キング・オブ・ラブソングとトランペッター:鈴木雅之&桑野信義、45周年を彩る奇跡のハーモニー
ニュース要約: 鈴木雅之氏のデビュー45周年ツアー「Taste of Martini Tour 2025」が開催中。盟友・桑野信義氏がオリジナルメンバーとして参加し、往年の名曲を披露している。この円熟の共演の裏には、桑野氏の大腸がん闘病という試練があった。幼稚園からの友人である鈴木氏の連日の励ましが、桑野氏に生きる希望を与え、見事なステージ復帰へと繋がった。運命的な出会いから45年、二人の揺るぎない音楽の絆が、世代を超えた感動を呼んでいる。
試練を越えた盟友の絆:鈴木雅之と桑野信義、45周年を彩る円熟のハーモニー
【東京】
日本の音楽シーンにおいて、ソウル、ドゥーワップの旗手として長きにわたり君臨し続ける鈴木雅之氏(65)と、トランペッターとしてグループのサウンドを支えてきた桑野信義氏(65)。彼らが共に歩み始めてからすでに半世紀近くが経過した。現在、鈴木氏のアーティストデビュー45周年を記念した全国ツアー「Taste of Martini Tour 2025」が各地でソールドアウトを記録する中、オリジナルメンバーである桑野氏と佐藤善雄氏が参加し、往年の名曲を披露するステージは、ファンにとって格別な感動を与えている。
しかし、この円熟した共演の裏には、盟友の絆が試された壮絶な闘病と、それを乗り越えた強い友情の物語が存在する。
闘病を支えた「兄貴」の存在
2020年秋、桑野信義氏は大腸がんの宣告という大きな試練に直面した。コロナ禍の長期化と重なり、予定されていた鈴木氏のツアー参加は断念せざるを得ず、入院生活は「生き地獄だった」と後に語るほど過酷なものだったという。抗がん剤治療の副作用に苦しむ日々、桑野氏の精神的な支えとなったのは、幼稚園からの60年にわたる付き合いを持つ盟友、鈴木雅之氏の存在だった。
面会が叶わない状況下でも、鈴木氏は連日LINEで激励のメッセージを送り続けた。「今、病院の下を通ったぞ」といった気遣いと、「俺たちはずっと待っている。夏くらいに復帰を目標に来いよ」という明確な目標設定は、桑野氏に生きる希望を与えた。桑野氏は、鈴木氏を「兄貴であり、お父さんのような包み込んでくれる存在」と敬意をもって語る。
この精神的な支援が実を結び、桑野氏は2021年7月7日、大阪公演で見事にステージ復帰を果たした。このカムバックは、単なるグループへの復帰以上の意味を持ち、二人の揺るぎない絆の強さを世に示す出来事となった。
運命の「時報」が繋いだ軌跡
鈴木雅之氏と桑野信義氏の運命的な出会いは、グループ結成の数年前、中学時代の体育館での出来事に遡る。鈴木氏が卒業する際の送る会で、桑野氏が突如舞台に駆け出し、トランペットで時報の音を奏でたのだという。この衝撃的なパフォーマンスが、音楽経験のない仲間とバンドを組むことに難色を示していた鈴木氏の心を動かし、後のシャネルズへの桑野氏の加入を決定づけるきっかけとなった。
1975年9月に結成されたシャネルズは、顔を黒塗りしたドゥーワップスタイルという斬新なショーアップで注目を集め、1980年に「ランナウェイ」でレコードデビュー、瞬く間に人気グループの地位を確立した。
そして1983年3月、グループ名をラッツ&スターに改名。デビュー曲「め組のひと」は80万枚を超える大ヒットとなり、彼らは日本の音楽シーンにおいて確固たる地位を築き上げた。グループ活動休止後も、彼らの音楽的絆は途切れることなく、2005年にはゴスペラーズとのユニット「ゴスペラッツ」を結成するなど、常に新しい挑戦を続けてきた。
45周年ツアーで見せる「過去と現在」の融合
2025年現在、鈴木雅之氏の45周年記念ツアーは、二人の絆とグループの歴史を凝縮した集大成となっている。桑野信義氏と佐藤善雄氏がオリジナルメンバーとして参加し、「ランナウェイ」や「め組のひと (2025 Ver.)」といったシャネルズ/ラッツ&スター時代の代表曲を、当時の熱量を保ちつつ、円熟味を増した高いパフォーマンスレベルで再現している。
特に、YouTubeの生配信番組「REAL THE FIRST TAKE」や、テレビ番組「MUSIC FAIR」など、最新のメディアを通じて披露される彼らの息の合った演奏は、往年のファンだけでなく、若い世代にも新鮮な感動を与えている。
闘病という試練を乗り越え、再びステージに立つ桑野信義氏の力強いトランペットの響きと、「キング・オブ・ラブソング」鈴木雅之氏の艶やかなボーカル。中学時代の運命的な「時報」から始まった二人の物語は、45年という時を経て、今なお日本の音楽界に光を放ち続けている。彼らの奏でるハーモニーは、単なるノスタルジーに留まらず、世代を超えて愛される普遍的な音楽の力を証明していると言えよう。