サカナクション 2025年総括:病を力に変え、総合芸術を深化させる革新の軌跡
ニュース要約: ロックバンド・サカナクションは2025年、ボーカル山口一郎のうつ病との共生をテーマに活動を深化させた。3年ぶりの新曲「怪獣」でサウンドの革新を示し、6.1chサラウンドを駆使したライブは「総合芸術」として高い評価を獲得。病という試練を乗り越え、日本の音楽シーンのパイオニアとして挑戦を続ける彼らの2025年の軌跡を追う。
病と共生し、深化する「総合芸術」 サカナクション、革新を続ける2025年の軌跡
【東京、2025年12月6日 共同通信】 2022年7月の活動休止を経て、2024年より本格的な復帰を果たしたロックバンド、サカナクションが、2025年末を迎え、日本の音楽シーンにおいて確固たる存在感を放っている。特に、ボーカルの山口一郎氏が公表した「うつ病の揺り戻し」という試練を乗り越え、それを創作のエネルギーへと昇華させる姿勢は、多くのファンに感銘を与えている。病との共生をテーマに据えながら、彼らが追求する音楽の「深化」と、ライブにおける「総合芸術」としての完成度は、新たな段階に達している。
山口一郎が語る「揺り戻し」と成長
2024年1月の復帰以降、サカナクションは全国アリーナツアーを成功させ、精力的に活動を再開。しかし、山口氏は2025年8月、自身のSNSでうつ病の「揺り戻し」があったことを率直に報告した。この告白は、単なる体調報告に留まらず、病を隠さず、むしろそれを受け入れることで、自身の内面や音楽性をさらに深めようとする彼の強い意志を反映している。
山口氏は、揺り戻しが追加公演前に来たことを「ラッキーだった」とさえ述べ、病状の変化を活動の糧とする前向きな姿勢を崩さない。現在開催中の全国17都市を巡るホールツアー「SAKANAQUARIUM 2025“怪獣”」や、11月に決定した両国国技館でのワンマン2DAYS公演からも、バンドとしての活動が健全に継続していることが伺える。
3年ぶりの新曲「怪獣」が示すサウンドの革新
サカナクションの音楽的進化を象徴するのが、2025年2月20日に配信された約3年ぶりの新曲「怪獣」だ。アニメ『チ。 ―地球の運動について―』の主題歌として制作された本作は、バンドがこれまで培ってきたキャッチーなメロディラインと、生バンドサウンド、エレクトロニックサウンドの融合をさらに推し進めた意欲作である。
特に注目すべきは、ハウスやテクノに由来するダンスグルーヴを巧みに取り入れ、ナイーブな感情表現と身体に訴えかけるダイナミズムを両立させている点だ。この革新的なサウンドは、配信初日にSpotifyでの再生回数歴代記録を更新し、YouTubeの音源動画も1週間で300万回再生を突破するなど、大衆からも圧倒的な支持を得た。「怪獣」は、単なる復帰後の新曲というだけでなく、日本のオルタナティブ・ロックにおける最先端を示す重要なマイルストーンとなった。
6.1chサラウンドが織りなす「没入体験」
サカナクションのライブパフォーマンスは、単なる演奏会ではなく、「総合芸術」として国内外から高く評価されている。その核となるのが、先進的な映像技術と音響設計の緻密な融合だ。
特に、ライブにおいて導入されている6.1chサラウンドシステムは、観客を音の多方向的な広がりで包み込み、映像や光、パフォーマンスと一体化した強烈な没入感を提供する。レーザー光線や巨大な幕を用いたダイナミックな演出に加え、Rhizomatiksなどの映像制作チームによる高精度な映像投影が、楽曲の世界観を拡張する。
バンドは、ライブ演出において「予定調和」と「良い違和感」の共存を意識しており、計算された曲間のつなぎや会場ごとのアドリブが、毎回新鮮で驚きのある体験を生み出している。音響、視覚、感覚の全てを刺激するこの先進的なコンサート体験こそが、サカナクションがライブシーンで特別な地位を築いている所以である。
年末特番と音楽賞受賞に見る影響力
2025年終盤においても、サカナクションはその影響力を示し続けている。12月12日には、東京ガーデンシアターで開催される「Spotify On Stage Tokyo 2025 -Year-End Special-」に出演。さらに、12月27日には年末の大型ロックフェス「FM802 RADIO CRAZY 2025」への参加も決定しており、多忙な年末を過ごす予定だ。
また、本年は新曲「声」がフジテレビ系月9ドラマの主題歌に起用されたほか、5月には日本最大級の国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」にて最優秀国内オルタナティブアーティスト賞と楽曲賞を受賞するなど、高い評価を確立。
病という試練を乗り越え、その経験を糧として音楽に深みを与え続けるサカナクション。彼らは、日本のロックシーンにおいて、常に革新と挑戦を続けるパイオニアとして、2026年以降もその活動から目が離せない。(了)