済政策の核心:消費税と財政運営で溝
今回の党首討論で、最も時間を割かれたのは、依然として続く物価高に対する具体的な対策だった。与党(自民・公明)は、減税措置には慎重な姿勢を崩さず、中長期的な財政健全化を重視しつつ、低所得者を対象とした給付付き税額控除の導入を提案。これは、消費税減税による広範な税収減を避け、必要な層に限定して支援を集中させるという、財政規律を重視した政権の姿勢を反映したものだ。
これに対し、野党は積極的な減税・給付強化を強く求めた。立憲民主党や日本維新の会は食料品への消費税減税を主張し、さらに日本共産党は消費税の5%への緊急減税を提唱するなど、消費税政権策を巡る与野党の溝は深い。特に国民民主党は消費税5%への恒久的な引き下げを提唱しており、税制全体の見直しを主張する与党とは明確に対立する。
また、労働政策においても対照的な姿勢が示された。立憲民主党や国民民主党が時給1,500円への早期引き上げを明言したのに対し、与党は賃上げの必要性を認識しつつも、中小企業への影響を考慮し、慎重姿勢を維持している。
さらに、財政運営の姿勢については、野党内でも意見が割れており、立憲民主党が中長期的な財政健全化を重視する一方、国民民主党は「積極財政と金融緩和による高圧経済」を志向。日本維新の会は「小さな政府」を目指すなど、野党共闘の難しさも浮き彫りとなった。
高支持率の「ねじれ」:解散総選挙への慎重論
高市政権は、発足以来、高い内閣支持率を維持しており、11月の主要な世論調査では66.3%から75.2%と高水準で推移している。この高支持率は、政権運営の大きな武器となっているが、その内実には「ねじれ」も存在する。
専門家の分析によれば、自民党の政党支持率の上昇幅は、過去の組閣直後と比較して小さく、歴史的なレンジで見ても決して盤石ではないとの指摘がある。高支持率が「高市氏個人への期待」に留まり、「自民党政権への全面的な信頼回復」には至っていない可能性を示唆している。
この状況を踏まえ、高市政権が目指す早期衆院解散・総選挙については、世論調査で支持と不支持が拮抗しており、国民の間で慎重論が根強いことが判明している(支持約44%、不支持約50%)。高市政権は、高い支持率を背景に政策を推進する一方で、選挙戦略においては、政権基盤の確実性を巡る困難な局面を迎えていると言える。
野党の戦略:連携模索と統一候補の課題
次期参院選を視野に入れた野党の動きは、政権交代の実現に向けた連携強化と統一候補擁立が軸となっている。立憲民主党、国民民主党、日本維新の会は、与党の少数政権時代(石破政権)を経て、野党間の協調の重要性を認識。特に維新の会は、野党候補の一本化を図るための予備選実施を呼びかけるなど、積極的な動きを見せている。
党首討論の場では、野党は与党に対し、政策や予算審議で強硬な対立姿勢を維持しつつも、政策実現に向けた条件闘争を繰り返すことで、与党の政策に修正を迫るなど、譲歩を引き出す成果を挙げている。高市総裁が野党の主張を部分的に取り入れる協調姿勢を模索していることも、野党の攻勢を助長している側面がある。
しかし、野党各党間の政策や、次期首相候補を巡る隔たりは依然として大きく、完全な連携には課題が残る。財政の持続可能性と国民生活の支援という二律背反の課題を巡る与野党の攻防は、今後、次期選挙に向けてさらに熱を帯びる見通しだ。特に、野党がどこまで連携を深め、政権交代の受け皿として国民に提示できるかが、今後の政局の最大の焦点となる。