異例の11月黄砂、日本列島を広く覆う：福岡で視程5km以下、健康被害に厳重警戒

ニュース要約: 通常春先の黄砂が11月下旬に日本列島を広く覆っている。大陸の異常乾燥と特殊な気圧配置が原因とされ、福岡では視程5km以下、大阪でも15年ぶりの観測となる異例の事態だ。交通障害や健康被害のリスクが高まっており、気象庁はマスク着用や屋内対策など、市民に厳重な警戒と予防策を呼びかけている。

異例の晩秋、日本列島を覆う黄砂　福岡で視程5km以下、大阪も15年ぶり観測か

【2025年11月26日 午前 共同通信配信】

通常、春先の風物詩として知られる黄砂が、11月下旬という極めて異例の時期に日本列島を広く覆っている。気象庁によると、大陸からの砂塵は25日から西日本を中心に飛来しており、黄砂の影響は福岡から大阪を含む東日本まで及んでいる。特に黄砂が濃くなっている地域では視程（見通し）の悪化が深刻化しており、交通障害や健康被害に対する厳重な警戒が呼びかけられている。

季節外れの飛来、広範囲で視界不良の懸念

気象庁の発表及び各地方の黄砂情報によれば、今日（26日）の午前中にかけて、日本海側と南岸を東進する低気圧の背後に位置する乾燥した空気の流れに乗って、大量の砂塵が運ばれた。この時期の黄砂飛来は極めて珍しく、もし大阪や東京で観測されれば、11月としては実に15年ぶりの異常事態となる。

最も影響が顕著なのは九州地方だ。黄砂福岡では25日から26日にかけて濃い黄砂が観測されており、福岡市では午後に視程が5キロメートル以下に悪化する見込みである。視程5キロメートル以下は、自動車の運転などに支障をきたすレベルであり、高速道路や空港での交通機関の遅延や運行中止のリスクが高まっている。

一方、西日本の主要都市である大阪府でも、26日午前中にかけて黄砂が「やや多い」レベルで予想されており、視程が10km未満となる見通しだ。市民生活への影響も懸念されており、気象当局は最新の黄砂情報を確認し、冷静な対応を求めている。

大陸の乾燥と気圧配置が生んだ異例の現象

なぜ、例年なら草木が枯れ雪が降り始める晩秋に、これほどの規模の黄砂が発生したのか。気象専門家は、今回の異例の現象の背景に、大陸の砂漠地帯における特殊な気象条件を指摘する。

通常、秋季は春季に比べて地表が湿潤であり、砂塵が舞い上がりにくい環境にある。しかし、今年は大陸で10月以降、雨の少ない状態が継続しており、地表が極度に乾燥。これに加えて、大陸の低気圧や気圧配置が例年と異なる動きを見せたことで、乾燥した砂が強風によって巻き上げられ、偏西風に乗って日本まで運搬されたと分析されている。

つまり、今回の今日の黄砂は、大陸の異常な乾燥と、秋としては珍しい気象パターンの組み合わせによって引き起こされた、複合的な気象災害といえる。