M-1第3位「エバース」佐々木、野球一筋15年の挫折を笑いに変える独自の漫才スタイルとは?
ニュース要約: M-1グランプリ2025で3位に輝いたお笑いコンビ「エバース」。ボケ担当の佐々木隆史は、元高校球児として菊池雄星とも対戦経験を持つ異色の経歴。甲子園への挫折や大学での怪我を乗り越え、実体験を活かした「野球ネタ」を武器に快進撃を続けています。石井一久氏らプロ界からも絶賛される、笑いと野球愛が融合した独自の漫才スタイルに迫ります。
お笑いコンビ「エバース」佐々木隆史、野球一筋15年の経歴が生んだ独自の漫才スタイル
M-1グランプリ2025で3位入賞を果たしたお笑いコンビ「エバース」。ボケ担当の佐々木隆史(33)は、小学2年生から大学4年まで約15年間野球に打ち込んだ元球児だ。甲子園を目指した青春時代と、そこから生まれた「野球ネタ」が、今や彼らの武器となっている。
甲子園を夢見た高校時代
宮城県登米市豊里町出身の佐々木は、古川学園高校で野球部主将を務めた。左投左打の外野手として打順2番を任され、俊足と守備範囲の広さが持ち味だった。当時、チームメイトには後にプロ入りした佐藤優投手(元中日、1学年下)もおり、県大会では花巻東高校の菊池雄星投手(現メジャーリーガー)との対戦も経験している。
しかし、甲子園への道は険しかった。高校2年の夏の宮城大会では打率0.100(10打数1安打1打点)に終わり、準々決勝で強豪・仙台育英に敗退。佐々木本人は当時を振り返り、「高校に入学して、目隠ししながらこっちの方向に甲子園があると信じて歩き続け、3年経っておそるおそる目隠しを外したら一歩も移動してなかった、そんな感覚でした」と自虐的に語る。この言葉には、全力で取り組んだからこそ味わった挫折の深さがにじむ。
大学での挫折と転機
スポーツ推薦で東北工業大学ライフデザイン学部に進学した佐々木だが、仙台6大学リーグの強豪校で出場機会に恵まれず、厳しい練習環境の中で徐々に部活から離れていった。「野球をしているだけで勝手に進んできた人生」を見つめ直す時期でもあった。さらに、バイク事故で太もも骨折という大けがを負い、半年間歩けなくなったことも、野球人生に終止符を打つ決定的な出来事となった。
大学卒業後、佐々木はNSC東京21期生としてお笑いの道へ。相方の町田和樹とコンビ「エバース」を結成し、本格的に芸人活動をスタートさせた。コンビ名自体が野球用語(バントからの見送り動作)に由来しており、野球への思いは途切れることがなかった。
野球経験が生んだ独自の漫才
エバースの漫才は正統派のしゃべくり漫才を基調としながらも、佐々木の野球経験を活かした独特なネタで注目を集めている。「野球ヒジ」「ヒジ野球」「寿司ヒジ」といった変奏ネタや、「野球の入団テストを受ける」「何式野球?」など、野球をモチーフにしたネタは全体の20~30%程度を占めるとみられる。
M-1グランプリ2025の決勝直前インタビューで、佐々木は「今年は俺たちが一番、野球が上手いんじゃないですか?」と自信満々にコメント。昨年は同じくファイナリストだった「バッテリィズ」に野球ネタの先輩がいたため控えめだったが、今年は堂々と野球の強みをアピールした。
プロ野球界からも注目
佐々木の野球愛は芸人活動の中でも色濃く表れている。2024年9月29日には東北楽天ゴールデンイーグルスのセレモニアルピッチに登場し、ノーバウンド投球で空振りを奪う活躍を見せた。「楽天イーグルス一筋」と公言する佐々木にとって、夢のような瞬間だったに違いない。
また、フジテレビ系スポーツニュース番組「すぽると!」に出演した際、「野球ヒジ」漫才を披露。番組MCの石井一久氏(元プロ野球選手)から「すごい面白かった。2人の背中がカッコよく見えました」と絶賛され、野球ファン層からの支持も拡大している。
YouTube企画『スーパーピッチャー・エバース佐々木』では、街の一般人と1打席勝負をする様子が公開され、「レギュラーだった」と野球歴を自慢しながら実践解説を披露。野球ネタがTVerなどで「野球ファン必見の漫才ネタ」として取り上げられるなど、プラットフォームを越えた人気を獲得している。
挫折を笑いに変える力
佐々木の強みは、野球で培った「耐える力と挑戦姿勢」を漫才に転化させた点にある。甲子園未達、大学での挫折といった苦い経験が、自虐ネタの基盤となり、独自の世界観を構築している。専門用語や情景描写を用いながらも、一般視聴者にも刺さるギャップ笑いを作り出す技術は、M-1の審査員からも高く評価されている。
M-1グランプリでは2024年に4位(真空ジェシカと1点差)、2025年に3位と連続で決勝進出を果たし、「大躍進」として注目を集めた。審査員からは構成力やテンポの良さが評価され、短時間勝負のM-1において完成度の高いネタを披露し続けている。
野球への愛が紡ぐ未来
エバースの戦略は明確だ。野球モチーフでコア視聴者(野球ファン)を掴み、専門用語や情景描写で一般視聴者にも刺さるギャップ笑いを作る。そして、舞台表現のテンポと構成で審査員の評価基準に合致させる。この三本柱が、彼らをM-1ファイナリストへと押し上げた。
佐々木は「野球をしているだけで勝手に進んできた人生」から、自らの意志で道を切り開く人生へとシフトした。挫折を経験したからこそ生まれた笑いは、多くの人々の共感を呼んでいる。
2025年現在、吉本よしもと漫才劇場で活動を続けるエバース。佐々木隆史の野球経験は、単なる過去の栄光ではなく、彼らの漫才を支える大切な資産だ。楽天モバイルパーク宮城で観戦する姿も目撃されており、野球への愛は今も変わらない。
甲子園に届かなかった夢は、M-1という別の舞台で花開こうとしている。佐々木隆史の挑戦は、これからも続く。
参考情報源
関連コンテンツ
マイニュースへ
あなた専用のニュースレポートをチェックしましょう