なでしこ復調!強豪カナダを技術と連係で圧倒、2027年W杯へ弾み
ニュース要約: サッカーなでしこジャパンは、MS&ADカップで強豪カナダに勝利し、停滞感を打ち破った。フィジカルに勝る相手に対し、グラウンダーのパス回しと連係で主導権を確保。谷川萌々子選手の台頭など若手の活躍も目立ち、2027年W杯に向けた新体制の重要な試金石となった。
なでしこ、因縁のカナダ戦で復調の狼煙 技術と連係でフィジカルを凌駕 2027年W杯へ重要な試金石
【長崎】 2025年11月29日、サッカーなでしこジャパンは、MS&ADカップ2025において、強豪カナダ女子代表(世界ランキング9位)とのなでしこジャパンカナダ戦に臨み、見事勝利を収めた。長崎スタジアムシティ(ピーススタジアム)で行われたこの一戦は、若手とベテランが融合した「日本らしい」戦術が機能し、フィジカルに勝る相手を連係と技術で圧倒した、今後のチーム編成を占う上で極めて重要な一戦となった。
苦境を脱した「連係の勝利」
ニルス・ニールセン監督率いるなでしこジャパンは、近年、親善試合で海外組を軸にした主力組が勝利から遠ざかるなど、停滞感が指摘されていた。しかし、この日のなでしこジャパンカナダ戦では、その流れを断ち切る明確な戦術的勝利を収めた。
カナダは、欧州トップリーグで活躍する選手を擁し、そのフィジカルコンタクトと高さを武器に、セットプレーやクロスボールで圧力をかけてきた。これに対し、日本は徹底してグラウンダーのパス回しと素早いポジションチェンジを採用。長谷川唯選手らのゴールに象徴されるように、短いパスでカナダのプレッシャーを回避し、スペースを効果的に突く戦術が終始功を奏した。
特に中盤の構成力が高く、カナダの「力任せ」になりがちな攻撃を、DF陣の組織的な守備とGK山下杏也加選手の安定したセービングで冷静に処理。カナダのフィジカル優位性を技術と連係の精度で上回り、試合の主導権を握り続けた。
谷川萌々子の台頭と序列打破の兆し
この勝利の背景には、ニールセン監督の積極的な選手起用と、若手の著しい成長がある。特に注目を集めたのは、MF谷川萌々子選手だ。直近のクラブ試合で目覚ましい活躍を見せていた谷川選手は、この国際舞台でもその勢いを維持し、攻撃の重要なアクセントとなった。彼女の技術力と得点能力は、なでしこジャパンの攻撃パターンに新たな厚みをもたらしている。
また、東アジアE-1選手権で結果を出した成宮唯選手、吉田莉胡選手、中嶋淑乃選手といった国内組の好調な選手たちも積極的に起用された。これは、指揮官が「調子の良い選手」を優先し、従来のチーム内の序列を打破しようとする明確な意思表示であり、チーム内の競争意識を高める効果を生んでいる。
谷川選手が「チームの中心になる」と語るように、このなでしこジャパンカナダ戦は、2027年FIFA女子ワールドカップに向けた新体制の核となる選手を見定める重要な機会となった。若手の国際的な成長が、チームの攻守の強化に直結していることは疑いようがない。
2027年W杯へ向けた課題と戦略的な位置付け
今回のなでしこジャパンカナダ戦の勝利は、2026年3月に控えるAFC女子アジアカップオーストラリア2026、そしてその先にある2027年ワールドカップへの出場権獲得に向けたロードマップの中で、大きな一歩となる。
しかし、国際舞台で勝ち続けるためには、課題も残る。カナダ戦では連係が光ったものの、より強固な守備ブロックを持つ相手を崩すための多角的な攻撃パターン、特にセットプレーからの得点機会の創出は急務だ。
ニールセン監督は、ペナルティエリア付近での攻守の強化を重点的に指導してきたが、アジアカップを経由する予選プロセスでは、より技術的かつ組織的な攻撃を展開するアジアの強豪国との対戦が待っている。現在の守備システムの堅牢性を維持しつつ、攻撃面での引き出しを増やすことが、今後の競争力向上に繋がる。
復調を印象付けた一戦
なでしこジャパンは、連係と技術という「日本らしさ」を最大限に発揮することで、カナダのフィジカルと高さを上回り、苦戦していた流れを断ち切った。長崎の地で掴んだこの勝利は、若手の台頭と監督の采配が噛み合った結果であり、2027年ワールドカップに向けて、チームが正しい方向へ進んでいることを強く印象付けた。この勢いを維持し、アジアカップ、そして世界へと繋げられるか。今後のなでしこジャパンの動向に、引き続き注目が集まる。
(共同通信/サッカー担当記者 A.T.)