マイナ保険証一本化秒読み!普及率8割でも実利用3割の深刻な壁と現場の混乱
ニュース要約: 12月2日にマイナ保険証への一本化が迫る中、普及率約8割に対し実利用率は3割台に留まる深刻な乖離が判明。医療現場ではシステムエラーが頻発し、国民のセキュリティ不安も払拭されていない。政府は暫定措置を継続するが、デジタル格差解消とシステム信頼回復が急務だ。
マイナ保険証一本化へ秒読み 普及率8割も実利用3割台 12月2日移行直前、現場の混乱とデジタル格差
【東京】 2025年11月30日、従来の紙の健康保険証が原則廃止され、「マイナンバーカード 保険証」(以下、マイナ保険証)を基本とする仕組みへの完全移行まで、残すところわずかとなった。政府は医療費削減と医療の質の向上を掲げ、2025年12月2日からの全面運用開始を目指しているが、移行直前の現在も、医療現場での利用率の低迷やシステムトラブルの頻発、そして国民の根強いセキュリティ不安が、円滑な移行に向けた大きな障壁として立ちはだかっている。
登録率と実利用率の深刻な乖離
厚生労働省の最新のデータによると、2025年10月末時点でマイナンバーカードの交付枚数は約9,947万枚に達し、全国人口の約79.9%がカードを保有している。また、マイナ保険証としての利用登録者数も約8,534万人(人口の約66.5%)と、国民の8割超が登録を済ませている。
しかし、問題はその実態的な利用状況にある。登録者の多さに反し、実際に医療機関を受診する際にマイナンバーカード 保険証として利用されている割合(利用率)は、2025年10月時点で推定36%前後にとどまっている。政府関係者の談話からも、日常的に携行して利用している国民はわずか1割程度と推測されており、「登録」と「実利用」の間に深刻な乖離が生じていることが浮き彫りとなっている。
頻発する現場のトラブルと暫定措置の継続
医療機関側の対応は着実に進み、全国の約7割の医療機関がオンライン資格確認に対応済みだ。しかし、地方や中小規模のクリニックでは導入の遅れや、導入後のシステムトラブルが後を絶たない。
全国保険医団体連合会の調査では、約9割の医療機関が「資格確認エラー」「読み取り不可」「登録情報不一致」といった何らかのトラブルを経験している。特に高齢者やデジタル機器の操作に不慣れな層でのトラブルが目立ち、現場の混乱を招いている。
政府は、こうした混乱を避けるため、2025年7月末で有効期限を迎えた国民健康保険加入者や後期高齢者に対し、「資格確認書」を一律交付する暫定措置を講じた。また、健康保険証の有効期限切れに伴う混乱回避策として、旧保険証の延長利用も2026年3月まで可能としている。これにより、国民の利便性を一時的に確保する一方で、マイナ保険証への移行が一層鈍化し、「登録解除」(8月:29,922件、9月:14,704件)といった動きも観測されている。
国民の不安:セキュリティとデジタル格差
マイナ保険証の導入は、高額療養費制度の手続き簡素化や、過去の薬剤情報、特定健診情報(3年~5年分)の医療機関間での共有を可能にし、医療の質向上に寄与するメリットがある。
だが、国民の不安は払拭されていない。2023年度に報告されたマイナンバーカード関連の個人情報漏洩トラブルは1万2千件を超え、別人の情報登録事案も約7300件に上る。さらに、情報提供の不同意を登録した患者の薬剤情報が誤って医療機関に提供されるシステム不具合も発生しており、システムの脆弱性が露呈した。
国民からは「従来の健康保険証よりも使いにくい」「個人情報の漏洩が不安」といった声が根強く、登録が進んでも利用が進まない背景には、こうしたセキュリティへの懸念が大きい。政府は分散管理や暗号化による安全性を強調するが、高齢者を中心としたデジタル格差への対応と、システムへの信頼回復が急務となっている。
移行後の展望と政府の責務
2025年12月2日以降、紙の保険証は原則廃止される。政府はマイナ保険証への一本化により、年間約100億円に上る保険証発行コストの削減効果を見込む。
しかし、移行直後に大規模な混乱が生じれば、医療提供体制そのものが停滞するリスクを抱える。政府は、12月2日以降も「資格確認書」の継続発行や、旧保険証の暫定利用といった柔軟な対応を続ける見通しだ。
普及促進のための初診料・再診料の割引制度は2024年12月以降に廃止されており、今後は利便性や医療の質向上といった本質的なメリットが利用を促す主因となる。政府には、デジタル格差を解消するためのきめ細やかなサポートと、医療現場で頻発するシステムトラブルの徹底的な検証と対策がこれまで以上に強く求められている。