片山さつき
2025年11月13日

高市体制の成否を握る:片山さつき財務相と阿達雅志議員、「積極財政」ツートップの攻防

ニュース要約: 急激な円安と物価高騰に直面する日本経済。高市新体制の経済政策は、片山さつき財務相の「積極財政」と、現場の苦境を代弁する阿達雅志議員の動向が鍵を握る。両氏の攻防は、物価対策と税制改革のバランス、そして2026年度予算編成に直結する。

危機に立つ日本経済:高市新体制を支える「財政・金融ツートップ」の攻防と戦略

2025年11月、日本の経済は急激な円安と物価高騰の波にさらされ、国民生活に重い影を落としている。高市早苗新総裁体制下で党勢回復と「解党的出直し」を迫られる自由民主党において、経済政策の舵取りを担う片山さつき財務大臣と、党内の財政金融政策を支える阿達雅志参議院議員の動向が、今後の日本経済の方向性を決定づけるとして注目を集めている。

片山財務相は、現在最も影響力のある経済政策のキーパーソンとして、その政策理念を明確に打ち出している。彼女が掲げるのは、長年のデフレマインドから脱却するための「マインドリセット」と「積極財政」だ。縮小し続ける日本経済の終焉を目指すという強い姿勢は、従来の財務省の緊縮財政路線に対し、正面から挑むものとして政界に激震をもたらした。

しかし、その積極財政の理念とは裏腹に、足元の経済情勢は厳しい。2025年11月の国会審議において、片山財務相は急激な円安進行について言及し、「経済へのマイナス面が目立っている」と、輸入物価の高騰が家計や中小企業に与える負担の深刻さを認めた。財務大臣として、為替の安定と物価対策の両睨みという、極めて困難なバランスを求められている状況が浮き彫りとなった。

阿達議員が提起する現場の苦境

一方、阿達雅志議員は、国会内で中小企業や家計への物価上昇の圧迫を具体的に訴え、政府に対策を強く求めている。彼は参議院において財政金融関連の重要なポストを担っており、党内における行政・財政金融分野の責任者として、現場の声を政策に反映させる役割を果たしている。

両氏の議論は、現在の経済危機の認識においては共通している。特に、物価高騰対策と並行して進められるべき税制改革、とりわけ「103万円の壁」問題(パート収入に関わる課税閾値)に関する議論が注目される。片山財務相は、この問題に対する減税措置について、現状の景気状況を踏まえた段階的かつ慎重な対応を主張しており、性急な減税による財政規律の乱れを警戒しつつも、国民の働く意欲を削がないための制度設計を模索している。

積極財政を掲げつつも、現場の痛みを受け止め、慎重な税制運営を図る片山大臣の姿勢と、現場の苦境を代弁し、具体的な対策を要求する阿達議員の議論は、高市体制下の自民党が「経済成長と国民生活の安定」という相反するテーマをどのように両立させようとしているかを示す試金石と言えるだろう。

政治的サバイバルと派閥再編の思惑

こうした政策議論の背後には、自民党内の激しい権力闘争と政治的再編の動きがある。片山氏はかつて所属していた二階派を離れ、2023年4月に安倍派(当時)へと移籍した経緯を持つ。これは、参院選での改選を控えた戦略的な動きであると同時に、女性政治家としての出世機会を確保するための熾烈な競争意識の表れと見られている。

安倍元総理の死去後、集団指導体制となった安倍派は100人を超える大所帯となり、その統制と求心力の維持が課題となっている。片山氏のような有力議員が政調会長代理などの重要ポストに就き、裏金問題など党の統治に関わる発言権を持つことは、自民党が両院で少数与党となる未曽有の事態に直面する中で、党再生の鍵を握る重要人物としての地位を確立したことを意味する。

結論:2026年度予算編成への視線

片山さつき財務大臣の「積極財政」の旗印と、阿達雅志議員が担う現場視点での財政金融政策の推進は、高市体制が掲げる経済再生の成否を握る。両氏の議論が、単なる国会質疑に終わることなく、2026年度予算編成において、国民が実感できる具体的な物価高騰対策や、構造的な成長を実現するための投資政策へと結実するかが、今後の政局の最大の焦点となる。

日本経済が正念場を迎える中、この「財政・金融ツートップ」が、いかにして「縮小日本」の呪縛を打ち破り、国民の信頼回復と経済成長を両立させるのか。その動向から目が離せない。

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