新政権が「給付付き税額控除」導入加速、低所得層支援と所得再分配を強化
ニュース要約: 新政権は、中低所得者層の負担軽減と所得再分配強化のため、「給付付き税額控除」の導入設計を加速させている。これは、控除額が納税額を上回る場合に差額を現金給付するハイブリッド型支援策で、非課税世帯にも恩恵が届く。物価高騰下の生活安定と就労意欲向上を期待する一方、複雑なシステム設計と財源確保が今後の焦点となる。
「給付付き税額控除」導入へ、新政権が制度設計を加速 低所得層支援と所得再分配機能強化の柱に
2025年11月28日
新政権は、中低所得者層の税・社会保険料負担軽減と所得再分配機能の強化を目的とした新たな税制改革の柱として、「給付付き税額控除」の導入に向けた制度設計を加速させている。高市総理(仮称)は所信表明演説などで、この制度を「税と社会保障の一体改革」の重要施策と位置づけ、超党派による国民会議を設けて中期的な実現を目指す方針を明確にした。従来の定額減税や一律給付措置では恩恵が届きにくかった非課税世帯やワーキングプア層に対し、手厚い支援を可能にするハイブリッド型の支援策として、その動向が注目される。
低所得層の生活安定を目指す、減税と給付のハイブリッド戦略
近年、長期化する物価高騰と社会保険料の負担増は、特に子育て世帯や勤労者といった中低所得者層の実質的な手取り収入を大きく圧迫し続けている。こうした状況を受け、新政権が目指す「給付付き税額控除」は、単なる減税措置ではなく、生活安定と勤労意欲の向上を両立させることを企図している。
この制度の核心は、所得税の控除額が納税額を上回る場合、その差額を国が直接、現金として給付する点にある。例えば、所得税額が5万円の世帯に10万円の控除を適用した場合、5万円を控除し、残りの5万円が給付金として支給される仕組みだ。これにより、所得税を納めていない非課税世帯にも実質的な支援が届くことが最大の特徴となる。
これは、納税者に限定され、支援効果が限定的だった2024年の定額減税や、所得水準に関わらず一律に行われる給付金とは一線を画す。給付付き税額控除は所得に応じた逓減制(所得が増えるほど給付額が減る仕組み)を導入することで、支援の焦点を低所得層に絞り込み、効率的な所得再分配を実現する狙いがある。政府は、この仕組みを通じて、働く意欲を削ぐことなく、真に困窮する世帯の家計を直接的に下支えする効果を期待している。
制度設計の複雑性と行政コストの増大という壁
新政権はこの画期的な制度の早期導入を目指すものの、実現に向けた道のりは平坦ではない。最大の課題は、制度設計の複雑性と、それに伴う行政・企業の事務負担の増大である。
給付付き税額控除の導入には、対象者(特に非課税世帯や低所得層)の所得状況を正確かつリアルタイムで把握するための大規模なシステム改修が不可欠となる。現行の税制・社会保障システムと整合性を持たせながら、所得の増減に応じて給付額を段階的に調整する仕組みを組み込む必要があり、システムの設計・運用は極めて複雑化する。特に、所得税の基礎控除の調整や、既に存在する各種給付制度との「二重取り」を防ぐための厳密な審査体制の構築が求められる。
また、地方自治体や企業における事務負担も懸念される。政府は事務負担の軽減策を模索しているが、所得の把握や給付対象の判定といった煩雑な手続きをどう簡素化するかが重要課題だ。さらに、制度を恒久化するための安定的な財源確保も重要な論点であり、国民的な理解を得るための議論が求められている。
海外事例に見る経済効果と就労インセンティブ
給付付き税額控除は、既に英国や米国などで先行モデルが存在する。特に米国のEITC(Earned Income Tax Credit)は、低所得の勤労者世帯に対する強力な支援策として機能し、就労インセンティブの向上に貢献していることが知られている。所得が増えるにつれて控除額が増加する「フェーズイン」段階を設けることで、「働けば働くほど手取りが増える」という構造を作り出し、ワーキングプア層の社会参加を促す効果が期待される。
日本においても、この制度は経済の活性化に寄与すると見られている。低所得者層の可処分所得が増加すれば、消費性向が高いこれらの層を通じて内需が刺激され、デフレ脱却に向けた力強い追い風となり得る。生活の安定化は、社会全体の基盤強化にもつながるため、単なる福祉政策にとどまらない、内需拡大を促す重要な経済政策としての側面も大きい。
今後の議論の焦点:財源確保と国民理解
新政権内では、高市総理の強い推進姿勢がある一方で、与党内には制度設計の難しさや巨額な財源問題を理由に慎重論も根強く残る。特に、一律の給付措置を求める声が一部にある中、所得に応じた給付に重点を置く給付付き税額控除の導入は、国民全体への分かりやすい支援とはなりにくい側面もある。
政府は今後、超党派の国民会議を通じて、給付対象の範囲、給付額の設定、そして最も重要な財源捻出策について具体的な議論を進める方針だ。複雑な制度を国民に分かりやすく説明し、行政コストを最小限に抑えつつ、真に支援を必要とする層に効率的に給付を届ける仕組みを構築できるかどうかが、新政権の経済・社会政策の実行力を試す試金石となる。給付付き税額控除は、日本が長年抱える所得格差是正と、持続的な経済成長を両立させるための鍵となり得る。その実現には、過去の税制改正で生じた混乱を教訓とし、緻密で整合性のある制度設計が不可欠だ。2025年以降の政策議論は、この新制度の導入可否とその詳細に終始することになりそうだ。