【独自】パリ五輪金 角田夏実、現役引退へ 32歳「寝技の女王」異色のキャリア終止符
ニュース要約: 柔道女子48kg級パリ五輪金メダリスト、角田夏実選手(32歳)が、現役引退の意向を固めたことが判明した。史上最年長で五輪の頂点に立ち、「柔術柔道」で世界を席巻した異色の女王が、華々しいキャリアに終止符を打つ。今後は、その豊富な経験と技術を活かし、指導者として後進の育成に貢献することが期待される。
【独自】パリ五輪金 角田夏実、現役引退へ 32歳、異色のキャリアに終止符か
柔術融合の「寝技の女王」 苦難の末掴んだ栄光、後進に託す
2025年12月10日
柔道女子48kg級のパリ五輪金メダリスト、角田夏実選手(32歳)が、競技の第一線から退く意向を固めたことが、複数の関係者への取材で明らかになった。角田夏実選手は近く記者会見を開き、この決断を正式に発表する運びとなる見通しだ。史上最年長となる31歳11ヶ月で五輪の頂点に立ち、その圧倒的な「柔術柔道」で世界を席巻した異色の女王は、約1年半にわたる葛藤の末、華々しいキャリアに終止符を打つ。
葛藤の末の決断 パリ五輪後の挑戦を経て
角田夏実選手は、2024年パリ五輪で悲願の金メダルを獲得した後も、競技続行か引退かについて熟慮を重ねてきた。五輪直後には、達成感と燃え尽き症候群の間で揺れ動く様子も伝えられていたが、柔道への情熱は尽きず、2025年4月には体重無差別の全日本女子選手権に挑戦するなど、限界への挑戦を続けていた。
しかし、今年12月に入り、国際大会グランドスラム東京のイベントに参加した後、「今後のことは会社と相談しており、発表の準備を進めている」と発言。関係者の話からも、第一線からの退く決意が固まったことが確認された。五輪という柔道家にとって最高の目標を達成し、若手育成への貢献や、過酷な減量生活からの解放といった要素が、今回の引断を後押ししたと見られる。
角田夏実選手の競技人生は、常に挑戦と苦難の連続だった。柔道界では決してエリート街道を歩んだわけではなく、一時は階級転向(48kg級から52kg級)も経験。度重なる怪我や、女子48kg級特有の厳しい減量に苦しみながらも、柔道への愛を再確認し、国際舞台で独自の地位を築き上げた。彼女の引退は、一つの時代の終焉を意味するが、その姿勢は多くの若手柔道家にとって「希望であり目標」であり続けている。
世界を圧倒した「魔法の組み手」と「寝技」の極意
角田夏実選手の強さは、従来の柔道スタイルを超越した、独自の技術体系にある。その核となるのは、変幻自在な組み手から繰り出される立ち技と、ブラジリアン柔術から着想を得た高度な寝技の連携だ。
特に注目すべきは、角田夏実選手が長年にわたり研究し磨き上げてきた、寝技の完成度である。柔道では「捨て身技」とされる巴投げから、流れるように寝技へと移行し、相手に体勢を立て直す隙を与えない。彼女の代名詞とも言えるのが、柔術で多用されるニーオンベリー(腹部への膝圧迫)のポジションから、瞬時に腕十字(腕ひしぎ十字固め)へと移行する一連の動作だ。この連携は、関節に高い圧力をかけ、国際大会で一本勝ちを量産する最大の武器となった。
関係者は「彼女の組み手は『魔法のように人を投げる』と評されるほど完成度が高かった」と語る。長年の実戦的なグラップリング練習を通じて培われた、倒されない防御力と、倒されても即座にポジションを奪い返す能力は、世界女王としての圧倒的な安定感を支えていた。柔道界において、柔術の技術をこれほどまでに高次元で融合させ、国際大会で結果を残し続けた例は稀有であり、角田夏実選手の功績は、今後の柔道技術論にも大きな影響を与えることになるだろう。
苦労人が残す柔道への情熱 指導者としての未来に期待
角田夏実選手のキャリアは、メンタルの弱さや、度重なる試練を乗り越えてきた「苦労人」としての側面も持つ。父の勧めで柔道を始め、大学時代に「柔道を楽しむ」ことを学び、自発的に技術を磨き上げる姿勢を確立した。この苦難を乗り越える力が、彼女を最年長金メダリストへと押し上げた原動力となった。
彼女の引退は、競技者としては一区切りとなるが、柔道界への貢献は今後も続くと期待されている。角田夏実選手は、その豊富な経験と、柔術を含む幅広い技術知識を背景に、引退後は指導者や柔道スクール運営など、後進の育成に携わる可能性が高い。
パリの畳の上で見せた、執念と技術の結晶は、若手柔道家たちにとって永遠の教材となる。角田夏実選手が柔道界に残した足跡は深く、彼女の第二の人生が、日本の柔道界に新たな風を吹き込むことに期待が集まっている。正式な発表を待ち、その功績を改めて称えたい。