JALホノルルマラソン2025開幕:過去最多4.2万人超が参加、ハワイ経済回復の試金石に
ニュース要約: 世界最大級の市民マラソン「JALホノルルマラソン2025」が開幕。過去最多となる4万2,000人超が参加し、制限時間なしのコースに挑む。日本人ランナーも回復基調にあり、ハワイ経済回復の試金石として注目。円安や高騰の課題を抱えつつも、スポーツツーリズムを牽引する祭典だ。
JALホノルルマラソン2025、過去最多4.2万人超が参加へ 経済回復の試金石に
【ホノルル=14日 共同】
太平洋の楽園ハワイ州オアフ島で、世界最大規模の市民マラソン「JALホノルルマラソン2025」が14日早朝(日本時間同日深夜)、開催された。第53回を迎える今大会は、フルマラソン(42.195km)が午前5時にスタート。主催者発表によると、参加者は過去最多となる4万2,000人以上が見込まれており、長引くコロナ禍からの回復と、ハワイ観光振興の試金石として注目を集めている。
制限時間なしの「市民の祭典」 日本人参加者も回復基調
ホノルルマラソンは1973年の開始以来、「時間制限なし」という独特のルールを掲げ、初心者から熟練者まで、幅広い層を受け入れてきた。完走率は例年9割を超え、リゾート地ホノルルの開放的な雰囲気の中で、年齢や走力を問わず誰もが挑戦できる「市民の祭典」として定着している。
フルマラソンに加え、10Kラン&ウォーク、前日に開催されたカラカウア・メリーマイル(約1.6km)など複数の種目が実施され、ホノルル市内は早朝から祝祭的なムードに包まれた。スタート地点のアラモアナ公園には、午前5時の号砲と同時に恒例の花火が打ち上げられ、ランナーたちは夜明け前の涼しい空気の中、ダウンタウンやダイヤモンドヘッドを目指して走り出した。
今大会で特に注目されるのは、日本人参加者数の回復傾向だ。コロナ禍前の水準には及ばないものの、アーリーエントリー数は前年比130%増を記録。最終的に1万2,000人を超える日本人ランナーがエントリーしたと見られ、2019年比で約88%の水準にまで回復した。
円安と高騰が影を落とすも、「スポーツツーリズム」を牽引
日本人参加者の増加は、ハワイ経済、特に観光産業にとって重要な追い風となる。JALやJTB、HISといった日本の旅行会社は、エントリー代行や専用ツアー、現地でのランナーズテント提供、事前練習会など、包括的なサポート体制を敷き、スポーツツーリズムの活性化を図ってきた。
一方で、持続的な回復には課題も残る。歴史的な円安と航空運賃の高騰が、参加意欲の高い層の渡航を経済的に抑制している側面がある。主催者側は、時間制限のない大会の特性に加え、エリートランナーの招聘によって大会の魅力を高め、経済的な障壁を乗り越えようとしている。
今回は、堀尾謙介選手や神野大地選手、さらにはトラック競技で活躍する田中希実選手(1マイルに出場)といった日本のトップランナーが参戦。競技性の向上とメディア露出の増大を図り、大会全体のブランド価値を高める戦略だ。
専門家も評価する「アクセシビリティ」と安全体制
ホノルルマラソンが世界的な地位を確立している背景には、その高いアクセシビリティがある。ランニング指導の専門家からは、「完走率9割以上、時間制限なしという環境は、世界でも類を見ない」と評価されている。元マラソン選手の野口みずき氏らも、大会直前のカピオラニ公園でストレッチや調整のアドバイスを行うなど、初心者ランナーの体調管理をサポートした。
安全面では、400人以上の医療スタッフが配置され、万全の体制が敷かれている。大会当日の天候は曇りや雨の予報もあり、例年懸念される熱中症のリスクは低いと見られるが、早朝から夕方までの長丁場となるため、大規模な医療拠点が設置された。
「ホノルルマラソン2025」は、単なる競技会に留まらず、参加者にとって人生を豊かにする挑戦の場であり続けている。ハワイの温暖な気候と、沿道の温かい声援、そして制限のない自由な雰囲気が、参加者の完走を後押しする。
大会は本日夕方まで続き、ランナーたちはワイキキビーチにほど近いカピオラニ公園のゴールを目指す。日本人参加者数の回復傾向は、今後の海外スポーツイベントへの参加動向を占う上で、重要な指標となりそうだ。
(了)