JRグループ、コロナ禍超えの「稼ぐ力」確信 年末年始新幹線は全席指定へ DXとインフラ投資で成長加速
ニュース要約: JRグループはコロナ禍からの財務回復を明確にし、「稼ぐ力」を強化。今年の年末年始輸送では新幹線(のぞみ・みずほ)の全席指定席化を徹底する。今後は、万博を見据えた大型駅開発(大阪・広島)やMaaS、DX、グリーン投資を加速させ、持続的な成長を目指す。
【独自】JRグループ、コロナ禍超えの「稼ぐ力」 年末年始は新幹線全席指定へ DXとインフラ投資で持続的成長目指す
2025年11月30日 日本経済新聞
日本を支える大動脈、JRグループ各社は、2024年度の財務諸表で新型コロナウイルス禍からの力強い回復を明確に示した。特に運輸収入は大幅に増加し、安定したキャッシュフローを確保。この復調を背景に、JR各社は年末年始の輸送ピーク対策を強化するとともに、2025年春に相次いで開業した大型駅プロジェクトを基軸に、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーン投資を加速させている。
全席指定席化が定着、年末年始輸送の「新常態」
2025年の年末年始(12月26日~2026年1月4日)の帰省・旅行ラッシュを控え、JR各社は臨時列車の増発で対応する一方、輸送体制は「新常態」へと移行している。
特に東海道新幹線、山陽新幹線を走る「のぞみ」「みずほ」は、2024年から導入された全席指定席制度を今年も徹底する。これは、三大ピーク期における自由席の混雑を解消し、安全で快適な移動を確保するための措置だ。これにより、旅行者は事前の予約が必須となり、JR各社は早期の切符購入を強く推奨している。
JR東海の2024年度の連結営業収益は、運輸収入の回復に牽引され、前年比22.1%増の1,710.4億円を計上。東京、大阪、京都、名古屋間のビジネス・観光需要の回復が顕著だ。しかし、この需要の集中は、12月28日〜31日(下りピーク)と1月2日〜5日(上りピーク)に集中することが予想されており、JR側は、混雑を避けた12月26日~27日や1月6日以降の分散利用を呼びかけている。
西日本は「世博」と「MaaS」に照準、東日本は不動産で収益多角化
財務の回復は、未来への大規模投資を可能にしている。JR西日本は、2025年春に開業を控える大阪・関西万博(世博)を見据え、インフラ整備を加速。2023年3月に先行開業した大阪駅西側の「梅田2期」新駅ビルは、2025年春のグランドオープンに向け、関西の玄関口としての機能強化が進む。また、同年春には広島駅の新駅ビルも開業予定であり、地域経済の活性化に貢献する。
技術面では、JR西日本が推進する「関西MaaS(Mobility as a Service)」プラットフォームが、複数の交通手段を統合し、シームレスな移動体験を提供。スマートチケットや無人改札技術の導入も進められており、「JR WEST LABO」を通じたイノベーション創出が期待される。
一方、JR東日本は、収益の多角化戦略を堅持。運輸事業に加え、駅周辺の不動産開発を拡大し、商業、居住、オフィスが一体となった総合コミュニティを創出している。また、駅のスマート化、AIやビッグデータを活用した運行管理の最適化を進め、効率性と安全性の両面でサービス向上を図っている。
サステナビリティと技術の国際展開
JRグループの取り組みは、国内のインフラ整備に留まらない。持続可能な社会への貢献として、JR各社はカーボンニュートラルを経営の柱に据えている。特に万博関連の路線でのグリーン交通推進や、JR東日本による持続可能な金融手法の活用は、環境意識の高い投資家からの評価を高めている。
また、JRグループの技術力は、国際市場でも存在感を増している。例えば、日立グループ傘下のJR Automationは、2025年9月に米国ミシガン州で新グローバル本社の起工式を行い、2027年初頭の完成を目指す。これは、日本の鉄道技術が培ってきた高度な自動化・製造技術を世界に輸出する動きであり、「スマート・マニュファクチャリング」のハブとしての役割を担う。
強靭な財務基盤で迎える2026年
現在のJR各社は、堅実な財務回復と、不動産・小売といった複合事業による安定した収益源を確保している。JR東日本は、主要格付け機関から投資適格級の信用格付けを維持され、強靭な資本基盤を誇る。
2025年を締めくくり、2026年を迎えるにあたり、JRグループは、単なる輸送機関としてだけでなく、都市開発、技術革新、そしてサステナビリティを統合した総合生活サービス企業集団へと変貌を遂げつつある。年末年始の輸送ピークを乗り越え、DXとインフラ投資を両輪とし、日本の経済成長を牽引する役割が改めて期待される。
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