二本松市長選挙、三保氏が激戦制し5選 安定継続か、若き刷新か
ニュース要約: 福島県二本松市長選挙は、現職の三保恵一氏(76)が8年ぶりの激戦を制し、5選を果たした。若手新人候補が肉薄し、世代交代と刷新を求める声が顕在化。長期政権の安定が選ばれたが、人口減少対策と次世代へのバトンタッチが5期目の重い課題となる結果となった。
安定か、刷新か 8年ぶり激戦を制す 二本松市長、三保氏が5選
2025年12月1日 朝刊
福島県二本松市で11月30日に投開票が行われた二本松市長選挙は、現職の三保恵一氏(76、無所属)が、新人2氏との激戦を制し、5選を果たした。三保氏は、長期にわたる市政運営の実績と「安定」を訴え、その支持基盤の強さを見せつけた。しかし、40代の新人候補が肉薄した背景には、深刻化する人口減少と、市政の世代交代を求める市民の潜在的な声があり、三保氏の5期目には、その「変化への要求」にどう応えるかが重い課題として残された。
僅差の攻防、現職に立ちはだかった「若き壁」
二本松市長選挙 結果は、三保氏が12,099票を獲得し、次点の安部章匡氏(44、無所属、神職)の10,431票を約1,600票差で振り切る形となった。もう一人の新人、高橋翔氏(37、無所属、宇宙関連企業経営者)は682票だった。
三保氏は前回(2021年)は無投票当選だったため、今回は8年ぶりの選挙戦となり、「市政の継続性」対「新風の導入」という対立構造が鮮明となった。三保氏の高齢(76歳)に対する「高齢市政の限界」を指摘する声と、長年の経験に基づく「安定」を求める声が拮抗し、選挙終盤まで予断を許さない状況が続いた。
構造的課題と世代交代論
選挙戦の最大の争点は、市が抱える構造的な課題、すなわち「人口減少と地域経済の活性化」であった。二本松市は福島県内でも人口減少が深刻な自治体の一つであり、今後の持続可能性が問われている。
現職の三保氏は、これまでの地域資源を活用した移住・定住促進策の継続と、堅実な財政運営を強調した。一方、安部氏は「神社や伝統文化を活かした観光振興」と「若手世代の参画」を掲げ、現市政への変化と刷新を強く訴えた。特に安部氏が世代交代を前面に打ち出したことで、現市政に閉塞感を抱く若年・中間層の票を大きく集めることに成功した。高橋氏は「宇宙関連産業の誘致」や「ICTを活用したまちづくり」という独自のアプローチで、特定の層にアピールを試みたが、支持の広がりには至らなかった。
低投票率が示す有権者の複雑な心境
今回の投票率は54.87%に留まり、前回選挙戦が行われた2017年の66.24%から10ポイント以上も低下した。この低投票率は、有権者層が「現職の継続による安定」と「若手による抜本的な変革」のいずれを選ぶか決めかねた、複雑な心境の表れと分析される。
三保氏の勝因は、やはり長期政権で築いた強固な支持基盤と、農業を中心とする保守層の「実績重視」の安定志向を確実に固めた点にある。長年にわたる地域活動と行政経験への信頼が、新人候補の「変革」の訴えを上回ったと言える。
しかし、安部氏が善戦し、現職に肉薄した事実は、二本松市民が変化を求めていることの何よりの証左である。安部氏の得票は、現市政に対する一定の不満や、未来への不安を抱える市民の「受け皿」として機能した結果と見られる。
5期目に課せられた「次世代へのバトン」
三保氏の5期目スタートは、日本の地方自治体が抱える普遍的な問題、すなわち「高齢化する首長と、若者の政治参加」という課題を改めて浮き彫りにした。76歳での再選は、豊富な経験を活かせる半面、政策決定におけるスピード感、そして最も重要な「次世代リーダーの育成」が強く求められる。
三保市政は今後、喫緊の課題である人口減少対策として、若者の定住・起業支援策や、子育て世代への具体的な優遇措置の加速が待たれる。また、今回の選挙戦で示された安部氏や高橋氏といった若手候補の「新しい視点」や「先端技術の活用」といった要素を、いかに既存の市政運営に取り込み、融和させていくかが鍵となるだろう。
敗れた安部氏や高橋氏ら若手候補の今後の政治活動にも注目が集まる。今回の選挙戦を通じて、二本松市における「変化を求める勢力」の核として存在感を示した彼らの活動が継続されれば、市民の市政への関心喚起、ひいては投票率の回復にもつながる可能性がある。
今回の二本松市長選挙 結果は、現職が安定を保った一方で、変革を求める市民のエネルギーが明確になった選挙であった。三保新市長には、そのエネルギーを市政の活力へと転換し、未来の二本松市に確かなバトンを渡すための重責が課せられている。(了)