ロアッソ熊本、J2残留は最終節へ！痛恨ドローで浮き彫りになった「防御の課題」

J2残留の行方、最終節へ持ち越し　ロアッソ熊本、愛媛との激闘で「勝ち点1」の重み

【ニンジスタジアム発】 2025年11月23日、J2リーグは終盤戦のハイライトとなる第37節を迎え、J2残留をかけた熾烈な戦いが繰り広げられた。ニンジスタジアムで行われた愛媛 対 熊本の一戦は、既にJ3降格が確定している愛媛FCが意地を見せ、残留争いの渦中にあるロアッソ熊本と1-1で引き分けた。この結果、熊本は勝ち点1を加えたものの、残留確定はならず、その運命は最終節へと持ち越されることとなった。

執念の同点弾、愛媛が示したプロの矜持

この日の試合は、残留に向けて是が非でも勝利が必要なロアッソ熊本が、立ち上がりから主導権を握った。前半2分、FW神代慶人が電光石火の先制点を挙げ、幸先の良いスタートを切る。熊本は、愛媛FCに対して過去の対戦成績で圧倒的な優位性（直近6試合で5勝1分）を誇っており、このまま逃げ切りたいところであった。

しかし、既に降格が決まりながらもホーム最終戦でサポーターに勝利を届けたい愛媛FCも、Jリーガーとしての矜持を見せる。後半、愛媛は粘り強く反撃し、同点ゴールを奪取。試合はそのまま1-1で終了した。

ロアッソ熊本にとっては、前半のリードを守り切れなかったという点で、反省の残る引き分けとなった。だが、この勝ち点1は、残留争いのライバルである18位富山、19位山口との勝点差をわずかではあるが維持する上で、極めて重要な意味を持つ。

苦悩のシーズン、浮き彫りとなった課題

ロアッソ熊本は、2025年シーズンを通して苦しい戦いを強いられてきた。昨年（2024年）の12位から順位を大きく落とし、現在17位。特に9月下旬からの7試合未勝利という失速が、残留争いに巻き込まれた最大の原因だ。

データ分析からも、チームの課題が明確に浮かび上がる。今季の総失点は「56」とリーグワーストクラスであり、防御の不安定さが常にチームの足を引っ張った。特にアウェイ戦では勝率18%と脆さが目立つ。

一方で、攻撃面では塩浜遼（10得点）、神代慶人（7得点）ら若手アタッカー陣の台頭という明るい材料もあった。しかし、チャンスを作り出す「期待値（xG）1.179」に対して、実際の得点効率は「1.08」に留まっており、決定機を確実にモノにできない「決定力不足」が、勝ち点を積み上げられない要因となった。愛媛戦での引き分けも、まさにこの課題を象徴する結果と言えよう。

最終節への展望と来季に向けた提言

この愛媛 対 熊本戦の結果、ロアッソ熊本の残留は最終節までもつれ込んだ。クラブは、この激戦を乗り越え、来季に向けては抜本的なテコ入れが求められる。

最も喫緊の課題は、防御陣の強化だ。経験豊富なセンターバックの獲得や、GK陣の安定化は急務であり、失点体質の改善なくして中位以上の進出は望めない。さらに、攻撃陣には、若手の成長を促しつつも、J1経験者や海外組など、決定力に長けた即戦力FWの補強が不可欠となる。

ロアッソ熊本の大木監督は、過去の対戦後には「チームとして取り返せる力はある」と選手への信頼を語っていたが、シーズン最終盤の失速は、戦術の柔軟性や選手層の薄さに起因している可能性が高い。

サポーターは、この「愛するクラブ」の苦境に対し、えがお健康スタジアムでのホームゲームを中心に熱狂的な声援を送り続けている。地域密着型クラブとしての熱量は健在だ。

2026年シーズンに向け、ロアッソ熊本が目指すべきは「残留争いからの脱却」である。最終節でJ2残留を掴み取り、その後のオフシーズンで、今季浮き彫りとなった課題を克服できるか。クラブの将来は、今後の補強戦略と若手育成のバランスにかかっている。（了）