セレソン連勝ストップ:堅守チュニジアに1-1ドロー、W杯へ向けた決定力不足を露呈
ニュース要約: サッカーブラジル代表(セレソン)はチュニジア代表との親善試合で1-1のドローに終わり、連勝がストップした。アンチェロッティ監督率いるチームは、高いボール支配率を誇りながらも、堅守のチュニジアを崩しきれず、決定力不足を露呈。特にPK失敗が響き、2026年W杯へ向けた攻撃の多様性と精神的な安定性が大きな課題として浮き彫りとなった。
セレソンの課題露呈か:堅守チュニジアに苦戦、1-1ドローで連勝ストップ
— アンチェロッティ体制下のブラジル、W杯へ向けた「決定力不足」を露呈 —
2025年11月19日
サッカーブラジル代表は18日(現地時間)、フランス・リールで行われた国際親善試合でチュニジア代表と対戦し、1-1で引き分けるという予想外の結果に終わった。カルロ・アンチェロッティ監督率いる「セレソン」は、2025年の親善試合シリーズで韓国に5-0の圧勝を収めるなど圧倒的な攻撃力を見せてきたが、この日は粘り強いチュニジアの組織守備を崩しきれず、連勝はならなかった。2026年ワールドカップ(W杯)へ向けた重要なテストマッチにおいて、ブラジルは攻撃の多様性と決定力に大きな課題を残した形だ。
攻撃を牽引するも、決定機を逃したセレソン
ブラジルは、ヴィニシウス・ジュニオールや、復帰が期待されるネイマール(今回の試合の出場詳細は不明ながら)といった世界的スターを擁し、試合開始直後から圧倒的なボールポゼッションを展開した。アンチェロッティ監督はW杯を見据え、4-2-4を基本とする攻撃的な布陣を採用し、早い時間帯での先制を狙ったが、思惑は外れる。
試合は前半23分、チュニジアのハゼム・マストウリに先制点を許す展開となる。ブラジルはその後、攻撃のリズムを維持しようと猛攻を仕掛けるも、チュニジアのコンパクトな守備ブロックに対し、効果的な崩しを見出せないまま時間が過ぎていった。
同点弾が生まれたのは、前半終了間際のアディショナルタイム。PKを獲得し、これを18歳の新鋭エステヴァンが冷静に決め、なんとか1-1としてハーフタイムを迎える。エステヴァンのゴールはブラジルの未来への希望を感じさせるものだったが、後半の展開が、セレソンが抱える決定的な課題を浮き彫りにした。
後半、ブラジルは再びPKのチャンスを得たものの、ルーカス・パケタがこれを失敗。この決定的な得点機会を逃したことが、最終的に勝利を逃した最大の要因となった。高いボール支配率とシュート数を記録しながらも、ブラジルはゴール前での精度を欠き、組織的に守る相手への対応力が不十分であることを露呈したと言える。
堅守チュニジアの健闘と守備組織の成熟
一方、FIFAランキング43位ながらW杯予選で無敗を維持しているチュニジアは、見事な戦術遂行能力を見せた。サミ・トラベルシ監督のチームは、4-3-3をベースに守備を重視し、GKダーメンを中心に強固な4バックを構築。特に空中戦に強いモンタッサル・タルビらが、ブラジルの猛攻を組織的に跳ね返し続けた。
チュニジアは、ブラジルのスピードと個人技に対し、粘り強いポジショニングと速攻で対抗。強豪ブラジル相手にドローに持ち込んだことは、彼らの守備組織が欧州のトップレベルに対しても通用することを証明し、W杯へ向けた大きな自信となったはずだ。
W杯へ向けたブラジルの不安定さと日本戦の教訓
今回のドローを受けて、ブラジル国内メディアからは「技術不足」「試合の安定性に欠ける」といった厳しい意見が上がっている。アンチェロッティ監督は様々なフォーメーションを試しているものの、特に守備の安定性やサイドバックの人材不足といった構造的な課題は解消されていない。
我々日本人にとっても、ブラジル代表の完成度は気になるところだ。ブラジルは今年、韓国に5-0で圧勝する一方で、日本代表には2-3で逆転負けを喫するという不安定な戦績を残している。この「波」の大きさこそが、今のセレソンの特徴であり、強固な守備を持つチームや、戦術的に練られたチームに対し、脆さを見せることがある。
2026年W杯に向けて、ブラジルは攻撃陣の個人技に依存するだけでなく、セットプレーの精度向上や、組織的な守備を崩すための多様な攻撃オプションを確立する必要がある。今回のチュニジア戦のドローは、セレソンがW杯優勝という目標を達成するために、今後さらなる戦術的な深化と、精神的な安定性を求められることを示唆している。ブラジル代表がこの苦い経験を糧とし、真の強豪としての姿を取り戻せるか、今後の強化策に注目が集まる。