神木隆之介、2025年の多様な「顔」:興収30億円突破で証明した国民的俳優の現在地
ニュース要約: 俳優・神木隆之介が2025年、主演作の累計興行収入30億円超えを達成。不良から内向的な芸術家まで多様な役柄を演じ分け、実力派の地位を確立した。また、年末ドラマでの「らんまん夫婦」再共演が社会現象化。キャリア30年近くを経て、神木隆之介の深化と圧倒的な影響力が証明された。
神木隆之介、2025年を牽引する多様な「顔」:興行収入30億円超、子役からの深化と国民的俳優の現在地
(2025年11月21日 東京発 共同通信)
俳優・神木隆之介(32)が、2025年の映画界、テレビドラマ界を席巻している。本年公開された主演・重要キャスト作品の累計興行収入は30億円を突破。不良少年から内向的な芸術家、演劇に情熱を注ぐ若者まで、極めて多様な役柄を演じ分け、その安定した演技力と話題性で、改めて日本を代表する実力派俳優としての地位を固めた。特にSNSでは主演ドラマの共演者が大きな話題となり、社会現象としての影響力も高まっている。
剛柔自在の演技:興収を牽引した二つの「豆原一成」
2025年の神木隆之介の活躍を象徴するのは、対照的な二つの主演映画だ。
一つは5月に公開された『BADBOYS -THE MOVIE-』である。人気コミックを原作とする本作で、神木は不良少年グループのリーダー「豆原一成」を熱演。これまでの繊細なイメージを覆す肉体派アクションに挑戦し、不良という設定の裏側にある人間ドラマや社会的孤立を深く掘り下げた。公開初週で動員数100万人、興行収入15億円を記録し、2025年邦画ヒットランキングの上位に食い込んだ。
一方で、同年10月24日に公開された『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』では一転、山小屋のオーナーでコーヒーと数学を愛する孤独な青年を演じた。同名の「豆原一成」という設定ながら、役柄の性格は真逆。内向的で静謐な役どころを通して、近年の神木が強化してきた「青春・ヒューマン」路線の深みを増している。公開2週間で興行収入8億円を達成し、SNS上では「神木隆之介の静かな演技が心に刺さる」と高く評価された。
これら主要2作品に加え、過去の『君の名は。』や『ゴジラ-1.0』など、神木が関与した作品は歴代邦画興行収入ランキングの常連であり、彼の出演は興行的な成功を約束する一つの要素となっている。
年末ドラマは好調、再会が呼んだ社会現象
映画での成功と並行して、年末のテレビドラマも好調だ。フジテレビ系で放送中の『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』では、1984年の渋谷を舞台に、演劇に情熱を傾ける若者「蓬莱」役を好演している。
三谷幸喜氏が脚本を手掛け、菅田将暉、二階堂ふみら実力派俳優が共演する中、初回12.3%、第3話で14.1%と視聴率も安定して推移している。特に注目を集めたのが、連続テレビ小説『らんまん』で夫婦役を演じた浜辺美波との再共演だ。この「らんまん夫婦」の再会は放送開始前から大きな話題となり、SNS上では「神木ワード」「神木萌え」といったネットミームが拡散。ドラマの視聴率を押し上げる要因の一つとなり、神木隆之介の持つスター性と社会への影響力の高さを証明した。
子役からの確かな軌跡:30年近いキャリアの深化
神木隆之介の現在の成功は、1995年のCMデビュー以来、30年近くにわたる確実なキャリアの積み重ねの上に成り立っている。2歳で芸能界入りし、12歳で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞(『妖怪大戦争』)。子役時代から作品全体を俯瞰的に捉える能力を持ち、共演した多くの監督やスタッフが、彼の「演技の細部にまで自ら提案を行う姿勢」を絶賛している。
彼は単に与えられた役を演じるのではなく、キャラクターの心情と作品全体の流れを把握し、俳優としての視点の広さと深さを常に示してきた。声優としても『千と千尋の神隠し』や『君の名は。』などで高い評価を得ており、その表現力はジャンルを問わない。
30代を目前にした現在、神木は「不良」という型破りな役柄から、「演劇」という情熱的なテーマまで、演技の幅を広げ、深みを増している。
映画賞への期待と今後の展望
2025年度の映画賞シーズンを迎え、神木隆之介の受賞可能性も高まっている。『BADBOYS -THE MOVIE-』や『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』での演技が評価の対象となるが、さらに2026年1月には、劇団「イキウメ」の舞台を映画化した『太陽』の公開も控えている。
多様なジャンルへの挑戦と、安定した興行成績、そしてSNSを含む若者層への強い影響力。神木隆之介は2025年、邦画・ドラマ界のキーパーソンとして、その存在感を不動のものとした。来たる映画賞での評価と、今後のさらなるキャリアの進化に、業界内外から熱い視線が注がれている。