朝青龍、引退15年で築いたモンゴル経済界の「100億円帝国」
ニュース要約: 元横綱・朝青龍明徳氏(45)は、2010年の引退から15年となる現在、母国モンゴルで巨大な実業家として君臨している。銀行経営や鉱山開発など多角的な事業を展開し、推定総資産は100億円超。相撲界では史上唯一の「年6場所完全制覇」を達成した稀代の横綱は、土俵を降りた後も規格外のスケールで「帝国」を築き、その動向は世界中から注目されている。
稀代の横綱・朝青龍、引退から15年を経て築いたモンゴル経済界の「帝国」
【東京発 2025年11月23日 共同通信】
2010年2月、突如として大相撲の土俵を去った元横綱・朝青龍明徳(45)。引退から15年が経過した現在、彼は単なる伝説の元力士という枠を超え、母国モンゴルで巨大な実業家として、また影響力のある社会の担い手として、新たな「帝国」を築き上げている。その圧倒的な相撲人生と同様に、引退後のキャリアもまた、規格外のスケールで展開されているのだ。
モンゴル経済界の巨頭へ:推定資産100億円超
現役時代、その強さと危うさで日本中を熱狂させた朝青龍氏だが、引退後の転身は驚くほど華麗であった。彼が手掛ける事業は多岐にわたり、モンゴル国民投資銀行の経営に携わるほか、巨大コングロマリットであるASAグループを運営。鉱山開発、農園、不動産、イベント企画、牧場経営といった多角的な事業展開により、モンゴル経済界において不動の地位を確立している。
複数の情報筋によれば、朝青龍氏の現在の年収は推定10億円、総資産は100億円を超えるとも言われており、その経済的な成功は、相撲界のレジェンドから辣腕のビジネスマンへの完全なる移行を証明している。
また、実業家としての顔に加え、モンゴル政府の外交顧問や大統領特別大使を歴任するなど、社会的・政治的な影響力も保持している。2025年現在も、SNS(X=旧ツイッター)では活発な発信を続けており、愛犬の写真を公開するなど、ファンとの交流を欠かさない。メディアへの出演は現役時代に比べると限られているものの、評論家や映画俳優としての活動も行っており、その存在感は衰えていない。
相撲史に刻まれた「史上唯一」の偉業
引退から時が経ち、相撲ファンや評論家の間では、朝青龍氏の現役時代の功績の再評価が進んでいる。彼のキャリアは、度重なる不祥事や騒動などの「問題児」としての側面が常にクローズアップされがちであったが、残された記録は、まさに稀代の横綱と呼ぶにふさわしい。
彼の最も特筆すべき功績は、2005年に達成した「年6場所完全制覇」である。これは大相撲史上、未だに彼ただ一人が成し遂げた金字塔であり、当時の圧倒的な支配力を物語っている。
現役時代、彼は幕内優勝25回を数え、これは白鵬(45回)、大鵬(32回)に次ぐ歴代3位の記録だ。さらに、7連覇を達成し、これも史上最多タイ。通算勝率も.795と非常に高く、白鵬に次ぐハイアベレージを誇る。
注目すべきは、優勝20回以上の大横綱たちの中で、彼が金星配給数(25個)が最も少ない点だ。これは、彼がどれほど安定して上位陣を圧倒し続けていたかを示す客観的なデータであり、「平成の大横綱」としての実力が高く評価される所以である。
功罪相半ば、それでも愛される理由
朝青龍明徳のキャリアは、その圧倒的な強さと、角界の伝統や規範にしばしば衝突する「問題児」としての側面が常に表裏一体であった。酒に酔って暴れる騒動や、怪我を理由に巡業を休場した後のサッカー出演など、彼の行動は常に批判の的となり、最終的に不祥事が引退の引き金となった。
しかし、その強烈な個性と、土俵上で見せる鬼気迫る闘志、そして土俵外での人間的な魅力が、多くのファンを惹きつけてやまない。彼の存在は、モンゴル出身力士の台頭を決定づけた先駆者であり、相撲界の国際化に大きく貢献した。
引退から15年。朝青龍というキーワードは、今や相撲史の偉大な記録と、モンゴル経済界での成功、そしてSNSで垣間見える親近感のある日常、その全てを包含している。稀代の横綱は、土俵を降りた後も自らの人生を「角番」なく突き進み、今後もその動向は世界中から注目され続けるだろう。