【独自深層】三菱「新型デリカD:5」電撃公開:S-AWCとPHEVで極めた悪路走破性の真価
ニュース要約: 三菱自動車は新型デリカD:5を公開。ミニバンの快適性とSUVの走破性を融合し、車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載、さらに2026年にはPHEV仕様も導入予定だ。価格帯は450万円超と設定され、強化された悪路走破性と電動化技術で、高級ミニバン市場での独自の地位を築く戦略車となる。
【独自深層】三菱「新型デリカ」が市場に投じる“電撃”:S-AWCとPHEVで極める悪路走破性、価格帯450万円超の戦略的挑戦
【東京】 三菱自動車工業は、同社のアイコン的存在であるオールラウンドミニバン「デリカ」シリーズを大幅に刷新し、自動車市場における独自の地位をさらに確固たるものにしようとしている。2025年10月29日、ジャパンモビリティショー2025で世界初公開された新型『デリカD:5』は、伝統の悪路走破性を飛躍的に高める技術革新と、時代の要請に応える電動化戦略を融合させた、三菱再生の鍵を握る戦略車種だ。
D:5が極めた「ミニバンの優しさ」と「SUVの力強さ」
大幅改良された新型デリカD:5の開発テーマは「ミニバンの優しさとSUVの力強さの融合」である。エクステリアには、三菱の最新デザイン哲学である「ダイナミックシールド」を深化した形で採用し、縦型のマルチLEDヘッドライトと力強いバンパー造形が、タフなオフローダーとしての存在感を強調している。
特に、アウトドア対応を強く意識した特別仕様車「CHAMONIX(シャモニー)」では、ブラックマイカで統一されたフロントグリルやアルミホイール、カモフラージュ柄のデカールなど、細部にわたるデザインのこだわりが、アクティブなユーザー層の心を捉える。
内装に関しても、質感と利便性が大幅に向上した。アウトランダー路線を踏襲し、立体的なダイヤキルティングを施した本革シートや、操作性と視認性を両立させたインパネデザインを採用。長距離移動や、キャンプなどの過酷な利用シーンにおいても、快適性と高級感を両立させる設計となっている。
S-AWCとPHEVが拓く四輪制御の未来
新型デリカD:5の真価は、その走行性能の進化に集約される。最大の技術的ハイライトは、三菱が誇る車両運動統合制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」の採用だ。
これは、従来のAWCをさらに進化させ、エンジントルク、ブレーキ、4WDシステムを統合的に制御するもの。走行状況をリアルタイムで解析し、前後左右の駆動力を最適に配分することにより、雪道や砂利道などの滑りやすい路面、さらにはハイスピードでのコーナリングにおいても、高い安定性と直進性を確保する。NORMAL/ECO/GRAVEL/SNOWの4ドライブモードを搭載し、あらゆる路面状況に対応する体制を整えた。
さらに、新型デリカは電動化への対応も進める。2026年モデルからは、待望のPHEV(プラグインハイブリッド)仕様の導入が予定されている。ツインモーター4WDとS-AWCの融合により、電動モーターならではの瞬発力と静粛性、そして緻密な駆動制御が実現し、悪路走破性がさらに向上することは確実だ。電動化技術を核としたこの四輪制御の進化は、デリカを次世代のオールラウンドビークルへと進化させる。
軽の王者「デリカミニ」と多層的な価格戦略
一方、軽自動車市場においては、フルモデルチェンジを果たした『デリカミニ』が、デリカブランドへの新たなエントリー層を呼び込んでいる。軽スーパーハイトワゴンでありながら、SUVのタフなイメージを取り込んだデザインと、軽快な4WD性能が特徴だ。価格帯は約200万円台から300万円台と、軽自動車としては高額ながら、若いファミリー層や女性ユーザーからの支持が厚い。
主力となる新型デリカD:5の価格戦略も注目される。メーカー希望小売価格(税込)は、約450万円から約495万円が予定されており、従来のミドルクラスミニバン(ノア、セレナなど)よりも一段上の価格帯に設定されている。これは、S-AWCや強化された運転支援技術「三菱e-Assist」など、装備の大幅な進化と原材料費の高騰が背景にある。
三菱自動車は、この価格帯を設定することで、D:5をトヨタのアルファードなど高級ミニバン層とも競合し得る、唯一無二のポジションに据える狙いだ。
新型デリカD:5の予約注文は既に開始されており、発売時期は「2025年冬」とされている。三菱自動車は、新型デリカシリーズの多層的な展開を通じて、技術力とブランドの個性を再定義し、国内市場での存在感を高めることができるか。今後の市場展開から目が離せない。(1196文字)