大学入試「英語」は英検一強へ:共通テスト対策の鍵とS-CBT戦略
ニュース要約: 2025年度大学入試において、英語外部検定の9割以上を英検が占め、事実上のデファクトスタンダードとなった。共通テストは英検準1級レベルの実践的な運用能力を求め、ライティング問題増加や要約問題導入など難易度が上昇。受験生はS-CBTの活用も含め、4技能をバランス良く磨く戦略が不可欠である。
激変する英語入試の最前線――「英検」が示すこれからの学習指針
2025年11月。大学受験戦線が本格化するこの時期、受験生が直面しているのは、単なる知識の暗記に留まらない、より高度な「英語の実践的な運用能力」を問う入試です。その中で、外部検定試験として圧倒的な存在感を放っているのが、ご存知の通り「実用英語技能検定(英検)」です。
最新の調査によると、2025年度大学入試において外部検定を利用した受験生の実に92.9%が英検を選択しており、その地位は「事実上のデファクトスタンダード」として揺るぎないものとなっています。もはや、大学入試における英語資格は、英検なくして語れない「一強体制」にあると言えるでしょう。
共通テストが求める「準1級レベル」の壁
英検の重要性が増す背景には、大学入学共通テスト(共通テスト)英語の出題傾向が大きく影響しています。
2025年度共通テスト英語は、リーディングセクションにおいて総語数が減少する一方で、大問数が8問に増加するという変化を見せました。センター試験時代に見られた文法や発音問題は姿を消し、全大問が読解形式に統一されています。これは、英語を知識としてではなく、パンフレットやレポート、プレゼン資料といった実用的な媒体を通じて「使いこなす」能力を徹底的に試すという、新学習指導要領の理念を強く反映したものです。
受験生には、大量の英文を短時間で正確に処理する「速読力」と、文章の背景や意図を深く理解して正解を選ぶ「思考力・応用力」が求められています。その水準は既に英検準1級程度に達していると指摘されており、従来の受験英語の枠を超えた学習が不可欠となっています。
上位級へのシフトと難易度の変化
大学入試での活用が広がるにつれ、英検自体の受験者層と難易度にも大きな変化が見られます。
特に顕著なのが、上位級への受験者シフトです。過去4年間で、2級の受験者数は約2.7倍、準1級に至っては約8倍に増加しており、学生たちの英語学習意欲の高まりが伺えます。しかし、合格のハードルは依然として高く、準1級の合格率は約15%程度と、生半可な対策では通用しない難関です。
さらに、英検は2024年度から形式を刷新しており、3級以上でライティング問題が2問に増加し、準1級では新たに「要約問題」が導入されました。これは、単なる知識量ではなく、4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)をバランス良く運用できる総合的な力を評価する方向性を明確に示しています。受験生は、得意な技能だけに頼るのではなく、苦手分野を徹底的に克服することが、合格への近道となります。
S-CBTの普及がもたらす受験戦略の多様化
こうした難易度の上昇と並行して、英検の受験環境は劇的に利便性を高めています。
2025年度、英検S-CBT(Computer-Based Testing)の利用が急速に拡大しており、準1級受験者の約半数、2級受験者の約3割がこの形式を選択しています。S-CBTの最大の特長は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能を1日で完結できる点と、同一検定期間内に同一級を最大3回までチャレンジできる点です。
従来の紙の試験(従来型)が年3回と固定されていたのに対し、S-CBTは柔軟な日程で受験機会を提供します。特に短期間での合格を目指す受験生や、スケジュールを重視する受験生にとって、この利便性は計り知れません。
ただし、S-CBTはパソコン上での操作が中心となるため、キーボード入力やヘッドセットでのスピーキングに慣れておく必要があります。受験生は自身の学習スタイルや得意な形式に合わせて、従来型とS-CBTを賢く併用する戦略が求められています。
真の「運用能力」を身につける時
2025年度入試の動向が示すのは、英語が単なる「受験科目」から「実社会で必須のツール」へと完全に変貌したという事実です。
冬期試験や来年度入試に向け、受験生が取るべき対策は明確です。共通テストで求められる「英検準1級レベル」の実力を習得するためには、過去問演習を通じて出題傾向を深く理解し、リスニング強化と論理的なライティング構成力を集中的に磨くことが重要です。
英検の資格は、大学入試の扉を開くだけでなく、その後のグローバル社会で通用する基礎力を証明するパスポートとなり得ます。今こそ、一過性のテクニックではなく、真の英語運用能力を身につけるための努力が求められています。