育成の星・松原聖弥が引退決断 NPBオファー届かず、巨人アカデミーコーチへ転身
ニュース要約: 「育成の星」として知られる松原聖弥外野手(30)がNPB復帰オファーを得られず現役引退を決断した。2021年には育成出身初となる規定打席到達を果たしたが、トライアウト後も他球団からのオファーはなかった。今後は古巣・巨人のジャイアンツアカデミーコーチとして、次世代の指導にあたる。
【独自】育成の星、松原聖弥が引退決断 30歳、NPBオファー届かず 巨人の「ジャイアンツアカデミー」コーチに転身へ
(2025年11月28日付け 朝日新聞/共同通信 配信)
「育成の星」としてプロ野球界に名を刻んだ松原聖弥外野手(30)が、現役生活に終止符を打つことが2025年11月27日、明らかになった。今季途中に読売ジャイアンツから埼玉西武ライオンズへトレード移籍した後、シーズン終了後に戦力外通告を受け、NPB復帰を目指してトライアウトに参加したが、他球団からのオファーは得られなかった。松原は引退を決断し、今後は古巣である巨人の「ジャイアンツアカデミー」コーチとして、少年少女の指導にあたる新たな道を歩む。
苦渋の決断:トライアウトでのマルチ安打も実らず
松原聖弥選手が、現役引退の意向を固めたのは、11月12日に開催された「エイブルトライアウト2025」参加後のことだ。松原は、現役続行への強い意志を持ってこの場に臨み、8打席で2安打(マルチヒット)を記録。特に8打席目で見せた意地の左前打は、高いコンタクト能力が健在であることを示し、一時は現役続行の可能性も取り沙汰された。
しかし、その後のNPB球団からの獲得オファーは届かず、松原は苦渋の決断を下した。「NPBからお話をいただけなかった。スパッと覚悟を決めるしかないなと」と心境を吐露。プロとして9年間戦い続けた日々を振り返り、「ジャイアンツ、ライオンズ両球団に本当に感謝しています」と、支えてくれた全ての人々への感謝を述べた。
松原選手は28日、自身のインスタグラムでも引退を発表。「ジャイアンツ7年半、ライオンズ1年半、9年間本当にご声援ありがとうございました」「9年と短くはありますが、プロとして戦えた日々は、僕の人生の誇りです」と綴り、ファンに別れを告げた。
育成出身の功績:2021年の輝き
松原聖弥のプロ野球キャリアは、育成出身選手のサクセスストーリーとして語り継がれるだろう。明星大から2016年に育成ドラフト5位で巨人に入団。地道な努力を重ね、2021年には外野のレギュラーとして定着した。このシーズンは135試合に出場し、打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁をマーク。育成出身選手としては球団史上初となる規定打席到達という金字塔を打ち立て、その快足と天性の打撃センスは球界関係者からも高く評価された。
しかし、翌シーズン以降、巨人の外野陣の競争激化(長野久義選手の復帰や秋広優人選手の台頭など)により出場機会が減少。2024年シーズン途中に若林楽人外野手とのトレードで西武に移籍したが、環境の変化やチームの得点力不足というプレッシャーの中、移籍後24試合で打率.123と打撃不振に陥り、結果を残せなかった。
通算成績は333試合で打率.241、15本塁打、30盗塁。栄光の2021年以降、成績は伸び悩んだが、その挑戦的な姿勢は最後まで変わらなかった。
最後の試み:打撃強化に賭けた自主トレ
戦力外通告を受けた後も、松原聖弥選手は最後のNPB復帰を目指し、打撃面の強化を意識した自主トレに励んでいた。シーズン終了後には「このオフは打撃面の強化を意識して、例年とは違った形でトレーニングを行っていきたい」とコメント。
具体的には、移籍後の打撃不振を克服するため、「スイングの安定性向上」を目標に掲げ、軸の安定と選球眼、コンタクト率の改善に重点的に取り組んでいた。また、打撃の土台となる「下半身の強化」も自主トレの柱とし、フィジカルの再構築を図っていた。
トライアウトではマルチヒットを記録したものの、松原自身は「まだもう少しできたかな」と振り返り、「試合感覚の再構築」や「プレッシャーへの対処」といった実戦形式での課題も残った。しかし、最後の最後までプロとしてのプライドをかけ、現役続行への可能性を探り続けたその姿は、多くの野球ファンに感動を与えた。
新たなステージへ:指導者としての挑戦
現役引退後、松原聖弥選手が選んだセカンドキャリアは、野球界への恩返しだ。復帰するのは、自身を育ててくれた古巣・巨人が運営する「ジャイアンツアカデミー」のコーチ職である。
松原選手は、自身が育成出身として苦労を重ね、トップレベルまで這い上がった経験を持つ。この稀有なキャリアは、指導者として特に大きな財産となる。アカデミーでは、少年少女に対し、技術指導はもちろんのこと、「育成出身としての視点」や、諦めずに挑戦し続けることの重要性を伝えていくことが期待される。
「これからも新しいステージで、自分らしく挑戦を続けていきます」。松原選手は、プロ野球選手としては一区切りとなったが、その情熱を次世代へと引き継ぎ、新たな指導者としての道を力強く歩み始める。(1088文字)