Hulu 2025年冬の戦略:『ビバヒル』HD版独占配信とアニメ最速配信で攻める
ニュース要約: Huluは2025年冬、名作ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』の国内初HDリマスター版や人気アニメ『青の祓魔師』の見放題最速配信を軸とした新戦略を展開します。NetflixやU-NEXTとの差別化を図るため、日テレ系コンテンツの強みと提携サービスによる優待を活かし、幅広い層への訴求を強化。動画配信市場での競争優位性確立を目指します。
動画配信の新潮流:フールーが描く2025年冬のエンターテインメント戦略
2025年12月21日
動画配信サービスの競争が激化する中、米国発の動画配信プラットフォーム「Hulu(フールー)」が、2025年から2026年にかけての冬季ラインナップで攻勢を強めている。海外ドラマのクラシック作品の大規模配信と、日本国内向けアニメコンテンツの充実を両輪とした戦略は、Netflix、U-NEXTといった競合との差別化を図る同社の姿勢を鮮明にしている。
伝説的作品の復活とHD化による新たな価値創造
フールーの今冬の目玉は、米国テレビ史に残る青春ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書/青春白書」のHDリマスター版配信である。12月19日から配信が開始されたシーズン1から5までの286話は、国内初のHD版として、字幕・吹替の両バージョンで提供される。1990年代に一世を風靡したこの作品は、当時のファン層だけでなく、新世代の視聴者にもアピールする狙いがある。
「過去の名作をただ配信するのではなく、画質を現代の水準に引き上げることで、コンテンツに新たな命を吹き込む」という同社の方針は、デジタルアーカイブの価値を再定義する試みとして注目される。シーズン6から10までの追加配信も近日中に予定されており、全シーズンを網羅する包括的なラインナップ構築が進行中だ。
独占配信コンテンツの戦略的強化
フールーは複数の独占配信作品を投入し、競合他社との差別化を図っている。2026年1月3日から配信される「ライド withノーマン・リーダス」シーズン7は、サバイバルヒューマンドラマの最新シーズンとして独占配信される。また、「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」全8シーズンが1月1日から見放題となるなど、人気シリーズの一挙配信も相次いでいる。
さらに、「SEAL Team/シール・チーム」全7シーズンや「ビリオンズ」全7シーズンといった長寿シリーズの配信開始も予定されており、週末や年末年始の長時間視聴需要を取り込む構えだ。これらの作品群は、いずれも米国で高視聴率を記録した実績を持ち、日本国内でも根強いファン層を有している。
アニメコンテンツでの競争優位性確立
日本市場においてフールーが重視しているのが、アニメコンテンツの充実である。2025年冬クールでは、「薬屋のひとりごと 第2期」や「君のことが大大大大大好きな100人の彼女 第2期」といった人気作の続編が配信される。特に注目されるのが、1月5日から「見放題最速配信」される「青の祓魔師 終夜篇」だ。地上波放送と同時、あるいはそれより早い配信は、若年層の視聴習慣の変化に対応した戦略といえる。
「Dr.STONE SCIENCE FUTURE」や「SAKAMOTO DAYS」といった新作アニメも投入され、週ごとに異なる作品が配信されるカレンダー設計は、視聴者の定期的なアクセスを促す仕組みとなっている。プリキュアシリーズの「魔法つかいプリキュア!!MIRAI DAYS」や「キミとアイドルプリキュア♪」の配信は、ファミリー層への訴求も意図している。
料金体系と市場ポジショニングの現実
フールーの基本月額料金は1026円(税込)で、決済方法によっては1050円となる。これは、広告付きプランで890円から提供するNetflixや、2189円のU-NEXTと比較すると中価格帯に位置する。見放題作品数は約14万本で、U-NEXTの37万本超には及ばないものの、日本テレビ系列のバラエティ番組に強みを持つという差別化要素がある。
U-NEXTは毎月1200円分のポイント還元と31日間の無料トライアルを提供し、作品数で圧倒する。一方、Netflixはオリジナル作品の制作力で独自性を打ち出している。こうした競争環境の中で、フールーは「日本市場に特化したコンテンツ選定」と「提携サービスとの連携」を武器としている。
現在、フールー公式の無料トライアルは終了しているが、BBIQやeo光といったインターネット回線事業者、楽天モバイルなどの提携サービス経由で、最長2カ月の無料視聴が可能となっている。九州エリアのBBIQでは2カ月無料後も毎月110円の割引が継続されるなど、地域密着型の料金戦略も展開されている。
視聴環境の多様化とユーザー体験の向上
フールーはスマートテレビ、Fire TV、Chromecast、Apple TVなど、幅広いデバイスに対応している。特にスマートフォン・タブレット向けには、オフライン再生機能を提供しており、事前にダウンロードした作品を外出先で視聴できる利便性がある。ただし、テレビ向けにはこの機能は提供されていない。
AirPlayやキャスト機能を活用すれば、スマートフォンから大画面テレビへの転送も容易だ。アクティベーションコードを用いたログイン方式は、複数デバイス間での視聴体験をシームレスにする工夫として評価されている。
今後の展望と課題
フールーの冬季戦略は、クラシック作品の復権、独占配信の強化、アニメコンテンツの充実という三本柱で構成されている。これは、幅広い年齢層とジャンル嗜好に対応する包括的アプローチといえる。しかし、作品数ではU-NEXTに、オリジナル制作力ではNetflixに劣る現状は否めない。
今後の成長には、日本テレビとの連携を活かした独自コンテンツの開発や、提携サービスとのバンドル戦略のさらなる強化が鍵となるだろう。動画配信市場の成熟化が進む中、各社の戦略の違いが、視聴者の選択肢を豊かにしている現状は、業界全体にとって健全な競争環境といえる。
フールーが打ち出す「温故知新」のコンテンツ戦略が、2025年の動画配信市場にどのような影響を与えるのか、その動向が注目される。