ヤクルト山本大貴が戦力外、年俸倍増から1カ月で急転直下——左腕リリーバーの再起への挑戦
ニュース要約: 東京ヤクルトスワローズの山本大貴投手が、契約更改からわずか1カ月で戦力外通告を受ける異例の事態となりました。2024年に防御率1.42を記録した実力派左腕も、今季は故障により不振。30歳で迎えた岐路に、TBS特番では涙ながらに現役続行への強い意志を表明しました。トライアウトを通じて他球団への移籍を目指す、遅咲き左腕の新たな挑戦に注目が集まります。
山本大貴投手、波乱の2025年シーズンを経て新たな道へ——戦力外通告から見える左腕リリーバーの挑戦
東京ヤクルトスワローズの左腕中継ぎ投手、山本大貴(30)が2025年12月29日に戦力外通告を受けた。前年まで防御率1.42という圧巻の成績でブルペンの一角を担っていたが、今季は故障の影響で17試合の登板にとどまり、防御率5.17と不本意な結果に終わった。球団は11月28日に年俸を前年比倍増の3000万円で契約更改を完了していたが、わずか1カ月後に契約非結了を決断した形だ。
昨季の活躍から一転、故障が暗転のきっかけに
山本投手は2024年シーズン、44試合に登板し3勝12ホールドを記録。126打者と対戦して長打を一切許さないという驚異的な制球力を発揮し、防御率1.42という好成績で勝ちパターンの一角を担った。左腕リリーバーとして、直球は最速148キロ、地面際のキレと制球力を武器に打者を翻弄した。
しかし、2025年シーズンは開幕から故障に悩まされた。登板機会は17試合に制限され、防御率は5.17まで悪化。神宮球場での一部試合では防御率8.31、WHIP1.85という厳しい内容となり、一軍と二軍を行き来する状況が続いた。過去2年間(2023年は防御率2.55、42試合登板)で示した安定感は影を潜め、チーム内での立ち位置も「状況に応じて使われる中継ぎ候補」へと変わっていった。
異例の契約更改後わずか1カ月で戦力外
ヤクルトは11月28日、山本投手の年俸を前年の1500万円から倍増の3000万円で契約更改を実施した。12月2日公示の契約保留選手名簿58名にも投手として名を連ねており、球団側は一定の評価を維持していたように見えた。
ところが、12月29日に突如戦力外通告を発表。今季の不振と故障の影響、そして30歳という年齢を考慮した上での決断とみられる。ヤクルトの左投手不足が指摘される中での通告は、ファンに大きな衝撃を与えた。契約更改からわずか1カ月という異例のタイミングでの決断は、球団の厳しい評価基準を物語っている。
「めちゃくちゃ悔しかった」——TBS特番で涙の告白
戦力外通告を受けた山本投手は、TBS「プロ野球戦力外通告」特番(12月29日深夜放送)に出演し、心境を語った。「めちゃくちゃ悔しかった」と率直な思いを吐露し、妻が涙ながらに支える姿や、3歳の子どもに「野球をやめるかもしれない」と伝える場面が描かれた。
妻は大学を中退して結婚した3歳年下のパートナーで、現役続行を模索する夫を献身的に支えている。山本投手は現役続行の意志を強く示しており、トライアウト参加を予定。他球団移籍の可能性を探りながら、プロ野球選手としてのキャリア継続を目指す姿勢を明確にした。
社会人からプロへ、遅咲きの左腕が歩んだ道
北海道札幌市出身の山本投手は、札幌市立信濃小学校3年で野球を始め、江別リトルシニアで全国大会出場を経験。北星学園大学附属高校では2年秋からエースを務めたが、全道大会出場は果たせなかった。
高卒後は三菱自動車岡崎に入社し、栄養学を学びながらウエイトトレーニングに取り組んだ。その結果、直球速度は143キロから148キロへと向上。4年目には都市対抗野球予選で東海理化を完封し、チームを4年ぶりの本大会出場に導く活躍を見せた。
2017年ドラフト3位で千葉ロッテマリーンズに入団。2018、2019年は一軍登板なしに終わったが、2020年に救援で12試合に登板し防御率2.63を記録。2022年7月29日、坂本光士郎との交換トレードでヤクルトに移籍した。
移籍初年度こそ5試合の登板で防御率7.94と苦しんだが、2023年には自己最多の42試合に登板し、プロ初勝利を含む2勝9セーブ、防御率2.55という好成績を残した。2024年にはさらに飛躍し、勝ちパターンの一角として台頭。ロッテ・ヤクルト通算8シーズンで積み重ねた経験が、30歳の節目で試される状況となった。
制球力と長打抑制が光った技術
山本投手の最大の武器は、左腕から繰り出される148キロの直球と、地面際のキレを活かした制球力だった。2024年には126打者と対戦して長打を一切許さず、WHIP1.20前後を維持する安定感を示した。奪三振率も高く、2025年は故障の影響があったものの10.35を記録するなど、打者を空振りさせる能力も兼ね備えていた。
ウエイトトレーニングによるパワーアップが、プロでのブレイクの基盤となった。社会人時代に培った肉体改造の成果は、プロ入り後も制球向上と球威向上に結びついた。専門家からの明示的な評価は少ないものの、2024年の「長打ゼロ」という数字は長打抑制技術の高さを客観的に示している。
今後の展望——他球団移籍の可能性とトライアウト
現時点(2025年12月19日)で、山本投手の移籍先は未定だが、トライアウト参加を通じて他球団へのアピールを図る見込みだ。30歳という年齢は中継ぎ投手として決して高齢ではなく、故障から回復すれば2024年の好成績を再現できる可能性は十分にある。
左腕リリーバーは各球団で需要が高く、過去の実績と制球力を評価する球団が現れる可能性は高い。ヤクルトでの戦力外通告は不本意な形だったが、新天地で再びブルペンの一角を担うチャンスは残されている。家族の支えを受けながら、プロ野球選手としての第二章を切り開けるか。山本大貴投手の挑戦は、これからが正念場となる。