イマーシブ・フォート東京が経営刷新:個別チケット制でV字回復、地域経済を牽引
ニュース要約: 開業1年半のイマーシブ・フォート東京は、集客課題を乗り越えるため経営戦略を刷新。従来のパス制を廃止し、個別チケット制へ移行した結果、高満足度のコンテンツが続出(例:顧客満足度99%)。質の高い没入体験を追求することで、東京エンタメ界の新たなスタンダードを確立し、地域経済への貢献度も高めている。
没入体験の最前線、進化する「イマーシブ・フォート東京」
— 開業1年半、経営刷新と地域経済への波及効果を探る —
【東京】(2025年11月30日)
2024年3月、東京・お台場に開業した世界初のイマーシブ(没入型)テーマパーク「イマーシブ・フォート東京」(IFTO)が、開業から1年半を経て、大胆な経営戦略の転換とコンテンツの進化を遂げている。運営会社である株式会社刀(かたな)は、当初の集客課題を乗り越えるべく、2025年3月に大規模なリニューアルを断行。全天候型の完全屋内施設という強みを活かしつつ、体験の質と多様性を追求することで、東京のエンタテインメント地図に新たな価値をもたらし始めている。
経営戦略の刷新:パス制から個別チケット制へ
「イマーシブ・フォート東京」は、約3万平米の広大な敷地を活かし、参加者が物語の登場人物となって深く関与する没入型体験を標榜してきた。しかし、開業当初は集客が伸び悩み、運営会社は一時、24.3億円の赤字を計上した。
この状況を受け、刀社は2025年3月に運営方針を大幅に刷新した。従来の「1Dayパス制」を廃止し、アトラクションごとに料金を支払う「個別チケット制」へと移行。これにより、来場者は映画館のように気軽に、自身が関心を持つイマーシブ体験のみを選択できるようになった。この柔軟な料金体系への転換は、顧客の利便性を高め、リピーターの獲得に繋がっていると見られる。
戦略転換は既に成果を上げている。特に「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」は、最大120人が参加する脱出型イマーシブシアターとして、驚異的な顧客満足度99%を記録。また、江戸時代の花魁の世界を再現した「江戸花魁奇譚」も完売率97%を誇るなど、濃密で質の高い体験を提供するコンテンツに対して、消費者は高い対価を払う姿勢を示している。
没入感を極める人気コンテンツ群
現在、「イマーシブ・フォート東京」が提供する体験は、それぞれが個性的で専門性が高い。
なかでも、国内最多動員数を更新した「ザ・シャーロック~ジェームズ・モリアーティの逆襲」は、120分という長尺の中で、参加者が45名以上のキャラクターと同時多発的に展開するストーリーに深く関わり、謎解きやアクションシーンを体験できる。2025年3月には二幕制に進化し、体験の密度がさらに高められた。
また、2025年11月に復活を遂げた「フォルテヴィータの追憶」は、販売開始1分で初日チケットが完売するなど、根強いファン層を持つ。マフィアや踊り子など個性的なキャラクターが織りなす物語は、来場者に非日常的なライブ・エンターテインメントを提供している。
これらの人気アトラクションは、一流役者の演技と圧倒的な空間演出によって支えられており、「完全室内型なので天候を気にせず一日中楽しめる」という利点も相まって、来場者の満足度を飛躍的に向上させている。
地域経済への波及効果と都市開発への貢献
「イマーシブ・フォート東京」は、単なるテーマパークに留まらず、東京臨海副都心、特にお台場エリアの地域活性化に大きく貢献している。
開業は、地域のインフラ強化や新規雇用の創出、そして観光収入の増加を促し、周辺ビジネスへの好影響をもたらしている。さらに、お台場や有明、近隣の豊洲地区における地価の上昇にも寄与しており、周辺不動産価値の向上という経済波及効果を生み出している点も注目される。これは、テーマパーク開発が交通、宿泊、飲食、物販など広範な分野で相乗効果を生み出す「経済のマルチプライヤー」として機能するという、運営会社刀社の戦略的な狙い通りと言えるだろう。
2026年に向けた展望
「イマーシブ・フォート東京」は、今後も没入体験の質と多様性を追求する方針を堅持している。2025年4月下旬には最高級イマーシブシアター「真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert's Castle」がスタートするなど、濃密な新作コンテンツを随時追加している。
物理的な大規模拡張の具体的な計画は現時点では公表されていないものの、既存の施設内で体験形態を刷新し、キャラクターとの少人数体験を増やすなど、体験の「濃さ」を追求する進化が続いている。
年末年始に向けては、クリスマスや年越しに特化した限定イベントの実施が期待されており、特に2025年2月に高評価を得た「パーティー・フェスタ!」のようなプレミアムなイマーシブ体験が、集客戦略の核となる可能性が高い。
「イマーシブ・フォート東京」は、経営の課題を乗り越え、個別化・高品質化へと舵を切ったことで、没入型エンターテインメントの新たなスタンダードを確立しつつある。今後も東京における観光・エンタメ経済を牽引する存在として、その動向が注目される。