【訃報】ザ・ストーン・ローゼズのベーシスト、マニが63歳で死去 最後の再結成の夢が永遠に終焉
ニュース要約: 英国ロック界の象徴、ザ・ストーン・ローゼズのベーシスト、マニ氏(63歳)が逝去。彼はバンドの黄金期を支え、プライマル・スクリームでも活躍し、マッドチェスター・サウンドに多大な影響を与えた。彼の死は世界中に衝撃を与え、待望されていたストーン・ローゼズの三度目の再結成の夢は永遠に途絶えた。
巨星墜つ:ザ・ストーン・ローゼズの魂、ベーシスト・マニ逝去 享年63歳 再結成の夢、永遠に途絶える
【ロンドン、マンチェスター共同】英国ロック界の象徴的なバンド、ザ・ストーン・ローゼズ(The Stone Roses)のベーシスト、マニことゲイリー・マニエル・モウンフィールド氏が2025年11月21日、63歳で死去したことが複数の関係者筋によって伝えられた。マニ氏はザ・ストーン・ローゼズの黄金期を支え、解散後はプライマル・スクリームでも活躍。その独特なベースラインは、マンチェスター・ムーブメントから現代ロックに至るまで、多大な影響を与えてきた。
突然の訃報は、世界中のファンやミュージシャンに大きな衝撃を与えている。特に、近年、水面下で囁かれていたザ・ストーンローゼズの三度目の再結成の可能性は、彼の死により、事実上完全に不可能となった。
マンチェスター・ムーブメントの「底」を支えたグルーヴ
マニ氏は1987年にザ・ストーンローゼズに加入。1989年にリリースされたバンドのセルフタイトル・デビューアルバム『ザ・ストーン・ローゼズ』は、ブリティッシュ・ロック史における金字塔として今なお語り継がれている。
彼のベースプレイは、単なるリズム隊の一員という枠を超え、楽曲全体のグルーヴとエネルギーの源泉であった。ドラマーのレニ(Reni)と共に作り上げたリズム隊は、ロックとダンスミュージックが融合した「マッドチェスター・サウンド」の中核を担い、後のオアシスやブラーといったブリットポップ世代に決定的な影響を与えた。評論家たちは、彼のベースラインを「ぶっとい」「図太い」と形容し、その強烈な存在感がバンドの音楽的アイデンティティを確立したと評価する。
再結成の立役者、希望の灯火が消える
ザ・ストーンローゼズは1996年に一度解散。その後、メンバー間の確執が長らく再結成を阻んでいたが、2011年にマニ氏が中心となってメンバー間の和解を仲介し、奇跡的な再結成が実現した。当時、マニ氏は「必ず成功する」と語り、再結成の機運を高めるキーパーソンであった。
2012年の世界ツアー、そして2016年の新曲「All For One」のリリースなど、再結成後の活動は熱狂的に迎えられたものの、2017年に再び活動を停止。その後もファンは、カリスマ的なボーカリスト、イアン・ブラウンと、孤高のギタリスト、ジョン・スクワイアが再びステージに立つことを待ち望んでいた。
しかし、マニ氏の逝去は、その淡い期待を永遠に打ち砕くことになった。彼の存在は、メンバー間の橋渡し役であり、ザ・ストーンローゼズという集合体を維持する「魂」そのものであったためだ。この訃報を受け、ストーンローゼズ マニというキーワードは、SNSやインターネット上で瞬く間に主要な検索トピックとなり、世界的な追悼の波が広がっている。
プライマル・スクリームでの革新:ロックとエレクトロニカの融合
マニ氏の功績は、ザ・ストーン・ローゼズに留まらない。1996年のローゼズ解散後、彼はプライマル・スクリームに加入。この移籍は、英国ロックシーンにおける最も重要な人事異動の一つとされている。
プライマル・スクリームでのマニ氏の活動は、バンドのサウンドに劇的な変化をもたらした。特に2000年に発表された革新的なアルバム『XTRMNTR』では、エレクトロニカやインダストリアルな要素が色濃い楽曲群に対し、マニ氏のベースラインが強靭なロックの骨格を提供。ダンサブルでありながら破壊的なグルーヴは、当時の現代ロックの方向性を決定づけるものとなった。
彼のプレイは、単なるリズムキープではなく、楽曲のボトムを支えながらも、時にメロディアスに、時にアグレッシブに展開し、多くの後続のミュージシャンに影響を与え続けている。
追悼の声:英国ロック界の損失
マニ氏の逝去に対し、かつてのバンドメイトであるイアン・ブラウンや、同時代を駆け抜けたオアシスのリアム・ギャラガーら、多くのミュージシャンが追悼のコメントを寄せている。
リアム・ギャラガー氏は、自身のSNSを通じて「安らかに眠れ、マニ。君のグルーヴは永遠に生き続ける」と投稿。彼の音楽的な存在感と、明るい人柄が多くの人々に愛されていたことが窺える。
マニ氏が残した音楽的遺産は計り知れない。ザ・ストーンローゼズの再結成という夢は潰えたが、彼の「ぶっとい」グルーヴは、今後も世代を超えてロックファンに聴き継がれていくだろう。英国ロック界は、偉大なリズムの創造者を失った。
(2025年11月21日 日本経済新聞、共同通信などを参考に構成)