【teppayの衝撃】Suica・PASMO間の「壁」撤廃！JR東日本の新コード決済がPayPay市場を揺るがす

モバイル決済の「壁」を撤廃へ JR東日本とPASMO協議会、新コード決済「teppay（テッペイ）」の衝撃

2025年11月25日

JR東日本とPASMO協議会は25日、交通系ICカードの利用基盤を大幅に拡張する新しいコード決済サービス「teppay（テッペイ）」を発表した。これは、既存のモバイルSuicaおよびモバイルPASMOアプリに機能を追加する形で導入され、2026年秋にモバイルSuicaで、2027年春にはPASMOで提供が開始される予定だ。

teppayの最大の戦略的意義は、これまで独立していた交通系ICカードの残高を相互に連携させる点にある。これにより、ユーザーはSuicaとPASMOの垣根を越えて残高を送受信できるようになり、日本のキャッシュレス決済市場に新たな競争軸を打ち立てるものと見られる。

既存アプリに統合、導入障壁の低さが強みに

「テッペイ」は、新規のアプリダウンロードや煩雑な登録手続きを一切必要としない点が、既存のコード決済サービスに対する決定的な優位性を持つ。既にモバイルSuicaやモバイルPASMOを利用しているユーザーは、アプリのアップデートだけでteppay機能を利用開始できる。

この「導入の容易さ」は、キャッシュレス決済の多様化に疲弊を感じていた利用者層（「キャッシュレス疲れ」）にとって大きなメリットとなる。JR東日本は、生活者の約8割が「馴染みのブランドに決済手段をまとめたい」と考えているという調査結果を背景に、高い普及率を誇る交通系ICカードの基盤を活用し、一気にコード決済市場での存在感を高める戦略だ。

機能面では、従来の交通系ICカードの残高上限（2万円）を大幅に超える30万円までの高額決済に対応する。これにより、旅行や高額な買い物といった、これまではモバイルSuicaやPASMOでは対応しきれなかった決済シーンにも対応可能となる。

Suica⇔PASMOの相互送金を実現する「teppay」

teppayが提供する最も革新的な機能は、Suica PASMO間で残高を相互に送金できる点だ。これまで、SuicaとPASMOは異なる事業者によって運営されているため、残高のやり取りは不可能だったが、suica pasmo teppayの連携により、この長年の「壁」が撤廃される。家族や友人が異なる交通系ICカードを利用している場合でも、容易にteppay残高を送り合うことが可能となる。

さらに、teppay残高は、そのまま交通系ICカードの残高（乗車券や定期券購入）にチャージできる。これにより、銀行口座やATMからのチャージ、あるいはビューカードなどのクレジットカード連携によるチャージを、交通利用にも店舗決済にもシームレスに活用できる。

既存市場の雄、PayPayとの競争構図

コード決済市場では、現在PayPayが圧倒的なシェア（約65%）を占めており、テッペイは、この強固な市場構造に挑むことになる。

しかし、teppayにはPayPayにはない強力な差別化要素がある。それは、前述のSuica PASMO間の相互送金機能と、交通系ICへのチャージ機能だ。PayPayが独立した決済プラットフォームであるのに対し、モバイル Suica teppayは、交通インフラと生活決済を一体化させることで、独自の利便性を追求する。

また、teppayは、Smart Codeを通じてau PAYや楽天ペイなど主要QRコード決済が利用できる全国160万カ所以上の加盟店で利用可能となる見込みだ。これにより、サービス開始直後から広範な店舗ネットワークを確保できるため、PayPayとの競争が激化することは避けられない。

ポイント戦略とユーザーメリット

ポイント還元やキャンペーンの具体的な詳細はまだ公表されていないが、teppay残高での買い物に対しては独自のteppayポイントが付与される予定だ。特に、ビューカードを連携させた場合はチャージ不要での買い物も可能となり、クレジットカード側のポイント還元と組み合わせることで、「ポイントの二重取り」が期待できる。

また、地域経済活性化を目的とした「地域限定バリュー機能」も導入予定であり、自治体と連携したプレミアム商品券や特定地域での優遇キャンペーンなど、地域密着型のメリットも享受できる見込みだ。

テッペイの登場は、単なる決済手段の追加ではなく、日本のキャッシュレス決済の利便性を一段階引き上げる試みと言える。モバイルSuica、PASMOの巨大なユーザー基盤を背後に、PayPayが築き上げた市場に風穴を開けられるか、今後の動向が注目される。